◆ラテン旦那と大和撫子妻◆

テロ&Ghost,FBI へのEメール

これは嘘のような、本当の話です。

あれは忘れもしない、2001年9月7日の深夜。

パソコンをやり始めたばかりの私は、当時チャットにハマっていました。

いつも行くお気に入りの部屋。


その部屋には色々な国の人達も訪れるという、一風変わった部屋でした。



あの日、チャットをしていたのは日本人が数人と、

余り英語が得意でない、ちょっとぶっきらぼうな韓国人♂、

そして、日本語が流暢なアメリカ人DAVE。



何だかんだと他愛も無い話で盛り上がっていた所にいきなり、



「Hello JAPAN.」



と“Ghost”と名乗る人物が入り込んできた。


お決まりのように皆が挨拶を済ませると、

“Ghost”は、日本語が理解できないからなのか、

皆の会話とは全然関係の無い事を、

お構いなしにブロークンな英語でまくし立ててくる。


それに腹を立てた韓国人♂は、

こういうRude な奴は無視しようと提案して来た。



ちょっとした沈黙の後 “Ghost”は


「I hate AMERICA.」と言って来た。


ぎょっとした。多分皆もそうだったと思う。

その後ここには書けないような、

ありとあらゆる差別用語を屈指し、

散々アメリカをこき下ろしたのだった。



こうなっちゃー、DAVEは黙っていません。

何故そんなに嫌うのか、怒りを堪えて丁寧に一つ一つ言葉を選んで、

懸命に話し合おうとするDAVEの姿が目に見えるようだった。


にも拘らず“Ghost”は、傍若無人に言いたい放題。



妙な事に何故か日本の事は

「I like JAPAN.」と言っていた。


そして居なくなる直前に、

「この先これから面白い事が起こる」って、

意味不明な言葉を最後に、突然パソコンの画面一杯に

真っ赤なアラビア語の羅列を残して消えていった。





皆、目が点ですよ。




何だったんだ、あのアホは......!?。でその日は終わったんです。





そして4日後の9月11日。

あの忌まわしいテロが起こり、4,5日は呆然としていたのですが、

ひょんな事から、あの夜チャットに出現して来た“Ghost”の事を思い出した。



何だか背筋が寒くなるような悪寒に襲われた。

その夜あのチャット部屋に行くと、DAVEと韓国人♂は居なかったけど、

その部屋の管理人と、もう一人の日本人が居た。



テロとの関連があるような気がするんだけど、って聞いて見ると皆、


もしかして!って言う事になり


管理人は何とあの夜の会話を記録していたのです。




わくわくしながら記録を確認してみると、

残念な事に肝心のアラビア文字が、全て只の真っ赤な点に変わっていた。


これじゃあ、証拠にも何もならないねって、皆諦めました。

何だか拍子抜けしてしまったんですが、根がしつこい私は



どうしてもこのまま何もしないで終わるのが、消化不良って感じで

納得いかなかったんです。



散々悩んだ挙句、これが例え何の足しにもならない情報であるとしても、

やっぱりFBIには、

こういう奇妙な事がテロのわずか4日前にあったんだ

って云う事実だけでも、伝えるべきだって思ったんです。



旦那には止められたので、彼には内緒でFBIにメールを出しました。

その後は、何の解決にもならないとは思っても、

胸のつかえが取れたような気持ちになりました。



そして約1ヵ月後、


私のメールボックスに、FBIからの返信が届きました。

以下はその全文です。

.....................................................................


We want to apologize for not acknowledging your submission sooner, but we
have been occupied handling the overwhelming number of valuable tips from
concerned individuals such as yourself. We have received your submission
and are giving it and all other submissions the extensive attention that
they deserve. Thank you for your assistance during this period of crisis.




今でも、あの真っ赤なアラビア語の羅列を思い出す度に、背筋が凍るような

とてつもなく嫌な気持ちになるのです。




テロで亡くなられた方達のご冥福を、心からお祈り申し上げます。



       NEXT




© Rakuten Group, Inc.