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ひよきちわーるど

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2020.07.03
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カテゴリ:生きていくこと



確かに、それまで九州で生きていた人間が
同じ日本とは言え文化も慣習も違う関西に嫁ぎ、
この○○家の中、試行錯誤を重ね戸惑っていたことも事実である。

慣れぬ暮らしの中、生来の口下手も手伝い
義父と意思の疎通のうまくできないことも幾度となくあった。( 他者と暮らす 2より )



そんな中、義父が「もっと心を開いてほしい」と
言ってくれたことがあった。

・・・正直言って、びっくりした。
当時、自分でもめいっぱい心を開いていたつもりだったから。
こ、これ以上、何をどうすればよいのだろうか・・と思案したことを覚えている。


実を言えば、自分自身、九州の実家においてでさえ
あまりものを言わぬ人間であった。

中高生の頃にも、そのあまりのもの言わなさを担任の先生に心配され、
従兄にも「いつか自殺するんちゃうか」と心配され
社会人になってからは上司に「ほとんど笑わないね。大丈夫か?」と言われてしまった。

自分としては、ごく普通に過ごしているつもりだったのだけれど
はたから見れば、どうもそういうわけではなかったらしい。



思えば反抗期もなかった。

反抗というものは、やみくも、力任せに投げたボールが
必ず自分のもとに返ってくるという確証があるからこそできるもの。
受け止めてくれる壁があってこそのもの。

そして 何か行動を起こせば、相手は必ず自分のことを見てくれるはずだという
信頼のようなものがあるからこそできるものだ、と今では思う。

以前の日記にも書いたことではあるけれど、自分の下には弟や妹たちが3人
幼いころから家の中はいつも賑やかであり、
私のもの言う隙間などあるはずもなかった。

何か言ったとて、一体誰が自分の言葉など掬いあげてくれただろう。


他の長男・長女の方々同様
風邪を引き高熱を出し、臥せっている時ですら
ただでさえ多忙な両親に負担をかけてはいけないと
お願いしたいこと、伝えたいことを我慢し、独りでいた。

いつしか 自分にも他の人と同じように言いたいことのあったこと、
伝えたいことのたくさんあったこと、分かってほしかったこと、
そのようなものが自身の中にあることさえ 忘れるようになっていった。



そして これもまた以前の日記に書いたことではあるけれど
私の父は、自身が1歳の頃に自分の父を亡くしている。
そして母もまた、自身が3歳くらいの頃に自分の母を亡くしている。

いわば、私の父は「父親」というモデルを知らないまま
そして私の母は「母親」のモデルを一切知らないまま、親になったのだ。
そういう両親のもとに初めての子どもとして生まれてきたのが私だった。


当時、父は22歳、母は23歳の若さ。
初めての子育てに右往左往したことと思う。

そんな中でも 手探りで、一生懸命に育ててもらったことに心から感謝している。
私自身が出産を経験し、子育てを経験したことで
その感謝の思いは一層強くなった。


おそらくは父も母も 自分たちが幼かった頃、
その胸に抱えていた様々な思いを誰からも聞いてもらえなかったのではないだろうか。

聞いてもらえばこそ
人は、聞いてもらった時の嬉しさ、安心感を初めて知ることができるのに。


もしも、2人が
一度も自分の胸の内を聞いてもらったことがなかったとしたら。

親に「自分の話を聞いてもらう嬉しさ、質問されることの嬉しさ」が
この世に存在する、ということすら知らなければ
それを初めての我が子にしてあげられるわけもない。


父と母のことである、
もしも2人が 自分の思いを聞いてもらえる嬉しさを知っていたとしたら
我が子にもその嬉しさを教えてあげたい、と思い
「今、何を考えている?」「困ったことは?」「○○についてはどう考える?」などと
しつこいくらいに私に質問し、あれこれ心を砕いてくれていたことだろう。

しかし、残念ながらそのようなことはかった。
 


・・・つくづく、あの戦争がなかったら、と思う。

もしも戦争がなかったならば
父の父も、そして母の母も若くして亡くなることはなかった。

そして まだ幼かった父が親戚の中で暮らすことも、
母が「私にお母さんがいたら」と泣くこともなかったかもしれない、と思う。




( 続きます )









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Last updated  2020.07.03 10:53:28
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