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2015.09.04
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カテゴリ:邦書

 デビュー作「月長石の魔犬」の続編。


粗筋

 ある県で、放火が立て続きに発生していた。
 警察や消防局は必死に捜査していたが、手掛かりは全く掴めなかった。
 そうしている内に、連続放火事件は殺人事件に発展。
 全焼した家の中から、死体が発見されたのだ。しかも単なる焼死体ではなく、ワイヤーで縛り上げられ、油を掛けられていた。放火が目的ではなく、殺人の手段として放火が使われたのである。
 キャリア警視鴻薙冴葉は、石細工屋風桜青紫の協力を仮り、犯人を追い詰めようとするが、逆に有力容疑者と目された者が次々焼死体となって発見される。
 警察がなかなか真相に近付けない中、鴻薙冴葉の知人で、嘱託解剖医嘉神沙遊良は、犯人らを突き止める。
 放火魔と、放火殺人犯は別人だった。放火殺人犯の少年は、「自殺を手助け」するつもりで、被害者を縛り上げ、油をかけ、火を放って家屋ごと焼いていた。最後の殺人の対象は、放火魔である女性だった。
 嘉神沙遊良は、放火殺人犯の少年を、同じ手口で焼き殺す。


楽天ブックス(large)

解説

 アニメのノベライゼーションを読まされた気分(カバーもアニメ調のイラストになっている)。
 370pと、分厚いのに、中身は薄い。
 とにかく無駄なキャラクターが多過ぎ。
 本作はシリーズ作で、キャリア警視鴻薙冴葉、石細工屋風桜青紫、そして嘱託解剖医嘉神沙遊良が大活躍するのかと思いきや、嘉神沙遊良以外はこれといった動きは見せない。正確には、キャリア警視鴻薙冴葉は動く事には動くのだが、物語の展開に殆ど貢献しておらず、登場していなくても充分成り立っていた。
 大した活躍はしないのに、いずれもやけに凝った名前になっていて(苗字は珍名で、下の名はいわゆるキラキラネーム)、パッと見ても苗字なのか、下の名なのか、男なのか、女なのかも分かり辛い(ちなみに、鴻薙冴葉(コウナギ・サエバ)は女性、風桜青紫(カザクラ・セイシ)は男性、嘉神沙遊良(カガミ・サユラ)は女性らしい)。
 珍名・キラキラネームキャラがこの三人に留まっているのなら、まだ救いがあるが、他にも同様の名前のキャラが何人か登場するので、訳が分からなくなってしまう。

 ストーリーも、シリーズレギュラー(と思われる)のキャラの日常がひたすら描かれているだけ。
 シリーズレギュラーのキャラの視点で、それぞれ一章を割いて描かれているので、ストーリーが全く進展しない。
 同じ場面を、2人のキャラの視点で描き、それぞれ一章割く、という無駄な部分も多い。
 放火殺人事件が発生しているのに、それに関しては「本遍にとって特に重要ではない」と言わんばかりに、キャラ達の会話で軽く触れられているだけ。
 進展が全く無いのに、本のラストに差し掛かってきたので、もしかしたら本書は二部作の第一巻で、解決は次巻になるのか、と思っていたら、いきなり「放火魔と、放火殺人の犯人は同一人物でない。放火魔は、放火殺人の犯人に殺された」という真相が明らかにされる。
 真相こそ明らかにされるものの、あまりにも唐突で、「推理」の部分が全く無い。犯人らがどういう手口で犯行を繰り広げたのか、どうやって警察の捜査を欺いたのか……、等々についての説明が無いのである。
 まず「事件」がある事を示し、その後シリーズレギュラーの事件とは無関係の近況を長々と述べ、原稿枚数が残り少なくなったので事件のネタバレを著者自ら断行したかの様。
 放火魔は、時限発火装置を百個以上作成し、それを市内に設置し捲り、一晩で十数か所の放火を何度も発生させた、という事になっている。が、百個以上の時限発火装置を作るのは相当な作業だし(材料集めだけでも大変)、それを設置するのも相当な作業になる。犯人がどうやってこの大事業を単独で、目撃者一人残す事無く成し遂げたのか、という謎は明らかにされない。
 放火殺人の犯人は少年。少年が殺人対象者の家に忍び込み、被害者をワイヤーで縛り上げ、油を掛け、家屋ごと焼いた、という事になっている。が、これに関しても、ここまでの大事業を単独でどうやって成し遂げたのか、という謎が明らかにされない。
「著者である自分が犯人だと言ったのだから犯人なんだ」
 ……という、著者の理屈だけで「犯人」が決まり、物語は終わってしまう。
 推理小説の体を成していない。

 推理小説としては失敗としても、面白いキャラが興味深い言動で読者を楽しませる、という内容だったらまだ救われるのだが……。
 いずれのキャラも、興味深いのは名前だけで、言動はひたすら退屈。
 省いても良かったのでは、と思ってしまう。

 本書が、どういう小説になる事を狙って書かれたのか、さっぱり分からない。
 盆暗キャリア警視の鴻薙冴葉が、ハチャメチャな捜査と推理を展開し、周囲を呆れさせるが、最終的には本人ですら予想していなかった形で事件を解決してしまう、というユーモア小説……、にしては、鴻薙冴葉が登場する場面以外は小説のトーンは暗い。陰湿と言い切っても良い。
 連続放火魔と、それを追う警察の死闘を描いたサスペンス小説……、にしては、鴻薙冴葉という、アニメみたいなキャラ(若い女性のキャリア警察官で、既に警視の階級にある)を登場させている。事件に渾名を付ける事に執着し、それにわざわざ一章を割いている。しかも、警察はただただ無能で(放火に至っては、何十箇所で放火されているのに、目撃者一人すら見付けられない)、連続放火魔対警察の図式になっているとは言い難い。
 ユーモア・サスペンス小説というジャンルもある事にはあるが、本作はそれにも該当しない。

 本作は、デビュー作の続編。
 そんな事もあってか、前作について触れている。
 触れるのは結構だし、シリーズ作として継続性を持たせるのは重要なのだろうが、事あるごとに前作に触れて、宣伝し捲るのはどうかと思う。
 逆に興味を失う。
 というか、前作を宣伝し捲る前に、本作をどうにかしてほしい、と思った。

 推理小説には特に興味は無いが、出版社に言われるまま書いてみたらこんなのが出来上がってしまいました、といった内容の小説である。








Last updated  2015.09.05 00:21:45
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