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2016.04.08
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カテゴリ:邦書

  シベリア抑留から日本に帰国した都野医師が、数々の犯罪に巻き込まれ、それらを解決していく様子を描いた連作短編集。
 初版行は1959年。
 そんな事もあり、まだ経済成長期に入っていなかった日本の、のんびりとした様子と殺伐とした様子の双方が描かれている。
 8篇から成る。


解説

 有名な架空の探偵というと、シャーロック・ホームズの名が必ず挙がる。
 何故19世紀末に誕生した探偵が、未だに読まれ続けているのか。
 ホームズ以降、探偵小説や推理小説が全く発表されていなかった訳ではない。
 寧ろ、推理小説としてホームズ物を上回るものはいくらでもある。
 にも拘わらず後発のは時代と共に廃れ、ホームズ物は推理小説の代名詞になり続けている。
 最大の理由は、後発のは技術革新や社会情勢の変化により、単に「古臭い」ものになってしまうからだろう。
 20世紀に出版されたものだと、電話や自動車等、現在でも通用する通信手段や自動車が登場する。しかし、名称は同じでも、現在とは用途や技術が異なる。「当時、固定電話はあったが、携帯電話は無い」「当時の自動車にカーナビは無い」等、注釈が一々必要になる。
 一方、ホームズ物は19世紀末のロンドンが舞台。
 通信手段は電報で、乗り物といえば馬車。
 異次元の世界に等しい。
 推理小説として純粋に読まれているというより、現実から遠く離れた世界を舞台で活躍するヒーロー物として読まれている側面が大きい。

 本作は20世紀に出版されたので、純粋な推理小説としては、本来成立し難い筈だが、一応読めるものになっている。
 主人公が、大戦後のシベリア抑留から日本に戻って来た、という設定になっているから。
 たったこれだけで、本作は現在とは異なる異次元の世界での物語になる。

 第一話の瓶詰めの拷問では、院長の妻が妊娠。院長は、子供を作れない身体だった。となると、妻の子の父親は誰だ? ・・・・・・で物語は始まる。結局、院長が邪魔な存在だった妻を始末しただけ、という事に。
 
 第二話の首を縮める男は、2つの遺体の首を入れ替える、というのがメインのトリック。DNA鑑定が当たり前の現在では、一発で偽装がばれそう。当時でも、血液鑑定はそれなりに導入されていた筈なので、偽装をやり通せたかどうかは疑わしい。

 第三話の或る暴走記録は、撤去すると約束した筈のトラバサミを撤去していなかったお陰で、起こるべきでなかった事件に発展してしまった、というのがミソ。ただ、一人が死んだとはいえ事故だった。素直に通報すれば、過失は事故死した方にあった、となった可能性が高い(隣の家に不法侵入しようとしていた)。にも拘らず、事故を隠す為に殺人という罪に手を染めるか、という疑問が残る。

 第四話の蜉蝣機関車は、管轄が異なる為に連絡が行き通らず、1体の遺体に関する書類が2箇所で受理されてしまう、となっている。現在は電子化されているので、こういう事は有り得ないと思ってしまうが、電子化も完璧でないので、予想外のすり抜けられそう。

 第五話の顔のある車輪は、神父が罪を犯す理由が良く分からない。また、キリスト教では堕胎は殺人と見なされている筈だが、本編では神父が胎児について「望まれていない」として堕胎させる事を主人公の医師に提案している。当時のキリスト教は堕胎についてそこまで意識が高くなかったのか、この神父の異常さを描く為にあえてそうさせたのか、著者がキリスト教について無知だったのかどうかは不明。

 第六話の座席番号13も、また堕胎が絡む物語。当時は堕胎がここまで一般的だったのかね、と思ってしまう。

 第七話の機関車は偽らずも、やはり堕胎が絡む。犯人が被害者を殺す理由が、やけに安易。他に問題を解決する方法はあっただろうに、と思ってしまう。

 第八話のノイローゼ殺人事件は、男性として生まれながらも事情により女性として生きている人物が登場。ただ、いくら女性として育てられてきたとはいえ、ある程度年齢のいった男性が、医師の目や、「夫」の目を欺ける程女性の格好を出来るのか。性転換手術を受けたり、ホルモン剤を投与されていたりした訳ではない様だし。

 現在の観点で読んでしまうと、推理小説として成立していないのが大半を占める。
 堕胎手術が当たり前の様に実施されているのも、気になる。
 ただ、終戦から間もなく、高度成長期はまだまだ先、という時代の東京の、人々の生活振りを推理小説っぽくして描いた、と考えれば許せるから不思議。


粗筋はこちら







Last updated  2016.05.17 21:43:46
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