おひさま 覗く女
連続テレビ小説「おひさま」|NHKオンラインNHK 長野放送局 連続テレビ小説 「おひさま」 17日水曜の回 丸庵。袋に入ったそばの実をボウルにあける和成。テーブルの上にはまだ開けられていない袋が2つある。「結構残ったね。儲かったね。」と嬉しそうに言う徳子に陽子も同じ気持ち。道夫があいつらあまり食わなかったな、と話すと、陽子は仕方がないんじゃないかと思ったと話す(米兵が丸庵にやってきた日の回想シーン)。徳子がなんでなのか理由を聞くと、陽子はアメリカという異国から来て(本で知っているだけだが)、国が違うと食べる物も全く違うので、あの人たちがすぐに馴染めなくても仕方がない、と話す。陽子は続けて、例えば私達がアメリカへ行ったとして、街の食堂に入って生まれて初めての物を口にしたとする。向こうの人にはとても美味しい物でも私達はすぐには美味しいとは思えないのではないか、と説明する。陽子の説明に和成、徳子、道夫が「あ~」となるほどという顔をしていると、陽子は私達日本人はあんな風に残したりしない、と言って、米兵が残した行為をダメだ、と言う。徳子も陽子に同調してあれはダメだ、失礼だ、と言ってテーブルを叩く。道夫はアメリカ人がどんな物を食べているのか、どんな生活をしているのか、とちょっと興味ありそう。そんな話を聞いた陽子は何かを思い出して日向子を和成に預ける。 陽子は雑誌を持ってきて「(アメリカの生活は)こんな感じらしいですよ」と言って家族に見せる。雑誌は英文で、アメリカの家庭・家族の描かれた挿絵もある。和成、徳子、道夫は珍しい物を見ているような感じで雑誌を覗き込む。陽子が挿絵を指差して冷蔵庫らしい、と言うと、徳子は「でっかいねえ」と驚き、冷蔵庫に一杯詰まった食料品を見てこんなに食べるのかと驚く。陽子が(冷蔵庫を)電気で冷やすらしい、と教えると家族は皆驚く。徳子は挿絵の男性の持っている物を指差して、これがなにかと陽子に尋ねる。陽子はそれはお肉だと答え、道夫は「こりゃダメだ。これはこいつら、蕎麦は食わねえよ。」と言って笑う。 道夫はそばの実の置いてある席まで行ってそばの実を触りながらこれをどう使うか、と家族に聞く。徳子が「どうって?」と聞くと道夫は今はこれだけあるが無くなったらまたそばが打てなくなるのでどう使うかだ、と答える。徳子が道夫にどう思っているのか尋ねると、道夫はぱ~っと使ってうまい蕎麦をバッと出したいと思う、と笑顔で話して和成に意見を聞く。和成は「もったいないと思う」と言って、うまいそばを少しでも出したい道夫の気持ちはわかるが、ちゃんとそばを出せる日まで今はそれを我慢したほうがいいと話す。道夫が「ん~」と唸っていると和成はそばの風味を少しでも味わえるようにコンニャクをそばの中に練りこんで出せないか、と意見を言う。道夫が驚いていると、和成はそうやって使ったら長く使えるし大勢の人に食べてもらえる、と話す。道夫は「う~ん」と唸りながらそばの実を触って「でもこいつがかわいそうだに」と言う。 夜、丸庵2階の部屋。布団に入っている陽子が日向子を寝かしつけている。和成は布団の上に座りながらそば打ちとしては道夫のほうが正しい、と言って、自分はなりきれていないのかもしれない、と話す。陽子は起き上がると和成にお店に出たいのではないか、と聞き、外で稼ぐ仕事は私が頑張るから大丈夫だと言う。陽子の言葉に和成は今はまだいい、と返事し、「俺は急がねえ。必ずいい方に向かうって信じてるだでね。」と話し、陽子は微笑んで頷く。 1階の部屋。道夫は庭の方を向いて座ってため息をつき、徳子は手ぬぐい(おしめ?)を畳んでいる。道夫はあいつ(一成)の方が正しい、と言い、徳子も「そうかいね」と返事する。道夫はまたため息をつき、あいつはちゃんと大人になっているんだな、としみじみ言うと、戦争だ召集だとそんな事ばかりやっているうちにちゃんと大人になっているんだ、と鼻をすすりながら話す(ちょっと涙が出ているのだろう)。徳子も和成も今ではお父ちゃんだ、と言って2人で笑う。徳子がさっき何でそう言ってやらなかったのだ、と道夫に尋ねると、道夫は親父の意地というものがある、そうあっさりとは(言えない)と答える。徳子が「めんどくさいねえ、男は。」と言うと、道夫は「そういうもんなの」と言って笑い、徳子は「はいはい」と言う。道夫が立ち上がって布団を敷くと言い出し、徳子は道夫が布団を敷いてくれるので嬉しそう。 朝、丸庵調理場。調理場にいる和成と道夫。道夫はコンニャクとそばの割合がこれくらいでいいのか、と素直ではない言い方で和成に尋ねる和成が答えに困っていると道夫は「おい、どうなんだよ」と聞き、和成がわからない、そこまで考えていない、と返事すると道夫は「考えとけ!バカ野郎」と言い、和成も苦笑い。このやりとりを後ろの方で陽子と徳子が笑いながら聞いている。 陽子の勤め先。ガリ版刷りから紙を取り出して席につく陽子。良子と竹内は相変わらず黙々と仕事をしている。長椅子の上で眠っている日向子を見て微笑む陽子だが、良子と竹内が黙々と仕事をしているのを見て陽子も仕事を続ける。 丸庵。外に野良着を着た女性(安藤サクラ)がやってくる。暖簾を少し開けて入り口の戸の隙間から店の中を窺う。次にすぐ横の店のガラス窓の方から店の中を覗き込む。 陽子の勤め先。黙々と仕事をしていると竹内がちょっと出かけてくると言って立ち上がる。陽子がいってらっしゃいと声をかけると竹内は小さく頷いて部屋を出る。陽子は良子に微笑むが良子はすぐに下を向いてそろばんをはじいて仕事を続ける。すると社員の女性から呼び出しがかかる陽子。陽子はすぐに返事をするが、呼び出しのほうは急いでいるのか催促気味。陽子は良子にちょっと行ってくると声をかけて部屋を出て行く。良子は出て行く陽子を目で追い、日向子の方を見て「やれやれ」という顔。とここで日向子が声をあげて泣き始める。良子はうろたえ気味になり陽子が戻ってくるのか廊下のほうを見るがまだ来ない。良子はそっと立ち上がって日向子に近づいていくが、陽子が戻ってくるのがわかり慌てて戻ろうとする。しかし慌てていたせいか机の上の帳簿を落としながら転んでしまい、慌てて帳簿や伝票を集める。戻ってきた陽子は泣いている日向子を抱き上げるが、良子が床に落ちた物を拾っているのを見て大丈夫か声をかける。良子は「どうもしません」と言って席に着いてすぐに仕事を続ける。 須藤家居間。新聞を読む良一。新聞記事には「相馬剛三氏 圧勝 安曇野の帝王強し、大野氏を引離す」という剛三の顔も載った相馬剛三の町長選当選の記事。「午前十一時ごろ相馬剛三氏は数人の秘書とともに悠然と選挙事務所に現れた。そして支援者や訪問者でごった返す中、相馬氏は声を張り上げながら、走り回った。「民主勢力が結集した結果です」「勝った、勝った、勝った」あまりのはしゃぎぶりに周囲が相馬氏を止める一幕もあった。」などと書かれている。隣の部屋では茂樹が勉強をしているが、「あ~」と言って難しいのかはかどっていない様子。良一はそんな茂樹を優しく見守る。 茂樹はその頃、松本の医学専門学校を受験するために独学で勉強を始めていたようだ。「こんちは~」と勝手口のほうからハルの声がする。良一が返事をするとハルは煮物の入った鍋を持って居間に上がってくる。ハルは何やらご機嫌で笑っている。そんな様子に良一と茂樹は顔を見合わせて「なんだ?」という表情。ハルが突然「リンゴの唄」を歌い始めてご機嫌なので良一と茂樹は何かいい事があったのか、と声をかける。ハルは何でわかるのだ、と驚いて笑いながら頭をかくと、立ち上がって本人を呼んでくるのでちょっと待つように言って笑いながら須藤家を出て行く。良一と茂樹は出て行くハルを見ながら「どうしたんだろう?」という様子で首を傾げる。 丸庵。先ほど外から覗いていた女性は店の中の席にやや緊張した様子で座っている。店には他に5人ほどのお客さん。徳子がコンニャクそばを持ってきて女性に出すと女性はおじぎをした拍子にテーブルに頭をぶつける。徳子が大丈夫か声をかけると女性は大丈夫だと返事してコンニャクそばを食べ始める。女性はそばを一口食べると「うんまい」と笑顔になり、美味しそうにそばを食べる。 須藤家居間。良一、茂樹が並んで座り、テーブルを挟んで反対側にタケオ、ハルが座る。タケオが嫁をもらうと決まり、その報告をする。茂樹は「タケオ・・・嫁・・・もらうのか」と言って口は半開きにしてちょっと呆然状態。タケオは満面の笑みでとても嬉しそうな様子で、ハルもとても嬉しそう。良一はタケオに「おめでとう」と言い、タケオは笑いが止まらない。茂樹は相変わらず口が半開きのまま呆然としている。ハルはタケオに照れている場合ではない、と肩を叩くが、タケオはとにかく笑いが止まらない。 丸庵。日向子を抱いた陽子が帰ってくる。徳子が「おかえり、陽子」と声をかけると、先ほどの女性はスッと立ち上がって陽子のほうをじーーーっと見つめる。陽子は「おいでなさんし」と挨拶するが、女性はそばが口に入ったまま身を乗り出してまばたきすらしないで陽子を見続ける。さすがの陽子も笑顔が消えて目を大きく見開いて「なんなの?」というような表情。 タケオ、ついに結婚ですか~。おめでとう!!