みんみんのざる碁日記

2006/09/29(金)09:02

階級は固定化するものなのだろうか?

会社・組織・学校(9)

表記の問いには概ねイエスと言わざるを得ない。政界は首相・党三役・前首相は全て二世議員。民主党も小沢・鳩山は二世議員である。衆議院の議席の4割は二世であるらしい。ところで東大生の親の4割は東大卒であるとも聞く。貧乏人の家の子は充分な教育サービスを受けられず、その結果、良い学歴とか大企業への就職や資格と無縁になり、社会全体の階層が固定化する、という議論がある。小泉政権の5年半の間に格差が広がった、と言われている。果たしてそうだろうか。 論点をあげると A)学歴・職業は階層化し、固定化しているのだろうか? B)小泉政治により企業間競争が激しくなった。それによって格差社会が生まれたというのは本当か? 私の主張、結論は、A)B)ともに違うと思うのである。 まずA)について。私は神戸大学住吉寮の自治会副委員長をしていた。当時320人の寮生にアンケートや聞き取り調査をした。すると驚いた事に私みたいに両親共に中卒などという家はなかったのだ。つまり学歴は相伝する傾向は確かにある。国立大学は当時学費はタダ同然であった。(教材費を除く)その中でも寮生は家庭が比較的貧しい生徒の集まりである。って事は私みたいな家の子供がもっといても良さそうなもんである。しかし、ある程度親も勉強した家の子供が受験戦争を勝利しているのだった。経済力が鍵なのだろうか。金をかけて進学塾に入れないといけないのだろうか?私は違う、と思うのだ。親の生活態度が遺伝するのだ、と思う。両親が家でごろごろテレビを見ていたりパチンコに行っているようでは子供に「勉強しろ」と言っても説得力がない。カネはなくても親が図書館をよく利用していると子供も本が好きになるはずだ。親が好きな物を子供も好きになるのが普通だ。尤も親が特定の趣味にのめり込み家庭を省みないようだと逆の結果になる。 B)小泉政治によって格差社会が生まれた、というのはウソである。20年以上前、私が学生の時に小沢雅子氏の「階層消費の時代」が話題となった。バブル時代に家庭間の資産格差は広がり、日本は階級社会になっていた。小泉政権のずっと前から格差社会になっていた。むしろ小泉改革が本物ならば格差が固定化しない活力ある日本に生まれ変わるはずである。しかしアメリカみたいになるのがいいとも言い難いし、安倍政権が本当に「改革」をするのかは疑問である。 受益者負担の原則によって、国公立大学の学費を私立並に引き上げるというのはおかしな話である。受益者負担主義なれば、医学部と経営学部の学費が同じではおかしいだろう。今では私みたいに自分で働いた金で入学金も授業料も払って勉強するなんて不可能に近い。国公立大学の学費を私立並に引き上げる事は、学歴・職業は階層化し、固定化する事につながる。これは社会の活力を失わせると思う。

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