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テーマ:たわごと(26869)
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年末に帰省したときに、写真を探していて、箱の中からノートを発見した。 ウサギ柄の、ファンシーショップで売っているような、可愛いノートである。 これを見つけたとき、背筋に冷たいものが走るのを感じた。 こういった古くて可愛いファンシーノートは、大体地雷か核弾頭であることが多い。そこに眠っているのは、下手したら人生までも破壊してしまうような、恐ろしいことが多々あるのだ。 数年前、親友の部屋に遊びに行っていて、彼女がキッチンでお茶を入れている間、部屋の中のテーブルの下に、タキシードサム(サンリオキャラクター)のノートが無造作に置かれてあるのを見つけた。おおっ、タキシードサムじゃん、懐かしいなぁ、なんて思いながら何気に手に取り、別に悪気はなかったのだがふっとページをめくってみた。 「”My Poem Vol.2" 『ベスト・フレンド』 あの日夕焼けの中 おまえは走っていった 俺のハートは壊れたガラス あいつは風・・・」
大変なものを見てしまった、と思った。 青ざめてノートを元の位置に戻していると、親友がお茶を持って部屋に入ってきた。それから動揺をひたかくしにするが、どうしても普通に喋れない。ノートはおそらく、部屋を片付けていたら出てきたので、懐かしいなぁこんなの書いてたなぁと思いながら読んでいて、そのまま元に戻すのを忘れていたのだと思う。小学生や中学生の多感な時期にはよく書くものだ。私もアホな詩を書いたような記憶がある。そういえばあのノートはどこへ行った。あんなものを見られたら大変なことになる。 例えば、私の身に何かが起こり、帰らぬ人となったとする。泣き暮らす家族は私の遺品を片付け、古いノートを見つける。何かしらこれ。まあ、詩だわ。あの子、詩なんか書いてたのね。恋をしていたのねあの子。ふふふ、こんなことを思っていたのね・・・。 嫌だ。 そんなことになってしまったら成仏できない。大変だ。早く抹殺しなければいけない。 ウサギのノートは、多分中学生か高校生の頃のものだと思う。恐る恐るページを開くと、シャープペンシルで書かれた文字がびっしり。 「2月10日 今日も登校日だったよ~~~~~~ん☆☆☆あうーーしんどいぜ。チャーリー置き場でS君に会った。ドキ×2。今年会ったの4回目だ~~~~☆☆その後バイトでヒマヒマランデブー。シュークリーム3個パチった。アイムソーリーヒゲソーリー。なかそねソーリー竹下ソーリー。とゆーことで、またあ・し・た」
抹殺するしかない。
しかし、実際に抹殺するとなると、気が引ける。何しろこれは自分の歴史的遺物だ。学生のときのこのような初々しい文章は二度と書けるはずもない。 そういうわけで、ノートは今ここにあるのだ。一体どうすればいいのか、もう1ヶ月以上も悩み続けている。
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