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少女は棚のガラス戸を開けて何かを探している様だった。時折などと言わずに、猛烈な化学反応によりエネルギーを常に大量生産している太陽の如く盛んに気味が悪そうな顔して小さな悲鳴を上げながら棚を漁っている。
そんなに嫌なら止めれば良いのにとも思うが、先ほどの様に我を忘れて暴れられるよりよっぽど世界は平和なのでルーに文句は無い。 不必要に湿気を帯びた空間。そこに漂う妙な臭い。健康に害を及ぼしそうな光度。こんな場所を作った上に自分のホビーを満喫していたこの少女の父親は相当な奇人だったのだろうなとも思ったが、勿論口には出さない。ルーは思った事が大体速やかに口をつく類だが、越えてはいけない重要な一線はきちんと守るのだ。 「ん…………これは?」 地下室の中央に鎮座する古ぼけた机の上に写真立てが一つ。すべからく中には写真が納まっている。写真は大いに色あせており、この部屋のあらゆるものと同様に年季という貫禄を漂わせていた。写真の中では二人の男が肩を組んで笑いあっている。 「ああそれ……?右が父さんで、左がそのお友達」 手を止めて、少女が言った。 少女の父親は快活に笑っており、不明だが隣の男性もそうしている様に見える。何故不明なのかと言うと、その男性は白のフードを目深に被っており、表情を判断する材料が口元しか無いのだ。口は笑みの形であるのだからやはり笑っていると判断すべきだろう。 写真の中の父親達は目前の少女の様な子供が居る年にはとても見えず、そうなるとこの写真はそれなりの過去に撮られたと見るべきだろう。 「左の人、変な人でしょ?父さんも相当変だけど、その写真、撮ったのが真夏なのに全身コートってねぇ……。」 「ホントだね……暑くないのかしらっ?」 日付を見ると確かに、日本で言うところの夏真っ盛りな月日だ。ルーが日本に上陸してすでに2年程立つが、この島国における湿気のバーゲンセール的な夏の暑さにはいささか辟易していた所があった 「私も小さい頃何度かあった事があるんだけど、よく分からない人だったな。難しい事ばっかりいってた覚えが有る 「へぇ……………」 興味の欠片も無さそうな声を聞いて、少女は再び棚の散策に戻った。そのため、写真を凝視するルーに気付く事も無かった。何故かは知らないが、少女の父親の隣に立ついかにも怪しいその男からルーは目を放せないのであった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 標本って放っといても保存効くんですかね?基本的に大丈夫そうですが。 今度調べときますかね。液体標本にしとけば良かったんですが昆虫にそれはないだろうということでー。 こういう調べものって楽しくて楽しくて。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Aug 10, 2006 04:14:15 AM
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