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カテゴリ:本日の一冊
先日の「真珠の耳飾りの少女」の作者。
貴婦人と一角獣 今度はパリのクリュニー美術館(今は国立中世美術館)に展示されている6枚のタペストリーをめぐる物語。 細密画と得意とする絵師ニコラが、なぜかタペストリーの下絵を注文されるところから始まります。 真珠~が主人公の少女の一人語りで、フェルメールへの淡い想いが語られてるのに対し、こちらの主人公ニコラはかなりの女好き。 ニコラが出会う女たちが6枚のタペストリーへと描かれていきます。 6枚のタペストリーは、それぞれ《視覚》《聴覚》《味覚》《嗅覚》《触覚》《欲望》を主題としているそうです。 表紙にはそのうちの「視覚」が。 初めて見たときは、なんだか変な表情の人だな、と思ったんですが。読んだあとはものすごく納得。 しかし、現実には作者不詳モデル不詳なわけですから。 あの表情からこの物語を作り出すなんて、ほんとうにびっくりです。 ちなみに絵師ニコラはベルギーの織氏の工房に行きます。 下絵を元に、織氏がデザインを決めてタペストリーを紡いでいくわけですが、人物の描かれていない地の部分には「千花紋」と呼ばれるたくさんの花々を織り込んであります。これがもう四季折々の花々で。一つ一つ違っていて美しいです。 またそれもこの作者にかかると物語があるわけですよ。 まったく。 1枚の絵からこんなに物語を創り出すってすごすぎる。 本当にニコラが彼女たちを描いたに違いないって思うもの。 私が好きなのは奥方と、織氏の妻です。 アマゾンの紹介には「美と官能、禁断の愛の物語」とありますが。 うーん、それは違うと思うなあ。 それだと全員ニコラと恋愛関係にあるように聞こえるぞ。 本当に、6枚のタペストリーをめぐる、女たちの物語です。 ニコラは導き手であって、真に語られてるのはこの時代の女たちの話です。 最近当たりの本が続いてますが、この作者はかな~り大好きになりました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.03.10 23:21:43
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