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カテゴリ:民俗学・社会風俗・地誌・歴史・博物学
八坂書房。1987.7.31
1639年の鎖国以前の、日本人と海の関わりを概観したもの。 「海に背を向けた日本人」「日本へ来る道」「常世へのあこがれ」「遣唐使」「商船の発達」「倭寇と遣明貿易船」「南方進出」という章立て。 このうち「商船の発達」の「高麗と日本」までを宮本常一、それ以後を田村善次郎が書いている。 しかし、文体の違いなどは目立たず、最後にどちらかが全体に目を通して統一をはかったのかもしれない。 歴史は歴史で興味深いが、「海に背を向けた日本人」の、最近まで残っていた習俗が印象に残った。 漁業を生業としている地域で、農村などで養いきれない子どもをもらってきて家族同様に育て、労働力とするということが、各地で行われていたそうだ。(p14) 珍しいことではなかったらしい。 「海に背を向けた日本人」とはいっても、現実には、沿岸を航行して物資を運ぶことは行われていたのだが、造船や遠洋航海の技術の発達がなかったため、かえって多くの遭難者を出してしまったようだ。 宣教師達の見た日本人は美しい。 「名誉を重んずることは非常なもので、侮りや怒りをふくんだ言葉にはたえることができない。だからもっとも下級な職人や農夫と話をする時でも我々は礼儀をつくさなければならない。そうしないと彼等は無礼を怒ってたとえそれが良い収入を得られる仕事であってもやめてしまうか、不利な別の職についてしまう。」(p199) 日本人が清潔であること、礼節を重んじることは、幕末日本を訪れた外国人も指摘していることだ。 明治維新以来だめになる一方らしい。 楽天ブログランキング←クリックしてください お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2006.04.19 10:11:49
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