ほんだらかんだらと仲間たち

源氏物語２１帖少女（おとめ）を取り上げた。

今日は、見学が２名。
興味を持ってもらえるとうれしいのだが。

少女は、源氏物語第一部の紫の上系の最後に
あたる、ともいえる。
なぜなら、このあとは玉鬘十帖と呼ばれる
玉鬘主人公の玉鬘系の話が１０帖に渡り
語られ、そのあと、大団円への
つながっていくから。

少女の中には、源氏のいとこの朝顔との
結婚話の一応の決着や源氏の息子の夕霧の
失恋や身分下の者との恋、そして、人生の
成功をイメージ付ける六条の大邸宅への
引越しなど、盛りだくさんに語られている。

前回より推奨テキストを配布したので、
参加メンバーのほとんどがこの本を
持ってきてくれていた。そこで、この
本の中で紹介されている原文と内容を
紹介した。

源氏が息子夕霧に対する教育論を
語る部分である。

生まれつき身分が高い家に生まれて
ちゃんと勉強をしないままに政治家に
なると、親のバックがしっかりしている
間は周囲の者は腹の中では馬鹿にしつつも
お追従を言ってついてくるが、そういう
バックが弱くなると掌を返したように
離れていく。

時代が変わってもバックがいなくなっても
学問がしっかりできていれば、人から
馬鹿にされることも仕事上で失敗
することもない。

源氏の息子だから、と甘い顔をして
苦労もせずに高い地位についてしまう、
そんな愚はさせず、逆に一からきちんと
学ばせる。学ぶためのバックアップは
きちんとする。

こういったことを源氏は言うのだ。

源氏が言う、すなわち、紫式部の
教育観である。

なんと、千年前の宮中の女房の中で
生活していた女性が、現代にも通じる
教育観を堂々と述べている。

源氏物語の中には、「○○論」「××観」と
言ってもよい論調がここかしこに見られる。
そのどれをとっても現代に通じるもので
あるが、この教育論は、つい先日日本の中で
起こった政治や選挙にも思い及ぶもので
あると思った。

朝顔、という女性を説明するには、相当の
時間が必要となる。源氏の父の弟の娘であり、
六条御息所（先の東宮の妻）と源氏との破局を
目の当たりにして、生涯源氏との関係をもたな
かった、けれども源氏のことは憎からず思い
続けた女性、などなど。

そして、朝顔と源氏の結婚を望む朝顔の叔母が
二人の結婚をあきらめたとき、涙でおしろいが
はげてしまって「目が大きく見えた」との
記述の箇所を話したときには、みなさん、
大笑いされた。

前回、六条の大邸宅の話はしたので、
今回は、そのことはあまり触れず、むしろ
夕霧の新しい恋人である五節の舞姫の
踊りの様子を詳しく話した。

会が終わり、見学のお二人が入会手続きを
してくださって本当にうれしかった。