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2005.04.15
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 「中国食物誌 中国料理あれこれ」(著者:周達生|出版社:創元社)
 1976年3月10日・第1版第1刷発行。
 この発行の年を見ればわかるように、1972年の国交回復からまだ間がない。
 中国の内情がよくわからず、幻想を抱いている人が多かった。
 そんな時代に書かれた本である。
 周恩来の没年であり、冒頭に、

 私は,この本を
故 周恩来総理の霊
   に捧げる

という献辞がある。
 内容は、書名の通り、多彩な中国料理で使われる、これまた多種多彩な食座をとりあげ、それがどのようなものか紹介したもの。
 著者は料理研究家ではなく、動物生態学が専門。
 和名や中国名だけでなく、しばしば学名も示している。
 書きぶりは平易で、非常に誠実な印象を受ける。

 原籍は福建省晋江県で、神戸の中国人家庭で生まれ育ったようだ。執筆時は、神戸中華同文学校に勤務している。
 日本に住んでいても、立場は中国側に立っていて、「田中首相(一九七二年九月)を人民大会堂にお迎えしたとき」(p111)という表現がでてくる。
 また、「南朝鮮を訪れた欧米人」(p198)という表記もある。

 祖国に愛着を持つのはどの民族でも同じこと。
 著者も深い愛情を持っているのだが、さすがに中国の従業員の態度は目に余ったらしい。「中国で買物をするときの従業員の応対ぶりは、日本流に言えば、きわめて愛想が悪い」(p202)と苦言を呈している。

 食材については、丁寧に説明されても、やはり、知っているものはわかるが、知らないものはわからない。
 およそ30年後の今読んでみると、料理の話よりも、時代を感じさせる言葉に目がいく。
 たとえば、畜産・農業に触れて「一九六二年からの連続十年の豊作がもたらされ」(p30)とあるが、現実には、そんなことはなかったはず。しかし、。そういうことになっていた時代なのだ。
 また、「孔子や孟子、あるいはその亜流儒学者どもの説いたことば」(p103)という「批林批孔」がまだ生きていた時代でもあった。

 表記の面で一つ特徴がある。
 中国語は<>で示し、中国音をカタカナでつけている。
 食材や固有名詞だけでなく、「<焼《サオ》>、<煮《ツウ》>、<爆《パオ》>、<炒《ツァオ》>などの料理において」(p36)と、調理法にもルビがついている。
 ここに挙げた例でわかるように、この本の中国語は捲舌音が脱落している。
「zhi」「chi」「shi」がそれぞれ「zi」「ci」「si」になっている。
 親切な本で巻末に索引があるのだが、中国のものは中国音で引くようになっているため、「茶」は「チ」のところではなく「ツ」のところを見ることになる。 
 
 新聞では金糸猴を孫悟空のモデルとすることが多いが、著者は「ベニガオザル」がモデルだと考えている。(p114)

 大根の「千六本」は「<繊蘿蔔《シエンルオポー》>が、明の時代の音で「セン・ローフ」と読まれていたのがなまったのをあて字にしたもの」(p206)
 このことは、十数年前に初めて知ったが、すでに三十年前に知られていたことだったのだ。

 リンゴの語源。
 「中国から渡来した<林檎《リンチン》>(リンキン)が「リンキ」となったのであろうとされている」(p216)

 「葯」という字が出てきた。(p231)。
 「薬」の簡体字としてしかしらなかったが、「めしべの先端部分」という意味の字だったのだ。

 紅茶の由来。
 中国の茶葉をヨーロッパに運ぶ途中で発酵し……というのが起源だと思っていたが、それ以前から中国にはあったそうだ。(p246)

 群馬県の「スネーク・センター」は陶々酒本舗が作ったものだそうだ(p80)。
 行ったことはあるが、知らなかった。

 誤植発見。
 「淮南《ゆいなん》王劉安」(p173)の「ゆいなん」は「わいなん」の誤り。





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Last updated  2005.04.15 17:12:13
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