2007/02/10(土)11:52
松本清張:「交通事故死亡1名」
(ネタばれあります。ご注意ください。)
■短編集『死の枝』からの1編。
タイトル通り、交通事故で男性が一人死ぬ。
その男性を轢いたのがタクシーだった。
■急ぎの客を乗せていたタクシーは、
前を走る大型車を追いかけるように、
スピードをあげつつ走っていた。
しかし、急速で走っていた大型車が急ブレーキ!
タクシーの運転手はとっさに
ハンドルを左にきって避けようとした。
だがそこに男性が立っていたため、轢いてしまう。
■実は、ひとりの女性が大型車の前に飛び出したために、
大型車が急停車したのだった。
一見、不慮の事故だったはずだが──。
この交通事故は、なんと!
(ネタばれしちゃいますよ。気をつけてください。)
吉祥寺でタクシーをひろった「客」
タクシーの前を走っていた大型車の「運転手」
大型車の前に飛び出した「女性」
の3人の共犯による殺人事件だったのだ、
亡くなった男性は実は殺されたのだった、という短編。
■いやはや。ミステリ内では、タクシー会社の
事故処理担当者の綿密な調査によって、
3人の共犯が浮かび上がるのだけど、
実際、本当に殺したい人間がいたとしたら、
偶然に偶然が重なり、事故に事故が重なり、
という状況が一番、完全犯罪に近いのかもしれない(^_^;)。