
懐かしい映画だ。
「
蒲田行進曲」の二年後の作品で、風間杜夫や松坂慶子、平田満など、キャストが重なっている。
1936年、軍国主義が台頭して不自由になった日本から、まだ自由が残っていて、異国でもあり日本でもあるような上海に、クラリネット奏者(風間杜夫)と妻(松坂慶子)が現れる。
現地で活躍していたトランペット奏者(宇崎竜童)と、その恋人の中国娘(志穂美悦子)の四人が中心。
上海は自由ではあるが理想郷ではなく、中国人への差別があり、やがて日本軍が幅をきかせ中国人との間に溝ができてきたりする。
日本軍による残虐な行為も描かれている。
ショーのシーンは華やかで、松坂慶子と志穂美悦子が歌い踊る。
世相的にもハッピーエンドにはならない。
この時期の上海というのは、日本人にとっては舞台にしたくなるもののようだ。
生島治郎の「黄土の奔流」や森川久美の「蘇州夜曲」「南京路に花吹雪」を思い出す。
上海ロケも行われていて、街並みは本物のようだ。