2005/08/20(土)09:28
「見上げてごらん夜の星を」 【監督・番匠義彰。1963年】
「上を向いて歩こう」は日活だったが、これは松竹。
定時制高校に通う主人公の青春物語。
担任が菅原文太で驚いた。この年、菅原文太は30歳。坂本九は22歳。
同じ机を使っている全日制の少女と文通が始まり、明るい話がある一方、級友や同僚がそれぞれの事情を抱えて困っていたりもする。
実は主人公は親兄弟がいない身の上ということも明かされるが、それが特に重要な意味を持つわけではない。
どんなに苦しくても明るくがんばっていこう、という姿勢が貫かれている。
フォーリーブスで舞台化されたことがあった。
同級生の一人が見覚えのある顔なのだが、どうしても思い出せず、見終わってから出演者を見直したら林家珍平だった。大川橋蔵の「銭形平次」の八五郎だった人だ。
荒川高校というおそらく架空の高校が舞台で、場所は、かつて大毎オリオンズのホームグラウンドだった東京スタジアム(だと思う)の隣、という設定。
定時制高校が舞台というと、日活の「いつでも夢を」を思い浮かべるが、だいぶ雰囲気が違う。
「いつでも夢を」の方には、定時制高校差別という本人たちの努力ではどうにもできない壁が描かれている。それでも「いつでも夢を」という話だった。
こちらは、担任が、生徒がやめていくことで悩んで教師を辞めようとしたりする挿話はあるのだが、どんなこんなんも笑顔で乗り切っていこう、という姿勢が見られる。坂本九の笑顔のなせるわざだ。
声は後から当てていて、それ自体は珍しくないのだが、言葉遣いが今とは違うせいか、翻訳調に感じられ、なんだか、外国の映画を見ているような気になる。ほとんど見たことがないのだが、いわゆる韓流のドラマはこういう感じなのだろうか。
風俗の面で印象に残ったこと。
担任の部屋ですき焼きを食べる場面。畳の上で七輪を使っている。ガスコンロなんてなかったのだ。
担任の婚約者が八百屋を始める(これはなぜそうするのかよくわからないのだが)と、野菜が運ばれてくる。当時は段ボールが普及していなかったらしく、木枠に白菜が入っている。
テレビ東京で放送されたものを見たのだが、不快だった点がある。
21日に坂本九の半生を描いたドラマを放送するので、それの宣伝もかねてこの映画を放送したのだ、ということはわかる。CMになるたびに告知していた。
しかし、画面の上下が黒くなっているのを利用して、左上にずっと「上を向いて歩こう 坂本九物語 21日放送」と表示し続けていたのはよくなかった。目障りなのだ。
そもそも、この映画を見ようという人間なら、ほとんど、「坂本九物語」の放送は知っているだろう。私も見るつもりでいる。
映画は映画として見せて、それが終わってから、ドラマの出演者が出て挨拶したり、ダイジェストを見せてくれたりした方が好感が持てるのに。
その点が残念だった。
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