「中国の花物語」 【飯倉照平】
中国の花物語(著者:飯倉照平|出版社:集英社新書) 日本にも中国にもある植物を取りあげ、それにまつわる思い出や、民話を紹介している。 もともとは、花芸安達流の機関誌に連載したものということで、一つ一つの章は短いが読み応えがある。 いつものことながら、知らないことばかり。 ネコヤナギは、枝が垂れないから「楊」かと思っていたら、「柳」だそうな。「楊」の代表はポプラ。 また、蓮と睡蓮が別物であることを初めて知った。 「スイレンが水面に浮かぶ水上葉を出すだけなのに、ハスはまずまず最初に小さい浮き葉(中国では、そのコインに似た形から銭葉(せんよう)や荷銭(かせん)と呼ぶ)が出たあと、水面から離れて立ちあがる立ち葉が伸びてきます。」(P108) とのこと。このように、中国の民間での呼び名なども紹介されている。 毎回、古典の引用もあれば、民話の紹介もある。いくら植物が好きでも、それだけでこんなにいろいろ書けるわけではない。日頃から触手を広範囲に伸ばし、材料を集めていたのだろう。