2017/09/15(金)07:38
むかし、乙女がおりました・・・
ブックオフに行って、何も買うものがない日には、漫画コーナーにまわります。
そこにも今はもう私の好きな漫画はほとんどないのですが、文庫版には昔のものを縮刷したものが時折あるからです。
でも漫画コーナーは好きではありません。一体この頃、店側は何を考えているんだか、立ち読みを放任どころか、逆にそれをすすめるような放送まであって、この店は買う客を馬鹿にしているのか、客ともいえない立ち読み客を優遇しているのかと思ってしまいます。考えてみて下さい。古本はすでに読まれた本ではありますが、なぜに多くの者がいっぱい立ち読みし、またまた手垢のいっぱいついてしまったかもしれない本を、金を出して買わなければならないのでしょう。
こんな買う客を馬鹿にしたようなことを一等最初に始めたのは、枚方のツタヤだったように記憶していますが、もう30年くらい前だったでしょうか、行ってびっくり、見てびっくり、寝転がって読んでも、食べ物を食べながら読んでも自由なんだそうで、じゅうたんらしき敷物が敷いてあったことを思い出します。そこへ行くと、流石にまんだらけはまともで、本はぱらぱらと確認する程度立ち読み禁止の旨の張り紙がありました。昔は立ち読みなんかすると注意されたし、小さな店では口では言いにくかったのか、店主がはたきを持ってきて行動でこれみよがしに掃除するふりをして、立ち読み禁止を訴えたものです。新刊書店だって誰かがいっぱい立ち読みすれば古本と一緒ですもん。あまり気分の良いものではありませんでしたが、今となればそれのほうが正しかったんだと思います。
はてさて漫画の話です。
その日は本棚に木原としえの『アンジェリク』を見つけました。
木原としえは切り抜きも沢山持っているし、単行本もほとんど持っています。木原としえのコレクターではないけれど、いとも簡単に泣けてしまう漫画で愛おしんでいます。
彼女の物語の最後はたいてい
むかし、乙女がおりました
風の回顧調で、そこではらはらはらはら、泣いてしまうのです。
まー店でもうっかり泣いてしまうところでした。
子どもの頃は漫画を読んで、ヒックヒックと縁の下に隠れてよく泣いたもんでした。
厳格な家では、食卓についてない娘が一人いると大騒ぎで探し、見つけられては叱られました。
漫画を読んでご飯が喉を通らないなんてアホな妹やと、姉がよくぷりぷりと怒ったことを思い出します。そうでしょうか、理由はよくわかりませんが、悲しいとか、嬉しいとか、なにかそういう時には胸がいっぱいになって、とてもご飯なんか食べられないことってあります。
今では年をとったせいか、悲しくても嬉しくても、それで食事抜きなんてことはありませんが、ひととき心洗われ、心が綺麗になったようで、やはり単純に泣ける漫画はいいな~と思うのでした。
それで家に帰って、またまた書棚の奥から木原としえを引っ張り出したのでした。