2004/10/07(木)09:45
「壬生義士伝」 浅田次郎
映画を見て感動して、本も読みました。
幕末に南部藩を脱藩し、新撰組隊士となった吉村貫一郎のお話。
映画ではえがききれなかった細かい話、貫一郎と大野次郎右衛門との友情、お互いの嫡男の友情、貫一郎の息子嘉一郎のその後、吉村先生を慕ったみよの話など、読み進むうちに辛くなってきました。
特に下巻では、佐助から見た吉村の最期のあと、本人による同じ場面。
涙がにじんでなかなか読めなかった。
いろいろな人が、自分の知っている吉村貫一郎について話をし、合間に死を目前とした貫一郎の独白があり、いろいろなことが辛かった。
吉村の息子嘉一郎もまた、父と同じように死んでいく。
その前の友との別れとか友情とか、泣ける話ばかりだ。
家族のために働き続け非業の死を遂げた貫一郎に涙し、娘みつの幸せが何よりも救いとなった気がした。
最期、映画とは違う感動があって、「お帰りなさい、吉村先生」と言いたかった。きっと、ものすごくうれしかっただろう。
映画を見た後だったので、方言とか気にならなかったし、かえっていい味を出していた。
おおかたのあらすじはわかっているはずなのに、それでもなお感動した。
今の時代と違い、出自がすべてという時代にあって、せいいっぱい生きた吉村貫一郎が大好きになった。
この作品の中で言われている義については難しくてうまく説明できないけど、すばらしい作品だった。