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テーマ:時代小説・歴史小説(191)
カテゴリ:歴史小説(中国史)
古代中国史を舞台にした小説といえば、『三国志』や『項羽と劉邦』が語られることが多いと思います。 しかし、本書の著者である宮城谷昌光氏が描く古代中国は、それらとはまた一味違った時代や舞台を鮮やかに切り取っていることで知られています。 今回ご紹介するのは、そんな宮城谷文学の名作『馬援』です。 「馬援(ばえん)」と聞いても、多くの方にとってはまだ馴染みが薄い名前かもしれません。 彼は新から後漢への過渡期(後漢初期)に活躍し、のちに「伏波将軍(ふくはしょうぐん)」として称えられた名将です。 ちなみに、これから紹介したいと思っている宮城谷氏の作品『草原の風』や『呉漢』とは、ちょうど時代が重複しています。 これらの作品についても、いつかまた詳しくご紹介させてください。 さて本作ですが、主人公の馬援は、最初から弓や槍を手にして戦陣を疾駆するような、いわゆる典型的な武将ではありません。 彼は若き日、放浪の身でありながらも、馬や牛の牧畜によって莫大な財を成していきます。 しかし、その財産を自分のために蓄え込むことはせず、一族や下僕、友人・知人らを助けるために惜しみなく使いました。 この高潔な生き方によって、馬援の名声は否が応でも高まっていくことになります。 やがて世は激しく乱れ始め、彼が歴史の表舞台に立つのは、人生の半ばを過ぎてからのこと。 そして、のちの光武帝(劉秀)と出会うことで、その名は不滅の歴史として刻まれることになります。 本作には、いわゆる派手な合戦の戦闘描写が延々と続くわけではありません。 それなのに、馬援という男の知略や合戦における八面六臂の活躍が、行間から十二分に伝わってくるのは著者の恐るべきところです。 この本を読んだことで、私もまた一つ、知らなかった新たな中国史の深い魅力に触れることができました。 馬援 (中公文庫 み36-20) [ 宮城谷昌光 ] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2026.06.05 23:00:05
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