トリュフ狩り3月7日、今日は待ちに待った『トリュフ狩り』である!目的地はモンペリエから南西に電車で40分のBeziers. ガイドはご存知、Domaine Pech Laurierの村木氏。そして畑責任者のシャルル氏と友人2名。 参加者は東京の某フレンチレストラン、ル・ブ○ギニョン出身で現在JDSに来ているT氏、○ビルS&Sの副料理長K氏、そして私の三人。 朝、10時すぎの電車に乗り、11時にベジエに到着。駅にて村木氏と合流。一路、ドメーヌ・ペッシュ・ローリエへと向かう。 ワイナリー内を一通り見学し終わった頃に、オーナーのマリー女史が家の中へと迎え入れてくれたので行ってみると、キューヴから出してきた2003年ヴィンテージの白ワインを試飲させていただく事が出来た。 そしてさらに奥のダイニングに進むと・・・・ あれ? テーブルに食事のセットが8人分?? そして運ばれてくる料理の数々・・・ フィレ肉のローストにポワロー葱のクリーム煮、野菜のピューレ、マーシュのサラダ、食後のチーズにシャーベット、コーヒーと続く・・・ それに1998年の赤ワインと、村木氏が働き始めた2002年ヴィンテージのコトー・デュ・ラングドックを樽から出してきたものを試飲をかねて頂きました。 驚いた事に、雨が多くてプチ・ミレジムであったはずの2002年ヴィンテージのワインが本当に果実味豊かで、バランスがよく、ふくよかでまるみのある味わいなのである。それに品種からのやわらかいスパイシーのフレーヴァーと樽からの微妙なフレーヴァーがうまく溶け合い、素直においしい!といえるできなのである。 あまりにも以外であった為、マダムに尋ねると収穫時期に雨が多かった2002年だが、ペッシュ・ローリエのコトー・デュ・ラングドックの畑周辺には雨の被害がほとんどなかったそうなのである。そこから肉眼で確認できる距離では雨がふっていたにもかかわらず・・・・。 マダム曰く、それがミクロクリマなのであると言う。たしかにブルゴーニュなどでは特に重要視されるミクロクリマ。ここ、ラングドックの畑にもちゃんと存在するようである。 まったく予想外の歓迎ランチにびっくり! 前回の来訪時もそうであったが、マダムは本当にやさしく、そして何よりも明るく、楽しく私達を迎えてくれる。本当に感謝感激である。次回来る時は必ずお土産をもってこなくちゃ・・・・ そして、2時にシャルル氏と合流し、ついにトリュフ狩りへと出発である。 途中で彼の友人2名とトリュフ犬2頭と合流。目指すは樫を植えた『トリュフ畑』である! しかし、今年は昨年の夏の猛暑の為、トリュフ畑の所有者でさえもほとんど収穫がなく、加えて時期的にも遅く、見つかる可能性は少ないとのこと・・・ だから、最悪の場合、どういった風にトリュフ犬がトリュフを探し当てて掘り起こすのか体験できるようにと昨年収穫したトリュフをひとつ持ってきてくれていました。 畑までの道のりと、実際に樫の畑にてトリュフについていろいろとレクチャーを受けました。 まず、トリュフのできる樫には三種類あり、シェーヌ・ブラン、シェーヌ・ヴェール、そしてシェーヌ・クレメス。後者は野生の森の中にも多々自生しており、道々からも生い茂った樫の木を見ることが出来た。 そして、ラングドックに植えられているトリュフ・ノワールはペリゴール(トリュフの有名な産地)から特別な菌を採取してきて自然繁栄させているらしく、とても香が強く、ペリゴール産と変わらない高品質だとのこと。 そしてトリュフの取れる可能性の高い樫の探し方のレクチャーを受ける。 畑は年に一度、通路面を耕すのみで除草剤もなにもまいたりはしないそう。それなのに、樫の木の足元に雑草が生えていない状態のものにトリュフができる可能性が高いらしい。そして、トリュフができる可能性のある土壌に繁殖する野草もあり、それらを注意深く観察していく。 それと、トリュフの香につられてくる特別な茶色の蝿がいるらしく、歩きながらもその蝿が飛び立った時はそこにある可能性が高いそう。また、野生のねずみもトリュフをかじるらしく、掘った後の小さいくぼみが合った時は要注意である。 ![]() そして、なによりもやっぱりトリュフ犬!! 知的でかっこいい彼らがもっとも頼りになるパートナーなのである。優秀な訓練士であれば一年でトリュフ犬に教育する事も可能らしい。彼らはたいていの場合、猟に行ったときには猟犬として活躍する為、トリュフ狩りにいっても野鳥や兎を探し始める場合もあり、飼い主はつねに彼らに指示を出しながら、そして地面の微細な特徴を観察しながら、確実にトリュフのありかへと進むのである。 そうこう説明をうけながら畑を歩いていると、さきほどまで畑の中をフラフラしながらトリュフを探していた犬が突如、1本の樫の木に向かってまっすぐと足早に走り出した。そしてその樫の木の周りを2週ほどぐるぐる周り、飼い主になんらかのサインを出している!ガイドのフランス人達も皆、真剣な表情になり、一瞬、はりつめた空気が流れる・・・ 私たちの胸はドキドキでいっぱいである!!! そして、犬が軽く地面を掘り始めたところで、人間様の出番である!!! 土の一つまみとっては香が嗅ぎ、トリュフの存在を確認しながら掘り進む。 そして、想像よりも浅いところから親指大の小さい黒い物体が!!! ま・・・ まさしくこれはトリュフ!! 一同、皆感激!!! そして、トリュフを手に取りながら興奮状態にある私たちを横目にトリュフ犬はなんとつぎなるターゲットに向かい、走り始めた!! 一同もその後を追って、皆走る!! そして、また地面を掘り始める犬!!! 今度はだれか掘ってみろという事なので、もちろん先頭を切って私が挑戦!! (こうゆう事は誰にも譲らないちょっと困った人な私・・・) 土をつまんでは香を嗅ぎ、トリュフに少しずつ近づいていく。 そして、黒い頭が・・・・ おお!来たよ!来たよ!! 慌てて強引に取り出そうとする私に、フランス人達はもっと横を掘って慎重に!!と横からアドヴァイスを送る。そう! かなりの大物なのである!!! 慎重に横の土を取り除き、ついにトリュフ採取!!! ![]() その大きさにフランス人を含め、一同大感激!&大興奮!! 本当にトリュフが不作な今年に、これほどしっかりとしたトリュフが見つかるとは思ってもみなかったと畑の所有者のフランス人もびっくり!! その後、更にもうひとつ小さいトリュフを探し当てて今日のトリュフ狩りは終了。 見つかる可能性が皆無に等しいと思われていた予想に反しての大収穫に一同、大満足!!! そしてなんと!! 畑の所有者が私に一番大きなトリュフを手渡しながら、『Pour Vous.』と!! え? えぇ??? ほ・・・・ 本当っすか?? もらっちゃっていいんですかぁ??? おそるおそるトリュフを受け取り、やさしくナフキンペーパーに包んで鞄の中へ。 帰りの車の中はもうトリュフの香でいっぱい!!! 大・大ハッスルのまま畑をあとにした。 その後、トリュフのおいしい料理の仕方や、シャルル氏の家で顕微鏡を使ってトリュフの菌を観察。 ドメ―ヌに戻ってはマダムにトリュフを見せびらかし・・・・ JDSに帰ってきてはレセプショニストに見せびらかし・・・・ 笑 もちろん、証拠の写真もばっちり! 休み明けは、JDSのメンバーにもちろん見せびらかすつもりである!!笑 久しぶりに大充実の休日であった。 お誘いしていただいた村木氏に感謝。 そして、本当に厚い歓迎をしていただいたマダム・マリーに。ガイドをしてくれたシャルル氏に。快く個人の畑を開放してくれた方に。すべての人に心から感謝します。 フランス人の懐の深さに感動した1日でした。 自分もいつもこういう深い懐を持って人に接する事ができるようになりたい。そう思う事ができたこの体験は今日見つかったトリュフよりももっと貴重な収穫かもしれない・・・。 トリュフ狩りで探し当てたトリュフのその後・・・・ 2日間、香を出す為に置いておく。 その後、どんな料理にしようかと考えた結果、やはり一番トリュフの味わいをストレートに楽しめる料理がいいということで、意外にも?とってもシンプルなパスタとサラダを作ることになった。 トリュフが保管してある冷蔵庫を開けると、強烈なほど芳醇なトリュフの香が感じられた♪ これなら充分、良い状態だ!! そして、表面の薄皮をすべて削り落としてから、おもむろにスライスする。 4人分で約60グラムのトリュフ一個はかなりの量である。 パスタを茹で、オリーヴオイルをたらして絡め、そこに好きなだけトリュフのスライスをかけて混ぜ合わせる。パスタの熱によってトリュフの香が強く増幅される!シンプルなだけにトリュフの香や歯ごたえがストレートに伝わってくる!♪ 自分で掘り当てたトリュフを料理して食べるなんて、フランス人でさえほとんど経験した事がないと思う。 とっても貴重な体験でした。 ![]() |