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テーマ:タイガース党(8258)
カテゴリ:阪神2008
あっ晴れ石川!雨の神宮で2勝目や
若虎の絶叫が、雨の神宮を熱くさせた。「残り5試合。本当に負けられないので、またご声援お願いします!」。2個目のウイニングボールを手に、仲間と勝利の握手を交わす。首位攻防のカギを握る一戦で、阪神・石川が6回2失点の快投を披露した。 「チームのことを一番に考え、気持ちを出して投げるだけでした」 強心臓がウリのルーキーに、ピンチなど存在しない。二回だ。雨の影響から微妙に制球を乱し、2者連続四球。送りバントが決まり、一死二、三塁となった。だが「ピンチの時の方が『見せ場を作ったな』って力が出る」と強気な男は、言葉通りに打者を料理する。 梶本を外の直球で遊ゴロに料理すると、続く川本に対しても強気の投球。2-3から外角低めに制球されたスライダーで、空振り三振に斬った。初回無死満塁を0点でしのいだ前回登板に続いての快投に、岡田監督も「そういうところ(ピンチ)で落ち着いて投げてる。こないだもな」と、最大級の賛辞でたたえた。 この日の舞台は大学野球の聖地、神宮球場。4年間の汗と涙が染みこんだグラウンドは、忘れることのできない苦い記憶が残る場所でもあった。 「ここは打たれた記憶しかない。僕のせいで負けましたからね…」 昨年6月14日。全日本大学野球選手権の準々決勝で、上武大は東日本国際大と対戦した。3点リードの六回。石川は一死満塁で救援登板した。だが1-0からの2球目、簡単にストライクを取りに行った1球を、左翼スタンドに運ばれた。エースの乱調でチームはまさかの敗戦。1球の失投に涙し、1球の怖さを胸に刻んだ試合だった。 「気合は一番入ってた。(ボールが)抜けてもいいから、思い切り腕を振ることだけ考えてました」。あの日からすべては始まった。後悔だけの1球を成長への糧とし、1年の歳月を経て猛虎の窮地を救った。六回二死まで無安打投球。ルーキーがまたも大仕事をやってのけた。 鳥谷から5点!暗雲吹っ飛ばしたぁ~ 一直線に伸びた鋭い打球が、雨粒のカーテンを真っ二つに切り裂いた。漂いかけていた重い空気を打ち破った。沸き上がった三塁ベンチ。先制点を叩き出し、阪神に流れを呼び込んだのは鳥谷のバットだ。価値ある一打が勝利への足がかりとなった。 「前の打席でやられてたんで、何とかしたいと思ってました」 四回だった。一死満塁の好機で打席に立つと、迷うことなく初球に襲いかかった。真ん中高めの直球に反応すると、力強くはじき返した打球は、ライナーで中堅・青木の頭上を越えた。一気に2者が生還した先制の2点適時二塁打。二回一死三塁の好機で空振り三振に倒れた悔しさを、一振りで晴らした。 新井のスタメン復帰に伴い、6番に戻ってからは4試合連続で打点を記録。「チャンスで回ってくる機会が多いんで。でも、たまたまです」。謙そんして振り返ったが、チームにとって頼もしい存在だ。守備でも、雨でコンディションの悪い中、無難に乗り切った。 敗れれば、首位陥落となった一戦で発揮した勝負強さ。「自分たちは、目の前の試合に勝つことを考えてます。(巨人の)結果は気にしないと言うとウソになりますけど、でも、そんなにプレッシャーになることはない。自分のプレーをしっかりすることです」と鳥谷。足元を見失うことはない。栄光のゴールを目指して、一歩一歩、確実に前進を続けていく。 いいぞバルディリス!ダメ押し3ラン よっしゃ。両手には心地よい感触が残っている。雨粒を切り裂く白球を目で追いながら、阪神・バルディリスは確信していた。「打った瞬間、入ると思ったよ」。びしょぬれになりながら、声援を送ってくれた虎党の声援が心地よかった。そして何より、勝利の味が最高だった。 2点リードの九回だ。二死三塁から金本の敬遠で一、三塁。その直後に敬遠策が失敗だったと、マウンドの林昌勇に思い知らせることになる。カウント1-1からの3球目、128キロの外角スライダーを腕をのばしてとらえた。打球は黄色く染まった左翼席へ飛び込んだ。今季第3号の3ランで、勝利を決定づけた。 「チャンスをもらったから何とか生かしたかった。林はいい投手。新井の打席から配球を観察していた。しっかり準備ができていたから、積極的にいけた」。八回に今岡の代走で途中出場し、この試合初の打席で結果を出した。今岡の復帰で打席に立つ機会は減ったが、しっかり心の準備はできていた。 「今年は必死で頑張って、来年も阪神でプレーできたらベネズエラから家族を日本に呼び寄せたいんだ」。育成枠からはい上がった25歳は、そんじょそこらの若手とは根性が違う。 ニックネームの「ひろし」の声に見送られての帰り道、バルディリスは改めて誓った。「こんなに応援してもらって気持ちいい。勝って優勝したいんだ」。ゴールまで気を抜くつもりは毛頭ない。 鉄腕で堅首!9連投も球児はつぶれない 勝利のマウンドには、この男の笑顔がよく似合う。阪神・藤川球児投手(28)が9試合連続登板。八回からマウンドへ上がり、2回を無安打無失点4奪三振と完ぺきに締めくくった。3年ぶりの2日連続2イニング登板で37セーブ目。守護神の炎の連投で、単独首位をがっちりキープした。 ◇ ◇ 最後はこん身の内角速球で見逃し三振。魂の熱投を支えたロジンをポケットから取り出すと、球児は笑顔でスタンドに投げ込んだ。 「もう、いらんもん」 もはや無用となった命綱。しかし虎党の手に渡った瞬間、それは一生の宝物となる。雨の中で声を限りの声援を送ってくれた虎党に、球児は何かの恩返しがしたかった。 「言葉に表せないぐらい感謝してます。本人はまったく意識してないだろうけど、タイトルも獲らせてあげたい…」 帰り道でつぶやいた久保チーフ投手コーチの言葉が、チームの総意を代弁していた。七回を終わって2点リード。敵の不気味な反撃が、宝物のような1勝をのみ込もうとしていた。そんなラスト2イニングのマウンドに、守護神・球児が仁王立ちだ。 切れ味抜群の速球が、降りしきる雨粒を砕く。先頭・畠山を外角速球で空振り三振に仕留めると、続く福地も高め速球で連続三振。中軸から始まった難所をまたたく間に3人斬りだ。 雨中の熱投。何度もポケットの中のロジンに指先をなじませた。 「雨の中ではそれなりの投げ方があるからね。バッターも足もとが悪いから、タイミングを外したりできる」 直後にバルディリスの3ランで一気に5点差。すべての重圧、緊張を飼い慣らす守護神の降臨が、負の流れを一掃した。そして2イニング目となった九回も2三振を奪う快投で楽々3人斬り。05年5月21、22日のソフトバンク戦以来、3年ぶりとなる2日連続の2イニング登板を、圧巻の内容で締めた。 「楽な試合になったら休ませられたけど…」。岡田監督がつぶやく。この日で秋山登氏(大洋)以来、プロ野球史上2人目となる4年連続の60試合登板。チームが頂点に近づけば近づくほど、守護神に掛かる負担は大きくなる。 フェンス伝いに続く勝者の列。グラウンドへの一礼を終えると、満面の笑みを浮かべた。 「あと何試合?5試合?すぐ終わるやん。大丈夫」 一進一退のマッチレース。敵は手ごわい。それでも背中に、風を感じる。この男がいるのだ。最後にはこの男、球児がいるのだ。 赤星 快足止まらん2盗塁でトップと1差 ゲームセットでマウンドに駆け寄った阪神・赤星は、殊勲のバルディリスのお尻をポンとたたいた。2点リードの九回先頭。林昌勇から四球を選び、今季38個目の盗塁。敵失で果敢に三塁を奪い、バルディリスの3ランで生還、巨人・小笠原を1差で追走するリーグ2位の91得点目を挙げた。 試合後、降りしきる雨の中、三塁席前の芝を歩く表情に一切の緩みはない。四回に足でもぎとった貴重な5点目の適時内野安打を問われると「何でもよかった。昨日、今日とずっと自分のところで(攻撃が)切れてたから、何でもよかった」と、形や内容より得点に絡めた「結果」に価値を見いだした。 2点を返され迎えた七回には、一死から右前安打を放ち二盗。この日2盗塁はタイトル争いで39盗塁の福地に1差と迫った。「2つ走ったということ。それだけです」。今、赤星にとって個人記録は三の次。勝利のみを追求し、残り5試合に「結果」で応えるだけだ。 アッチはセ・リーグタイ10戦連続登板 降雨の中、足場がグシャグシャのマウンドに、阪神・アッチソンは半分キレていたが…何とか最少失点に抑え、セ・リーグタイ記録の10試合連続登板(4人目)をマークした。 七回に2番手で登板し、簡単に二死をとったが、ここから連打と四球で満塁のピンチ。スパイクにまとわりつく泥を払いながら投球を続けるも制球に苦しみ、川島慶には押し出し死球を与え、1点を失った。ただ、続く飯原を遊ゴロにとり、これで9月21日・巨人戦から10試合連続登板。チーム状況的にも、6日に11試合連続登板を達成するのは間違いなさそうだ。 試合後は、ご機嫌も戻り「次も場面がきたらいつでもいくよ」。バスに乗り込む際、岡田監督から「大丈夫か?」と肩を叩かれたが「ダイジョウブ!」だ。機嫌も、さらなる連投もダイジョウブだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Oct 6, 2008 12:44:42 PM
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