2006/08/20(日)18:49
■泡沫の夢-18:小春日和
■和の言葉を題材にして50のお題
提供元:http://alethea.velvet.jp/wa_50/index.html
18:小春日和
身を切るような寒さが、涙と鼻水だらけの顔を襲った。吹き付ける雪の結晶が張りつき、水分を硬化していくようであった。皮膚の表面は痺れて感覚を無くしている。頭は随分と前から高い熱を放っていた。
家路に辿り着かぬまま躰を路上に投げ出したくなった。
人気の少ない深夜なら誰にも見つけられずに、朝になれば死体となれる。希望をそのまま実現化させたい、だが死屍を見つける赤の他人に迷惑はかけられなかった。
やはりと家に帰ってから死ぬこととする。
一人暮らしの家は当然ながら無人である。入ってすぐの温もりなど夢物語だ。病気をしても看病してくれる人もいない。
やはり死のうと思う、死んだ方がマシだった。
敷きっ放しの布団に潜り、二度と目覚めないようにと祈りをかける。だが、現実は思い通りの儚き願望を実現してはくれない。
覚醒した意識に抗うよう惰眠を貪る。
窓から入る日が暖かい。
あれほど冷え切っていた躰は震えることを忘れていた。起きあがってカーテンを開けると、そこに柔らかな光を抱いて座る人がいる。
「誰だおまえ」
「小春日和」
そういえば自分が何故、死のうとしていたのか思い出せない。
景色は穏やかなほど晴れ渡っている。
こういうときはこの言葉に限る。
「ま、いいか」
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←また凄く時期外れなお題です(苦笑)
←小春日和の意味間違えている人多いですよね、そういう自分も間違えてましたが(苦笑)内容はオーソドックスに。
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