すばらしい、お言葉でした
本当に、おめでとうございます。
そして、ありがとうございました。
次代に託された「象徴天皇像」 陛下、声詰まらせ国民に感謝
2019.2.24
「天皇陛下御在位三十年記念式典」で、お言葉を述べられる天皇陛下=24日午後、東京都千代田区の国立劇場(川口良介撮影)
在位30年を祝う24日の政府主催の記念式典で、天皇陛下がお言葉で伝えられたのは、次代に託した象徴天皇像への願いと、象徴の務めとして向き合ってきた国民への感謝だった。譲位まで2カ月余りに迫る中、陛下は時折、感情を高ぶらせながら、集大成となるメッセージを1283文字に込められた。陛下のお言葉は、4月30日の「退位の礼」を残すのみとなった。
「寄せられた祝意に対し、深く感謝いたします」。会場となった国立劇場大劇場。陛下はステージ中央の席から立ち上がり、ゆっくりとした口調でお言葉を読み上げ始められた。「今日(こんにち)こうして国の内外の祝意に包まれ」「日本は国民の平和を希求する強い意志に支えられ」-。国民への謝意を述べる中では、声を詰まらせられる場面も。何度も会場に視線を上げ、語りかけるように約8分半、言葉を紡がれた。
お言葉では昨年12月の誕生日会見と同様、平成の30年間に日本が戦争を経験しなかったことをご回顧。 「先立つこの時代の象徴像を補い続けていってくれることを願っています」。象徴天皇像のあるべき姿についてはこんな表現で次代、さらに次代へと期待を寄せられた。側近は「ご自身のこれまでの活動で象徴像を確立したとは思われていない。天皇が存在する限り、その時々の天皇が模索し続けることになるとお考えなのだろう」と話す。
お言葉は、皇后さまが平成2年に詠まれた和歌(御歌=みうた)で締めくくられた。「陛下はお言葉を考えながら、そばで寄り添われてきた皇后さまのことも思い浮かべられていたことでしょう」。宮内庁幹部はこう推し量る。この日は、陛下が誤って手元の紙を多くめくって読み続けられる場面があったが、傍らの皇后さまがそっと陛下に手を差し伸べてご指摘。優しいほほ笑みで、陛下を見守られた。
式典には、両陛下が心を寄せてこられた東日本大震災の被災地から福島県の内堀雅雄知事や、沖縄県ゆかりの人も集い、これまでのご活動が色濃く反映された舞台となった。沖縄県出身の歌手、三浦大知(だいち)さんは陛下が詠まれた琉歌(りゅうか=沖縄の歌)に皇后さまが曲を付けられた「歌声の響」を独唱。歌は両陛下が昭和50年、初の沖縄県訪問でハンセン病療養所を訪れた際、入所者らが感謝の気持ちを伝える地域の船出歌を合唱した情景を、陛下が琉歌に込められたもの。三浦さんが伸びやかに歌い上げると、両陛下は笑顔で大きな拍手を送られていた。