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テーマ:ショートショート。(573)
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今日は友人の家でチーズフォンデュをしていました。友人を急かしまくって始めました。だって一人でやってもつまんないんですもん。
でも、もうしばらくチーズは良いです。 物凄い腹に溜まりました。美味しかったんですが。 ……米うめぇww 最終的にそんな感じでした。 *注 次の作品はパロディーです。 なんのパロディーかは秘密です。今日ちょっとテレビで見て描きたくなりました。基本はその作品を踏襲していますが、設定とかが妙にねじりくねっています。 あ、絵はちゃんと描いてますよ。 ある所に、自殺したい姫(11歳)が居ました。 姫の父親は博打で全財産を失い、自己破産した後に消息を断ちました。 姫の母親は戦場でも有名な傭兵でしたが、5年前に死線を勢い良く踏みしめて大怪我をおい、完治した後に『エルドラドが私を呼んでいる』とかなんとか言って消息不明です。 唯一残った祖父は一週間前亡くなりました。 姫に残されたのは執拗に追い立ててくる借金取りと祖父の農園、そして言葉を話すことが出来るミラクルガチョウです。名前をミラクルといいます。弱虫です。 とりあえずこのガチョウを売れば借金取りは何とかなりそうだと姫は考えましたが、『それは見事な人権侵害だよ!』と生意気な事を言われたので首を少し絞めた後に許してあげました。 祖父の農園は役に立ちません。 11歳の姫には農園の扱いなど何一つ分からないばかりか、地球温暖化とかの影響で島が沈んでしまうので売り払う事も出来ません。 だから姫は自殺する事にしました。 でも、その前に姫は旅行したいと思いました。どうしても行きたい場所があったのです。 祖父の年金の受取人は姫になっていたので、借金取りを上手く交わして旅行へ行く事くらいは出来るのです。 もちろん小生意気なミラクルも一緒です。 ミラクルは露骨に嫌そうな顔をしていました。言葉を持ったミラクルは知能も高いのです。 「まあ、飛べもしない鳥類の僕には、君についていくしか他に手が無いんだけどね」 本当に五月蝿いガチョウです。 姫が行きたい場所。 それは光学の力で軍事産業の分野において他の追随を許さない、『光学兵器の都市』でした。 年中ずっと上空へ照射されるオーロラバスターの危険なオーロラ色がとても魅力的なのです。 テレビで一度見てから、ずっと憧れ続けていたのです。 そして、実際に見た光学兵器の都市はとても色鮮やかで、テレビで見たものより遥かに綺麗で、美しくて、それが人を殺す事の出来る兵器である事がとても信じられませんでした。 「それは違うよ姫。死は人間の根源を支配する恐怖の概念で、でもそれ故に人はその美しさに魅入られるのさ」 オーロラバスターが美しいのは、その兵器が人間よりも遥かに巨大なエネルギーを持っていて、その力の前では人間の生命など紙切れに等しくて、つまりそれに魅入られる事は神への信仰に酷似しているのだと続けました。 姫はミラクルの首を中くらいの力で締めました。 都市を一通り見終わって。 ああ、一番したかった事が終えてしまった。 姫はとうとう自殺する事にしました。 ミラクルよ、これからお前とは友達でもペットでも無い。だから何処へでも行って野良猫にでも喰われ…………七面鳥と間違われてクリスマスを不気味に彩るが良いさ。 「何で言い直した所がさらに悪くなってるのさ!? え? ねえ、ちょ、聞いてる? ねえ聞いてる? 僕の…………」 姫はガァガァと喚き立てるミラクルを完全に無視して、鞄から瓶詰めされた甘酸っぱい香りがする液体を取り出しました。ちなみに未開封です。 姫がその液体を飲み干そうとしたその時でした。 「ちょっと待ちなよ!!」 姫はとても鬱陶しそうにミラクルを見ました。 ですが、さきほど居た場所にミラクルは居ません。 一体あのガチョウは何処から声をかけてきたのでしょうか? それを確かめてからでも死ぬのは悪くないと思い、ミラクルの姿を探しました。 すると、ミラクルはとても高い塔の上に居ました。 「君が死ぬなら僕も飛び降りて死ぬ!」 姫は『へぇ…………』と言いました。 「ええ! なにその予想外に冷たいリアクションっ!! 確かに僕らは友達でもペットでも無いと袂を千切りあった仲だけど…………だから僕の話を聞いて!? ビンの蓋を開ける動作を止めて! ほら? 僕を見て。僕を見て!」 あまりにしつこかったので、姫はミラクルを見ました。正直とても鬱陶しかったです。 ですが、次の瞬間です。 ミラクルは本当に飛び降りました。 ガチョウは飛べません。ですからこのまま落ちたら死にます。 その事に思い至った瞬間、姫の背筋をぞわりと駆け巡るものがありました。 それは寒気。 何だかんだ言って、ミラクルは長い間、姫と友達でした。何時もは悪口ばかりいって、たまに虐待もしましたが、それは愛情の裏返しだったのです。 さきほどミラクルを無視したのも、弱虫のミラクルは本当に飛び降りるはずが無いと思っていたからです。 たとえ自分が死んでも、ミラクルが生きていてくれればそれで良い。ミラクルにはこの先、ろくでも無い姫の人生とは離れて、もっともっと綺麗な世界を見て欲しかったのです。もっともっと美味しいものを食べてほしかったのです。もっともっと美しく生きて欲しかったのです。 それがとても勝手な願いで有ることは知っていましたが、姫はもう疲れてしまったのです。 だから、ミラクルに希望を託して自分は死のうと思ったのでした。 でも、そのミラクルが死んでしまう。 姫は咄嗟に手を伸ばしていました。 絶望的な二人の距離。とてもとても長い距離。しかし、落ち始めたら一瞬。手を伸ばしても、結局のところ無意味です。 ですが、姫は必死にジャンプしてまでミラクルを掴もうとしました。 何時の間にか、眼の端には涙すら浮かんでいます。 二人の距離はとても遠いのに…………これほどミラクルを近くに感じた事はありませんでした。 ミラクルは、姫と運命を共にすると言っているのです。それはとても馬鹿げた事です。ですが、泣きそうなほどに嬉しく、しかしとても皮肉です。 ミラクル。 姫は叫びました。 しかし、ミラクルの体は重力に逆らう事が出来ず、どんどん姫との距離が近づいていき…………。 次の瞬間です。 「ああ凄い! 見て姫! 僕飛んでるよ。信じられないや僕飛んでるよぉ!!」 ミラクルは凄い奇跡をやってのけました。 姫は唖然としました。 落ちてた石を思い切り投擲しました。それは見事ミラクルの胴体にめり込みました。 ぐげぇ、とかそんな声を出してミラクルは落下しました。ですが、すでに死ぬような高さでは無いので死にませんでした。 ミラクルが物凄く気まずそうにこちらを見てきました。 そうです、このガチョウは結局最後のところで怖くなって、死に物狂いで羽ばたいた果てに奇跡を起こしたのです。 そんなミラクルにとても馬鹿らしくなって、姫は瓶の蓋を一気に開けました。 「! 止めるんだ姫!」 そして、中の液体を飲み干そうとして…………。 出来ませんでした。 腕が震えて、瓶をある一定の角度から動かせなくなってしまったのです。 ミラクルの言うとおりでした。死は、人の根源に巣くった恐怖という名の魔物です。 そして、腕の震えは増して行き、ついに瓶を落としてしまいました。 姫とミラクルは顔を見合わせます。 そして、どちらからとも言わずに、笑い出していました。 その笑いはオーロラに彩られた都市の空気に溶け込み、しかしそれよりも遥かに美しく二人の心を照らし出しました。 しばらく笑いあった後、姫はおもむろに鞄を開きました。 そこには僅かなお金以外、何も入っていませんでした。 ですが、今なら何でも出来そうな気がしました。 怖くて結局生きる事を選んでしまった姫。 死に物狂いで奇跡を起こしたミラクル。 二人は友達です。 そして、この二人なら何でも出来そうな気がしました。 鞄には何も入っていませんでしたが、これから入れていけばいいのです。 ミラクルは、人はその圧倒的な恐怖ゆえに、死に魅入られるのだと言いました。 ですが、これからこの鞄に入るものは、きっとどんな魅力的なものよりも魅力的に輝いてくれるはずです。 お尻をリズミカルに振りながら歩くミラクルと、草書体で『姫』と書かれたマフラーを着た姫は、静かに光学兵器の都市を去りました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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