「武士道とエロス」 【氏家幹人】
武士道とエロス(著者:氏家幹人|出版社:講談社現代新書) はじめのうちは武士の逸話で、ほうほうと読んでいたら、途中から明治以降の話になり、それが続く。 看板に偽りありだ、と思ったが、考えてみると「武士とエロス」ではなく、「武士道とエロス」だ。武士道なら時代は限定されないわけだから、問題がないことになる。 主に衆道をめぐるあれこれで、知らなかったことばかりだが、よくまああれこれ文献を探ったものだ。 手当たり次第に読みあさったうちに見つけたものをまとめたのか、テーマにあった逸話を求めて、ねらいを定めて読んだのかはわからない。 著者の専攻は近世日本史だという。 時代考証のために書かれているわけではないし、江戸時代の紹介というわけでもないので、人々の暮らしに触れるというのではなく、上から見下ろしているように感じる。もちろん、それが悪いわけではない。こういう本もないと、文献に当たる必要が出たときに困る。