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非常に適当な本と映画のページ

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2006.11.29
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カテゴリ:邦書

 御手洗潔初の事件を描いた小説。


粗筋

「俺」は公園で目を覚ました。自分が何者か全く思い出せなかった。ふとしたことで良子という女性と知り合い、同棲を始める。良子は、「俺」に石川という名を与えた。
 石川は、記憶を取り戻せないでいた。後遺症からか、鏡を見れなくなっていた。彼は、近くに住んでいた御手洗潔という占い師と知り合い、交流を深めた。
 石川は、良子と幸せな暮らしをしていたが、自分が何者なのか、という疑問を持ち始める。良子は手がかりがないといっていたが、ある日戸棚から自分の免許証を見付ける。それによると、自分の名は益子青司だった。免許証の住所に行くべきか悩む。
 良子は、最初は二人との暮らしが終わることになったら嫌だと言ってその住所に行くなとせがむが、ある日を境に行ってみろと言い始める。石川――益子――が渋っていると、良子は怒り出す。石川――益子――は、良子がなぜ態度をコロコロ変えるのか分からない。
 石川――益子――は、良子の留守を機に、免許証の住所を訪ねる。その住所では中年女性が住んでいた。その中年女性によると、前の居住者には妻と子がいたが、妻と子は無理心中したという。夫は事件後越したと付け加えた。
 石川――益子――は、自分に妻と子がいたことを知ってびっくりする。その中年女性から、夫の新しい住所を教わった。石川――益子――は、その住所へ向かった。そこで亡くなった妻が残した日記と、記憶を失う前の自分の日記を発見する。
 妻の日記によると、妻は暴力団に属する井原という男に金を騙し取られて自殺に至ったのだった。自分の日記では、井原を殺そうとする自分の行動を書き記していた。
 石川――益子――は、全てを思い出した。自分は井原を殺そうとしたが失敗し、頭を殴られ、あの公園に放置されたと。
 石川――益子――は、妻の復讐のため、井原を捜し出し、刺し殺そうとした。そこに良子が現れる。石川――益子――は、良子を誤って刺してしまう。良子はどこかの病院に運ばれた。
 なぜ良子は井原の側にいたのか。石川――益子――は、訳が分からなくなる。
 石川――益子――が良子が搬送された病院を探そうとしたが、なかなか分からない。そんなところ、石川――益子――は、自分と同じ顔の男と出会う。その男は、アパートへ戻れと命じた。石川――益子――は、アパートへ戻る。
 アパートには良子の母からの手紙が届いていた。その手紙によると、井原は石川――益子――の妻だけでなく、良子も狙っていた。石川――益子――は怒り狂う。井原を絶対殺すと誓った。
 そこに御手洗潔が現れる。馬鹿な真似はするなと。良子は井原の娘だと告げる。石川――益子――はびっくりする。
 御手洗は真相を説明する。これは、石川に井原を殺させる為のトリックだったと。井原は暴力団でも何でもなかった。単なる保険金・遺産目当ての計画だったのだ。
 井原には、離婚した妻がいた。たか子である。井原とたか子の間には二人の子がいた。清司と良子である。井原は元妻に対し金を出し渋るので、たか子、清司、そして良子の親子は、金に困った。そこで、井原に生命保険を秘密裏にかけ、殺すことにした。暴漢に殺されたことにする為、他人に殺させることにした。そこで選ばれたのが、事故で病院に担ぎ込まれ、記憶を失っていた石川である。
 石川に偽の記憶を刷り込み、逆上させ、井原を殺させようと考えたのだ。無論、石川には自殺した妻も子もいない。全て作り話だった。同棲していた良子は、石川に対し芝居をしていたのだ。また、免許証の住所にいた中年女性は、たか子だった。免許証は石川のではなく、青司のである。
 青司は、良子の裏で、追加の計画を立てていた。石川を始末するための計画である。石川を凶悪犯に仕立て上げ、警察に殺させようとしたのだ。そのために、青司は井原が良子まで殺そうとしていると信じ込ませることにした。
 そこで使われたのが、益子青司の免許証である。石川は、後遺症で鏡が見られなくなっていた。自分がどんな顔をしているのか分からなかったのである。だから石川は益子青司の免許証を発見した時、その写真を自分の顔だと思うようになった。青司が石川の前に現れてアパートに戻れと言われた時、石川は自分と同じ顔の者が現れたと錯覚したのだ。
 石川は、良子がいる病院を探し出せたが、既に手遅れで、良子は石川の腕の中で死んだ。
 良子は暴漢に殺されたことになり、事件は終わる。青司とたか子の親子は、良子にかけていた保険金を得ることになる。
 石川は、自分の本物の免許を取り返した。本名は石岡だった。これが御手洗と石岡の出会いとなったのである。


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解説

 救いのない話!
 一番の悪者青司やたか子がまんまと逃げ通すのだから。親子の中で一番悪くなかった良子が死んでしまう。
 この計画に無理があるのは明らか。仮に上手い具合に天涯孤独な記憶喪失の者がいたとしても、記憶喪失の人間をここまで上手く操れるとは思えない。ふとしたことで記憶を取り戻してしまったらどうするつもりだったのか。
 筆跡は真似ようと思えば真似られるといっても、偽の日記を本人に読ませても偽と気付かれないほど精巧なのができるとも思えない。
 そもそも、父親を殺すためにこんな回りくどく、手間がかかり、失敗の可能性が高く、そして効率の悪そうなことをするだろうか。
 石岡(というか石川、というか益子……ややこしい)が感情的で、お人好しで、特に頭がよくなかったからいいものの、もう少し冷静で、狡賢く、頭の回転が速かったら、この計画は最初から破綻していただろう。
 石岡が鏡を直視できない為自分の顔を覚えていない、という発想はどこから得たのか。顔を覚えていたらどうするつもりだったのか。その方面からでも計画が破綻した可能性もある。
 破綻してしまった場合、たか子・青司親子はどうしていただろうか。また天涯孤独な記憶喪失の男を捜すつもりだったのか。
 本書は300ページほどあるが、ペースがとろい。200-250ページくらいに整理した方がよかった気がする。
「占星術殺人事件」の前の事件。同じ年の1979年の出来事だろうか。



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Last updated  2006.11.29 10:29:43
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