「匈奴」って、Hungnuだったんだ!
今、「李陵/山月記」(中島敦 著)を通勤中に読んでいる。高校時代も読んだことがあったが、「読書力」 (斎藤孝 著)で紹介されていたので、30代半ばにして改めて読みたくなったからだ。物語は、敵国匈奴の降将となった漢の武将「李陵」と、彼を弁護したために宮刑に処せられた歴史家「司馬遷」の人生を、交錯させるようにして進められる。本書は、かなり柔らか目の漢文読み下し調の文体が特徴で、いったんのめり込むと、あっという間に読み終わってしまう。今日、何気なくwikipediaで、「匈奴」と検索してみた。すると、「匈奴」(きょうど、Hungnu, フンヌ)と出だしに発音が書いてあった。(もっとも、当時どのような発音をしたのかはわかっていない)「きょうど」という発音は、「匈」と「奴」という文字が日本に渡来してきた時代のもので、しかも中国大陸のある地域の発音だ。別の時代、別の地域では、「Hungnu」と発音したということ。世界史を学んだ者なら、「Hungnu」とみれば、「フン族」とか「アッティラ」とかを連想するに違いない。「フン族」=「匈奴」(正確にはその一部)という説があることは、言うまでもない。ところが、今まで、「フン族」と「匈奴(きょうど)」とでは名前もずいぶんと違うではないか、と疑問を持っていた。今日、その疑問は氷解した。そして改めて、表意文字と表音文字の両方を持つ日本語の難しさ、すばらしさを知った。ちなみに、wikipediaによれば、「ハンガリー」は俗説にあるような「フン族」が語源ではなく、ドイツ語Ungarn、ギリシャ語Oungroiに見られるように元々は語頭のhがなかった。語源として一般に認められているのは、7世紀のチュルク系のOnogurという部族結合を表す語である、とのこと。・・・Onogurと、モンゴル(Mongol)って似てる!?