「これで古典がよくわかる」 【橋本治】
これで古典がよくわかる(著者:橋本治|出版社:ちくま文庫) 書名通り古典入門なのだが、内容ではなく、文体の問題から入っていく。 漢字だけのもの、漢字とカタカナのもの、ひらがなだけのもの、漢字とひらがなのもの。 それぞれの背景、歴史を語り、それらがどのように違うのかを明らかにし、「方丈記」と「徒然草」の違いを説明する。わかりやすく、納得できる。 歴史についても勉強になった。鎌倉幕府を開いたのは源頼朝だが、彼が強大な権力を握っていたわけではなく、『源頼朝は、「磯野家のマスコさん」です。』(p138)という。なるほどそうだったのか。どうりで北条政子が強いわけだ。 古典になれるために暗唱しなさい(p229)というのも納得できる。まさに、「古典は、体で覚えるもの」なのだ。 これほどの著者でもミスはおかす。 『「宣りたまふ」の「宣」は、「宣言」や「宣誓」の「宣」です。』(p239) 日本語の意味を説明するのに、漢字の意味を使ってしまっている。漢字と日本語が一対一で対応しているわけではないので、この説明には無理がある。