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カテゴリ:その他の読書録
よくある、漫画やアニメの世界を現実にするとこうなる、という本ではあるのだが、ひと味違う。
著者の本業は建築コンサルタントで、マンガでもアニメでも、無意識のうちにどんな間取りになっているのか考えてしまうらしい。 その考察の結果を、1作品につき、見開き2ページで解説している。 右側になる偶数ページは考察の文章。左側になる奇数ページには間取りの見取り図。さらに、その図の下に、「ある住人のつぶやき」というのがあって、誰とは書いていないが、その作品に登場する人物の独り言(もちろん、著者が考えたもの)が書いてある。 よく知っているものもあれば、全く知らないマンガもある。 「サザエさん」はアニメ版と、福岡時代のマンガ版とで別々に考察している。 タイトルには「名作マンガ」とあるが、マンガとは限らない。よくある、マンガとアニメの混同かと思ったのだが、そういうわけではない。 「太陽に吠えろ!」の捜査1係の室内や、映画「家族ゲーム」の一家が住むマンションの間取りの考察などもある。 感心したのが、「番外編」の「磯野家 立て替え計画」で、タラちゃんが小学生になったあと、という設定で、マスオとサザエが中古マンションにでも引っ越そうかと、花沢不動産を訪れて、という架空の物語。 いかにもアニメ版「サザエさん」にありそうな話で、セリフもまた、いかにもいかにもなのだ。 全編を通して感じられるのは、取り上げたマンガやアニメへの愛情である。ただ突っ込んでいるのではなく、専門家から見ると変ではあるのだが大好き、というのが伝わってくる。 いつだったか、夏目漱石の「こころ」の先生が下宿していた家の間取りを考察した文章を読んだ記憶があるが、この本には、「吾輩は猫である」の家の間取りが載っている。また、あっと驚いたのは宮沢賢治「注文の多い料理店」の間取り。今まで考えたこともなかったが、合理的に考えるという功間取りになるのだ。 専門家というのは恐ろしいものだ。 楽天ブログランキング←クリックしてください 楽天会員以外の方のコメントは「輾転反側掲示板」へ クチコミblogランキング TREview お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.08.24 16:46:52
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