【1日1冊!】猿のごとく読み、人のごとく考える

2018/04/11(水)08:03

【猿のごとく読み、人のごとく考える・その402・395冊目】『月に吠える』萩原朔太郎著

文学(41)

【猿のごとく読み、人のごとく考える・その402・395冊目】・紹介する本​ 月に吠える (SDP bunko) [ 萩原朔太郎 ]​・サノーさん一言コメント「剃刀のような言葉の数々が、隠しておきたい感情を切り裂く。詩界の異端を、王道と言わしめた詩人の言葉」【サノーさんおすすめ度★★★★☆】・ウノーさん一言コメント「いつの時代も、破壊者は現れます。破綻者ではなく創造者として評価された詩を楽しみます」【ウノーさんおすすめ度★★★★☆】・サノーさん、ウノーさん読書会サノーさん(以下サ):北原白秋いわく「憂鬱な香水に深く浸した剃刀」だと、萩原朔太郎を称したわけだが。ウノーさん(以下ウ):この作品でも、その「作風」は十分に確認できますね。サ:人間が、つい考えてしまう「悪」、「孤独」がつい呼び寄せてしまう「想像」、それらは極めて私的であり、普通は「秘密にしておきたい感情」なんだ。ウ:そこに、この詩人は、ズバリと切り込んできます。「どうだ、しらばっくれているが、お前も同じだろう」という声が、聞こえてくる気がします。サ:かと思うと、ただ、力強く、ただ一途に、「詩」に生命の在り様を込めた作品も、創造している。ウ:代表的なところでは『竹』ですね。竹の生命力、竹の凛とした姿が、ありあり伝わってきます。サ:なんとも「不思議な人」だという印象となる。ウ:だからこそ、日本の詩人たちに愛され、たくさんの人に支持されているわけです。サ:人間は、ここまで、自分をさらけ出すことができるのか、と驚くと同時に、それが、詩という芸術の側面だとするなら、小説家より詩人のほうが、はるかに難易度は高い。ウ:萩原朔太郎と生涯の友達だった「室生犀星」さんは、その辺りの切り替えが上手ですよね。私小説では適度に他人のエピソードやフィクションを織り交ぜて、読者との間に「曇りガラス」を入れる。詩では、そのガラスを取っ払って、ストレートに自分の感情をぶつけてきます。サ:こういった後世に残る「詩」を読むとき、日本語の凄さ、日本語の美しさを改めて確認することが出来る。ウ:同じ文字が繰り返されて、印刷されているだけなのに、その文字と次の文字では、伝わってくるエネルギーが違うんですよね。サ:だからこそ、日本人は「日本語」をもっと利用し、活用すべきだと思う。それが、新しい時代を切り拓くことになるのだから。【了】​https://amzn.to/2EztmO4​

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