◆ラテン旦那と大和撫子妻◆

里帰りでの嫌な体験

一昨年の夏、念願叶って6年振りの里帰りをしました。


子供達も私もわくわくで、成田空港へ到着。


子供4人を引き連れて、

ベルトコンベアで荷物が出てくるのを待っていました。


末っ子が未だ2歳でかなり手がかかる中、

抱っこをせがむので仕方なく抱き抱え、重いスーツケースを


ベルトコンベアから引き挙げる作業を繰り返していました。


スーツケースの量、合計10個。(笑)


普通ここで、誰かしら出て来て手伝ってくれたのがアメリカ。


しかしここは日本。

別に期待はしていなかったけど、


案の定誰も手伝ってはくれなかった。


今度は、この10個のスーツケースをカートに載せなくちゃいけない。


長女(9歳)と次女(7歳)に、下の子2人の監視を頼んで

重いスーツケースを持ち上げようとするんだけど、


これが中々持ち上がらない。


悪戦苦闘をする私を遠撒きにして皆見ている。


こら~! 私は見世物じゃないんだぞー!!!



長女は、痺れを切らして


「誰かに頼めばいいじゃない」

って言って来たけど、何だか癪に障って頼むのは悔しいので


「大丈夫一人でやれるから。」と言いつつも、大汗かいて

どうにかカート2台に載せることが出来ました。



確かにあの時誰かに、


「すみません、手伝ってくれませんか?」って頼めば、

誰も嫌な顔はしないでしょう。


唯ね、困っている人が目の前に居るのに、

どうして一歩前に出れないのか?っていう事に腹が立っちゃったんです。


実は私がここまで腹立たしく感じるのは、



それは日本に居た、


以前の私がそうだったから。




ある日、お婆さんが電車に乗りこんで来ました。

勿論お婆さんの姿を、

その車両に乗っていた人達は私を含めて殆の人達が、

一瞬のうちに確認した筈です。


その途端に居眠りをきめ込むおっさん。

唯下を向いて座っている女子学生。


皆見て見ぬ振りをする。


私は心の中で葛藤する。


「今だ!今しかないよ!  ほら、席を譲ってあげないと!」


そんな事をしているうちに、お婆さんは3つ目の駅で降りて行ってしまった。


あの時の自己嫌悪といったら、本当に情けなくなりました。


私だけでなく、何人も同じ事を考えていたことでしょう。


席を譲ってあげる、勇気が無いんですね。



経験したこと無いですか?

電車の中で老人や、身障者の人、妊婦等に、

席を譲りたくても、しちゃいけないような変な空気。


誰もが見ない振り、寝た振りしてをして居る。



今の旦那と当時付き合う様になってから


彼が自然に電車の中で、躊躇する事無く席を譲ったり、

ドアを開けてあげたり、と言うちょっとした心使いに


段々感化され始めました。


私も勇気を出してやってみよう!


そう心に決めてから初めて電車の中で席を譲った時の


何とも言えない感動と、満足感。


でも、席を譲った後に感じる異様な人々の視線。


あれもちょっと勘弁物ですね。(苦笑)



それからもう1つ。とっても嫌な気もちになったのは


スーパーや、ホームセンター等に、

身障者用の駐車スペースって設けてありますよね。


あのスペースに健常者が堂々と駐車をしていると言う事。



私はあれが許せなかった。


たまたま妹と買い物に出かけて車を停めると、

何と私達の目の前で、身障者用のスペースに誰かが車を停めたんです。


私と妹はその場で車から出てくる人を確認する為に待っていました。


案の定、出て来たのは若い女の子。


すかさず走り寄って声を掛けました。


「ねえねえ、ここは身体障害者用の駐車スペースだって知ってましたか?」


すると彼女、

「え?え?  あ、すいません。でも、急いでいるから、」

と言いながら、走り去ってしまった。


その他にも至る所で、目撃しました。


酷いと、その身障者用スペースにお店の人がワゴンを出して

物を売っている。


何だか、空しくなりました。


私の怒りもそうやって蓄積されて行ったんですね~。(苦笑)



そしてついに事件は起こりました。


叔父や叔母達の居る東北へ向う途中、東北自動車道の

レストエリアに寄ろうという事で、下半身が麻痺している身障者の母の為に

なるべくトイレやお店から近い所に停めたかったけど、

あいにくスペースは空いていませんでした。


ちょっと離れた所へ車を停めて歩いていると、


身障者用スペースから車が出て行き、そこへ後からスーッと

別のワゴン車が駐車しました。


何気に見ていると、中から中年のグループが

楽しそうにおしゃべりをしながら、ぞろぞろと出てきました。

中には、へらへらと笑いながら、


びっこをひく真似をして出て来た人も居ました。


そして全員外へ出るなり、一斉にタバコを吸い出した(笑)




けしからん~~~!!!




それを見ちゃったら、もう黙っていられなくなっちゃって、


なりふりかまわずティファニーを抱えたまま、


そのグループに向かって勢い良く歩き出しました。


私:「すいませんけど、ここは身障者用の駐車スペースですよ!」


おっさんタバコをプカプカふかしながら、横目で私をチラッと見て、


おっさん:「何だお前? そんな事あんたに関係無いだろう!」


私:「関係あります。もし、身障者でないのならどこか他に駐車して下さい。」


おっさん:「生意気な女だなー!」


そう言いながら、斜(はす)に構えたまま

私の頭からつま先まで何度も見返しています。


私:「生意気でも何でも結構ですから、早くここから車をどかして下さいよ。」


おっさん:「ここには一人身障者が居るんだよ。」


そう言っておっさんは、あのびっ子をひく真似をしていた

おっさんを指差した。


妹が脇から、「それなら、身体障害者手帳とやらを見せて下さいよ。」


おっさん2:「そんな事は嫌だね。見ず知らずのあんたに見せれるもんじゃねぇからな。」


妹:「どうしてですか?  ちゃんと証明してくれたっていいじゃないですか!」


怒鳴り合いでそんなやり取りをしているのを、


黒だかりの人達が周りで見ている。


グループの中の紅一点の派手なオバハンがやり取りの間中、


タバコをふかしながら私達に睨みを効かせていた。


オバハン:「何なのこの生意気な小娘共は!

この人にはね、ペースメーカーが入ってんのよ!わかったか!」


私:「でも、キビキビ歩いているしタバコも吸っちゃってるんじゃないですか。

それになんですか、ビッコをひく真似をするなんて!

人間として最低ですよ!」


ペースメーカーが入っていると言う事で、途端に勢いを増したおっさん達。


すると母が出て来て懇願しました。


母:「すいません、もし身障者手帳をお持ちならどうして

身障者の印のステッカーを車に貼らないんですか?

健常者の人達が無視してこのスペースに停めているから、

娘達が怒ってこういう事になってしまったんですよ。

だから、本当に宜しくお願いします。」


そう言って、


母はおっさん達の前で頭を下げて合掌した。


おっさん達は急に大人しくなって、

これからちゃんとステッカーを申請して

車に貼る事を約束してくれた。


私達も、失礼をお詫びしてレストエリアを後にした。


とっても後味が悪かった。


その後誰も、あの事件については語ろうとはしなかった。


余計な事をしちゃったのかな?


つい頭に来て怒鳴り込んで行っちゃった自分を反省しました。


あの時、もっと冷静に


「失礼ですけど、身障者手帳はお持ちですか?」って、

切りだせば良かったのよね。


様々な事を考えながら、親戚達の待っている、


みちのくへと、車を走らせたのでした。



あのおっさん達どうしているのかな?


未だふざけてビッコひく真似とかしているのかな?(笑)


それだったら、


その件について、又私飛んで行っちゃうよ!










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