|
テーマ:たわごと(26869)
カテゴリ:カテゴリ未分類
電車に乗り込むとき、いつも思う。日本のサラリーマンたちはジェントルマンではない。オレが座るんだから誰も座るんじゃねえ、と叫ばんばかりに、猛烈な勢いで空いている席に突進し、腰を下ろして満足げに両腕を組み、うつむいて眠るのだ。周りにかよわい少女がいようと、カラダの弱そうなじいさんがいても、無視。 ったく、自分のことしか考えてないんだから。海外だったらありえない。男なら、「どうぞ」とか言って席譲れよ。かっこわりーったらありゃしない。 たまーに、若い男の人が、立っているおばあさんに席を譲ったりしているのを見かけることもある。そういうとき、男は輝いて見える。なんてすばらしい立派な人なんだろう。カッコイイ。惚れそうだ。 だけど、しばらく東京生活を続けて、席を譲るということが非常に困難なことだということが分かってきた。 家族のため、会社のしがらみのために深夜まで残業し、疲れ切って電車に乗る。家までは長い。電車の中は大混雑だ。早く家にたどり着いてフロ入って寝たい。そして翌朝も、寝不足のカラダを引きずって電車に乗り、長い一日が始まる。そんなことを繰り返していたら、人のことなど考えられなくなるのが人間というものだ。席が空いていたら何が何でも座り、会社に着くまでの1時間だけでも眠りたい。それは当然の感情である。 彼らだって、2駅しか乗らず、目的は遊びに行くためで、元気ハツラツな状態だったら、老人に席を譲るだろう。 おとといの夜、なかなか眠ることができず、時計が3時半を指しているのを見た。翌朝はもちろん疲れが取れていない。眠気とだるさはマックス級だ。こりゃあかん。 電車に乗ると、偶然一人立ち上がった。どうしても、どうしても座りたかったので、凄いスピードで席を取る。ラッキー。とりあえず寝よう。寝るしかない。 3駅ほど行ったところで、女の子が乗ってきた。女の子は怪我をしていて、松葉杖にギプスをはめていた。席は全てうまっているため、女の子は仕方なく立っている。 しまった、まずいものを見てしまった・・・などと思った。譲ってあげたいのは山々だ。しかし昨晩の睡眠時間は3時間弱だ。死に物狂いで取った席なのに、譲るのはかなり辛い。それに、朝のラッシュ時に松葉杖をついて電車に乗るとは一体どういうことなのだろう。どうしても用事があったのだろうか。 悶々と考えていたら、眠れなくなってしまった。だが寝ているフリをしなければならない。そうでないと、私は悪人になってしまう。 やがて、私の隣に座っていた人が立ち上がり、松葉杖の子に席を譲った。彼女はちょうどその駅で降りたのかも知れない。でも松葉杖の子は、「ありがとうございます」と彼女に何度も頭を下げた。 私が怪我をして電車に乗っても、きっと誰も席を譲ってくれないだろう、とそのとき思った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|
|