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2016.11.30
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カテゴリ:邦書

 内田康夫の長編本格推理小説。
 浅見光彦が登場する。


粗筋

 金沢市で、女子大生の北原千賀が、石段から何者かに突き落とされて死亡する、という事件が発生。千賀は東京在住で、正月に偶々金沢を訪れていた所、殺されたらしい。
 石川県警は千賀の身辺を捜査。どうやら彼女は東京で起きた殺人事件に関わっているらしいのが判明した。
 東京の神社で商社マンの山野稔が何者かによって殺害された。この事件では、通報者は女性という以外、何も分かっていなかった。後にこの通報者は、「山野稔は死ぬ直前に『オンナニ・・・・・・ウシク』という謎の言葉を残して死んだ」と改めて警視庁に電話していた。警視庁は、通報者が事件に関わっていると思い、捜査していたのだ。
 山野稔殺害事件に偶然関わる事になったルポライターの浅見光彦は、北原千賀の死を知り、この二つの殺人事件は繋がっている、と確信。北原千賀は、神社で瀕死状態の山野を発見し、謎の言葉を耳にしたものの、事件とは関わりを持ちたくなかったので、匿名で通報した。警視庁の捜査が行き詰っている事を知り、山野が口走った謎の言葉について、再度匿名で伝えた。その後、彼女は金沢へ旅行で向かった。そこで、彼女は山野を殺した犯人とどういう訳か再会し、殺されてしまった。もしかしたら、北原千賀は知らずの内に犯人を目撃していて、その犯人に追跡され、金沢で口封じされたのでは、と浅見は推測した。
 浅見は、警視庁刑事局長である兄のコネを駆使し、単独での捜査を開始。
 事件解決の鍵は山野にあると感じた浅見は、山野の身辺を調査。
 山野は考古学を趣味としていて、考古学愛好家のグループに属していた。グループには、他に高校の美術教師である永瀬という人物がいた。山野は、グループでは必ずしも評判が良くなかった。他人の研究を横取りし、自分のものとして発表してしまう事がよくあったのだ。永瀬も、その被害に遭った一人だという。
 北原千賀は、永瀬の元教え子だった。浅見は、これは偶然にしては出来過ぎると思い、永瀬を身辺を洗ってみたが、アリバイがあり、犯人なのは有り得なかった。
 山野は、商社マンとして、織物の仕入れを仕事としていた。浅見は、「牛首袖(ウシクビソデ)」という着物が石川県で生産されている事を知る。山野が死ぬ間際に口走った「ウシク」とはこの事を指すのではないかと思い、牛首袖を手掛ける数少ない問屋玉野繊維を訪れる。そこの専務である芳崎潔が応対する。山野は、芳崎が手掛ける牛首袖を仕入れたいと交渉を試みていたが、牛首袖は生産量を無闇に増やせるものではないので、新たな取引先を開拓するのは無理だと伝えた、と芳崎は話した。
 浅見は、山野がプライベートと商談を兼ねて行っていた旅行について調べる。彼が宿泊していたホテルに、芳崎が偶然にも宿泊していた事を知る。
 浅見は推理する。
 山野は旅先のホテルで、男性と女性が宿泊するのを目撃した。それから数日後、山野は商談の為玉野繊維を訪れた所、男性と再会。専務の芳崎だった。妻を紹介されるが、それはホテルで見掛けた女性ではなかった。要するに、山野は芳崎の不倫現場を目撃したのだった。山野は、それをネタに、商談を有利に進めようとする。
 芳崎は、それを強請りと受け取った。牛首袖は生産量が少なく、山野が進めようとする商談を成立させるには、従来からの顧客を切り捨てなければならない。それは出来なかった。
 芳崎は、山野を殺す事を決意。一人では実行に移せないので、不倫相手である女性(永瀬の妻)に加担させた。山野を東京の神社に誘き出し、殴打して致命傷を与えたまではよかったものの、即死には至らなかった。瀕死状態の山野は、現場に居合わせた北原千賀に、牛首袖の取引相手に殺された事を部分的に伝え、絶命。
 北原千賀は、事件との関わりを出来る限り避けたかったので、匿名で警察に電話を入れた後、金沢を訪れる。そこで、高校時代の教師だった永瀬と、その妻と再会。
 永瀬の妻は、神社での犯行の目撃者が、夫の元教え子と知って驚く。
 その場で、北原千賀は、永瀬の妻に対し、以前お会いしましたねと口走ってしまう。彼女は、学生時代に会った事がある、と述べただけだったが、永瀬の妻は「犯行現場で会いましたね」と言ったと早合点。芳崎に伝えた所、北原千賀も始末しなければならないと慌てた彼は、彼女を石段から突き落としたのだった。



解説

 低予算テレビドラマの原作本、といった感じ。
 そういった小説でも、やりようによっては面白いものに成り得るのだが、本作にはそうした創意工夫は一切見られない。
 締め切りに迫られて、創意も工夫も無くとにかく書き飛ばし、既定の枚数に達したので適当に広げていた風呂敷を強引に畳んで終わらせ、編集者に渡したかの様である。
 本格推理小説、と名乗っている割には推理小説の醍醐味である筈のトリックや、意外な犯人や、どんでん返し、といった要素が見られない。
 探偵役の浅見が当ても無く関係者(実際には事件とは無関係の者が殆ど)の元を訪れては話を聞いて帰って行く、という展開を延々と読まされるだけ。

 浅見は、本作というか、本シリーズでは警視庁刑事局長の弟で、優秀な探偵で、数々の難事件を解決した事になっている。
 が、何故そうやって持ち上げられるのか、読んでいる側からすれば全く分からない。
 特に賢い訳ではないし、閃きがある訳でもない。
 やる事といえば、兄の七光りで警察官をあしらうだけ。
 この程度の探偵に出し抜かれる警察は、相当無能としか言い様が無い。

 本作の警察は、とにかく捜査が徹底していない。
 北原千賀は、東京在住。金沢は偶々訪れていた。
 金沢で殺されたとなれば、金沢で出会っていた人物に殺された可能性が高いと考え、永瀬教師の身辺を洗っていれば、その妻が不倫していた事等、怪しい点をいくらでも掘り出せた筈。永瀬の妻の線を追及していれば、北原千賀殺害だけでなく、山野殺害の真相も芋づる的に解明出来ただろうに。
 何の勘も働かなかったらしい。

 事件は単純な内容で、真相も驚きに値しない。
 こんな特徴の無い事件に、文庫本で300ページも費やさないと解決出来ない、というのは探偵や警察の無能振りを現している。

 タイトルは「金沢殺人事件」となっているが、金沢で起こる殺人事件は二番目の被害者である北原千賀の件だけ。
 発端となる山野の殺害現場は東京。
 浅見は金沢市を何度か訪れる羽目になるが、それ以外にも能登半島等、石川県各地を訪れている。金沢市にずっと留まっていた訳ではない。
 何故こんなタイトルになったのか。

 著者は、大掛かりなトリックを駆使する推理小説を「ご都合主義」として馬鹿している。
 したがって、本作にも大掛かりなトリックは無い。
 これによりご都合主義の要素は排除されているのかというと、そうではない。
 寧ろご都合主義だらけ。
 北原千賀が偶々神社に入った所、瀕死の状態の山野を発見。山根は考古学愛好家クラブに属しており、北原千賀の高校時代の教師もメンバーに名を連ねていた。
 北原千賀はその直後に金沢を訪れ、恩師と再会。そして神社で犯行を手伝っていた恩師の妻とも再会してしまい、その結果殺される。
 事件そのものがご都合主義なのである。
 山根の殺害方法も、ご都合主義。致命傷を与えるものの、即死には至らなかったので、偶々現場にいた北原千賀に、謎めいた言葉を残すのを許してしまう。
 石段から突き落とす、という不確実な方法で北原千賀を殺せたのも、ご都合主義。
 主犯が物語の後半で登場する人物なのも、共犯がラストでやっと登場する人物というのも、ご都合主義だろう。
 ご都合主義を批判出来る推理小説にはなっていない。

 物語の中で殺人事件が発生し、それを探偵役に調査させ、犯人が作中で特定されれば「本格推理小説」として成り立つ、という程度のご都合主義的な認識で著者は小説書き飛ばし、その産物をいわゆるファンらが「これが本格推理小説なんだな」というご都合主義的な認識で読み漁る。
 こうしたご都合主義的な構造が改められない限り、日本の推理小説は低迷するばかりである。


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Last updated  2016.11.30 18:47:33
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