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非常に適当な本と映画のページ

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洋画

2019.07.14
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カテゴリ:洋画

 アベンジャーズ/エンドゲームは、2019年のアメリカ合衆国のスーパーヒーロー映画。
 アベンジャーズの実写映画シリーズ第4作。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のシリーズ作としては第22作目に当たり、アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(MCU第20作目)の続編となっている。
 原題はAvengers: Endgame。


粗筋

 2018年、インフィニティ・ストーンを全て手に入れる事に成功したタイタン星人サノス(ジョシュ・ブローリン)により、全宇宙の生命の半分が消し去られてから3週間。
 宇宙を漂流していたトニー・スタークことアイアンマン(ロバート・ダウニー・Jr)とネビュラは、アベンジャーズに合流していたキャロル・ダンヴァースことキャプテン・マーベル(ブリー・ラーソン)の助けで地球に戻る事が出来た。
 スティーブ・ロジャースことキャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンス)を始めとするアベンジャーズの生存者らと、キャロル、ロケット、ネビュラは、失った者らを取り戻す為に、ある惑星で隠遁していたサノスを急襲する。しかしインフィニティ・ストーンはサノスの手で既に破壊されており、失った者らが戻って来る手立ては失われていた。ソー(クリス・ヘムズワース)の手でサノスに留めが刺され、戦いの区切りこそ付くが、空しさだけが残った。
 それから5年後の2023年。
 偶然にも量子の世界から抜け出したスコット・ラングことアントマンは、アベンジャーズに接触を図る。スコットは量子の世界が既知の時間の概念を超越している事を伝え、量子力学を用いたタイムトラベルを提案する。タイムトラベルで過去に舞い戻り、サノスが手に入れる前にインフィニティ・ストーンを手に入れてしまおう、と。
 ハルクことブルース・バナー(マーク・ラファロ)がタイムマシンを製作し、タイムトラベルの準備が整う。
 トニーは、当初はアベンジャーズとはもう関わりたくないと考えていたが、愛弟子のピーター・パーカーことスパイダーマン(トム・ホランド)を取り戻すべく参加した。酒浸りになっていたソーも、ブルースとロケットに連れ戻される。家族を失い自暴自棄に陥っていたクリント・バートンことホークアイ(ジェレミー・レナー)も、ナターシャ・ロマノフことブラック・ウィドウ(スカーレット・ヨハンソン)に説得され舞い戻る。
 アベンジャーズは、3つのグループに分かれ、それぞれ過去へと飛んだ。

 2012年、チタウリとの決戦の舞台となったニューヨーク。
 ブルースはエンシェント・ワンに出会い、タイムライン(時間の流れ)を分岐させる危険性を警告されながらも、各時代にインフィニティ・ストーンを返却する事を条件にタイム・ストーンを譲り受ける。
 スティーブは、過去の自身と決闘した末にマインド・ストーンを回収する。
 一方、スコットとトニーは、スペース・ストーンの奪取に失敗する。トニーとスティーブはピム粒子とスペース・ストーンを回収する為、更に過去となる1970年を訪れて陸軍施設からそれらを盗み出す。
 2013年、ダークエルフ侵攻直前のアスガルド。ソーとロケットは、ジェーン・フォスターに宿っていたリアリティ・ストーンを回収する。ソーは母との再会で自信を取り戻し、破壊される前のムジョルニアも回収する。
 2014年、ピーター・クイルが訪れる直前の惑星モラグ。ローディとネビュラがクイルを待ち伏せしてパワー・ストーンを回収するが、ローディがストーンを持って現代へ戻った一方、ネビュラは2014年のサノスに囚われ、2014年のネビュラが代わりに現代へ時間移動する。
 ローディらと2014年に移動したクリントとナターシャは、この時代のヴォーミアへ向かい、ソウル・ストーンを入手する為ナターシャが自ら命を投げ出す。生き残ったクリントの手に、ストーンが渡った。

 2023年にトニーらが戻り、全てのインフィニティ・ストーンが揃うと、ブルースは新たなガントレットを嵌め、指を鳴らした。
 ブルースの右腕と引き換えに、サノスによって消え去った者らが全てこの世に舞い戻った。
 しかしその直後、2014年から訪れたネビュラの手引きで未来へ侵入したサノスが、アベンジャーズ施設を破壊する。
 スティーブ、トニー、ソーの3人はサノスに挑むが、3人掛かりでもサノスを倒せない。その間に、サノス配下の軍が地球への侵攻を開始する。
 追い詰められたアベンジャーズだったが、戦場にスリング・リングのゲートが開き、蘇ったヒーローらが加勢し、サノス軍との全面対決が始まる。
 戦局が二転三転する中、サノスはインフィニティ・ガントレットを回収する。しかし、隙を突いてストーンを手中に収めたトニーが、自らの指を鳴らしてインフィニティ・ストーンの力を発動させる。
 これにより、サノス軍はサノスを含め消滅。
 しかし、その代償として、トニーは致命傷を負い、死亡する。
 トニーの葬儀後、ソーはヴァルキリーを新たなアスガルドの王に任命し、自らはガーディアンズ・オブ・ギャラクシーと旅に出る。
 スティーブは、エンシェント・ワンとの約束を守るべく、ムジョルニアとインフィニティ・ストーンを元の時代に戻すタイムトラベルを決行。そして仕事を終えた後は過去に残り、ペギー・カーターと人生を共に過ごす事を決める。
 そして年老いた後に元のタイムラインに帰還したスティーブ・ロジャースは、サム・ウィルソンに自身のトレードマークであった盾を渡した。



感想

 アイアンマンから始まった一連のMCU映画シリーズの集大成。
 本作で、初期からシリーズに関わってきたアイアンマンとブラック・ウィドウは死亡。
 キャプテン・アメリカは死にはしないものの、ラストで老人となった姿で登場するので、引退、という運びになっている(演じているクリス・エヴァンスも、本作を以ってキャプテン・アメリカの役から降板すると表明している)。
 その一方で、インフィニティ・ウォーのラストでサノスにより消滅したアベンジャーズのメンバーや、関係するヒーローは全て戻って来るので、製作者側からすればアベンジャーズの世代交代を果たした、という事になる(消滅前にサノスに殺されたソーの弟ロキやヴィジョンは、戻って来ないらしい。ヴィジョンは、MCUにおいては、全くと言っていい程活躍しないままシリーズを離れる事に)。

 紆余曲折はあり、何名かは他界するものの、全体的な流れはアメリカ映画らしい、ハッピーエンドになっていて、期待を裏切らない。
 今後もMCU映画が制作され続けるのが予想出来るエンディングになっている。

 ただ、MCU映画シリーズをほぼ全て観ていると、本作と前作や前々作との連携が取れていない面が見受けられる。

 インフィニティ・ウォーでは、冒頭でアスガルドの生き残りを乗せた宇宙船がサノスにより襲撃され、破壊される。これにより、アスガルドの生き残りはソーだけで、アスガルドの者は全て死亡した様に描かれていた。
 現に、インフィニティ・ウォー直前の出来事を描いていたマイティー・ソー/ラグナロックで大活躍したヴァルキリーは、インフィニティ・ウォーでは全く登場していない。
 にも拘わらず、インフィニティ・ウォーから5年後の出来事を描く本作では、当たり前の様に登場。しかも、地球に「新アスガルド」という地区が制定され、アスガルドの生き残りがそこで暮らしている事になっている。
 インフィニティ・ウォーで全く登場しなかった、ソー以外のアスガルド人らはどこで何をしていて、どうやって地球に辿り着いたのか、と不思議に思う。

 本作では、タイムトラベルが当たり前の様に行われ、様々な事件が起こるが、アベンジャーズが勝利し、インフィニティ・ストーンをそれぞれ元の時代に戻す事で、全てめでたしめでたしで終わる事になっている。
 ただ、考えてみると、これには問題点が多い。
 サノスは、2014年の世界から、2023年の世界にタイムトラベル。そこで2023年のアベンジャーズと戦い、消滅する運命に遭う。
 となると、2018年の戦いはそもそも全く無かった事になってしまう。また、サノスが2014年から2018年までに破壊し捲った様々な惑星の文明も、破壊されない事になる。
 2014年から2023年までの出来事をここまで乱しながら、インフィニティ・ストーンをそれぞれ元の時代に戻す程度で「めでたしめでたし」になるのか。
 また、タイムパラドックスも生じている。
 2014年のネビュラは、2023年にやって来て、サノスを未来に連れて来る事に成功するが、2023年のネビュラと対決。その結果、2014年のネビュラは死亡。となると、2023年のネビュラは存在しない事になってしまうが、引き続き登場している。

 スーパーヒーローが何人も登場するので、本来ならば一本の映画の主人公になっているキャラが、脇役扱いになってしまっているのは、残念といえば残念。
 既にMCUシリーズ作として単独で主役を務めたドクター・ストレンジは、本作ではラストのバトルで登場するだけで、サノスに歯が立たない。
 本作とインフィニティ・ウォーの間に誕生編が公開され、そこでは主役を演じ、無限の力を発揮したキャプテン・マーベルは、冒頭から登場するものの、それ以降は大した活躍はせず、最後のバトルで漸く姿を現してサノス軍の宇宙船を破壊するという大役をこなすが、サノスとの一騎打ちでは呆気無く退けられてしまう。
 インフィニティ・ウォーで消滅したスパイダーマンも、ラストのバトルで復帰し、それなりの活躍を見せるが、MCUシリーズの次回作への繋ぎ感が否めない。
 ソーは、これまで何作かで単独で主役を務めていて、サノスと対等に戦える力を持っているとされるのに、本作では不摂生によりぶくぶくと肥った姿を披露し、タイムトラベル作戦でも大した事が出来ず(亡くなった筈の母親との再会を果たし、子供の様に涙を流す)、ロケットに叱責される情けなさ。ラストのサノスとの決闘でも、アイアンマン(スーツを着用していなければただの人間)を手助けする程度しか出来ない。
 ハルクは、バナーの人格と共存する形で登場していて、バナーの知性にハルクの超人的な力という、本人も述べている様に「両方の長所」を活かした存在になっている。ただ、ラストのバトルではサノスとの直接対決はほぼ無く、パワーの持ち腐れに。
 登場人物を主役扱いしていたら上映時間が何十時間にもなってしまうから、止むを得ないのかも知れないが。

 意外だったのは、アベンジャーズから離れ、降板したのかと思っていたジェレミー・レナー演じるホークアイが、本作で復活していた事。
 作中で、重大な役割を果たす。
 この為に温存していたのか、と思ってしまう。
 ただ、その役割を果たした後は、脇役扱いになってしまうが。
 このホークアイに、真田広之演じるヤクザが殺される。真田広之は、海外映画で出演する機会が増えている様だが、未だにこうした扱いを受けるらしい。

 本作でも、サノスの無敵振りには驚かされるが(何故ここまで強いのか、とにかく不明)、結局何をしたかったのか、最後まで分からない悪役だった。
 あれだけ無敵だったのに、最後は呆気無く消滅するし。

 MCUシリーズを追っていた者からすれば、充分以上に楽しめる映画。
 一方で、MCUシリーズを全く追っておらず、初めてMCUシリーズ作を観る、という者だと、登場人物や、全体の流れが全く理解出来ず、派手なバトルシーンを見せられるだけで終わってしまう。









Last updated  2019.07.14 19:51:47
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2019.04.26
カテゴリ:洋画

  DCコミックスのスーパーヒーロー・シャザムの実写映画。
『DCエクステンデッド・ユニバース』の7作目。
 変身後のシャザムを演じるのはザッカリー・リーヴァイ。


粗筋

 1974年。
 兄と共に父親が運転する車に乗っていたサデウス・シヴァナは、突如謎の神殿に召喚される。
 神殿に住む魔術師シャザムから、俺の後継者となれ、と命じられるが、神殿に封印されていた七つの大罪の魔物の誘惑に負けそうになる。
 純粋な心を持っていないので、勇者となる資格が無いと魔術師シャザムから宣告され、現実世界に引き戻される。
 車中に戻ったサデウスは、自分の体験を兄と父親に話すが、当然ながら取合ってもらえず、兄と大喧嘩する羽目に。それに気を取られた父親が運転を誤り、交通事故に遭ってしまう。
 兄に「お前のせいだ」と罵られたサデウスは、玩具の占いボールに浮かび上がった「我らを見付けろ」というメッセージを目にする。

 現代。
 幼い頃に母親と離れ離れになり、孤児となっていたビリー・バットソン(アッシャー・エンジェル)は、新たな里親が運営するグループホームに入居する。そこには足が不自由なフレディ、抱き付き癖のあるダーラ、大学進学を控えたメアリー、ゲーマーのユージーン、無口なペドロという少年少女も住んでいた。実の母親に会いたい一心で家出を繰り返すビリーは、ここでもまた馴染めずにいた。

 壮年となったサデウス(マーク・ストロング)は、父の経営する会社の研究所を使い、かつての自分と同じく魔術師シャザムに召喚された人々についての研究に執着していた。
 研究の結果、神殿に行く方法を漸く発見したサデウスは再び神殿へ行き、魔物達の力の源である魔法の目を封印から解き放ち、魔物らの力を得る。
 老いたシャザムは、勇者となる素質を持った人間を探し続けた。

 フレディ達と学校に通い始めたビリーは、フレディが虐めっ子らに暴行される現場に出くわす。最初は無視していたビリーだったが、虐めっ子らが「お前に母親はいない」とフレディを罵ったのを聞いて激怒し、虐めっ子らに殴り掛かる。
 虐めっ子らから逃れ、地下鉄に乗ったビリーは、突然神殿に召喚される。
 魔術師シャザムは、ビリーに対し俺の後を継げと一方的に切り出し、勇者シャザムへの変身能力を与える。勇者に変身したビリーを見届けた魔術師シャザムは、安心し切って消滅した。
 勇者シャザムの変身が解けないまま現実世界へ戻ったビリーは、ヒーローオタクであるフレディに助力を求める。色々試した結果、「シャザム!」と唱えるだけで元の姿に戻る事を知る。
 自在に勇者シャザムに変身出来ると知った2人は、動画共有サイトへアップロードしたり、悪人を退治したりする等、シャザムの能力を楽しみ始める。

 一方、魔物の力を得たサデウスは、父の会社の役員会議を強襲し、積年の恨みを抱き続けていた父や兄らを殺害。
 その直後、「新たな勇者が生まれた」という魔物の言葉を聞き、その力を得る為、シャザムを探し始める。

 シャザムの力を楽しんでいたビリーとフレディだったが、フレディは虐めっ子らに「スーパーヒーローは自分の親友だ。明日会わせてやる」と宣言してしまう。
 学校では目立つ行動は控えるべきだと考えるビリーと、虐めっ子らをとにかく見返したいフレディの間ですれ違いが生じ、喧嘩別れになる。
 見物客らに超能力を披露する事で小銭を稼いでいたビリーは、誤ってバスを事故に巻き込んでしまう。バスの乗客らを救出したが、駆け付けたフレディとまたも言い争いになる。
 そこに、サデウスが現れる。
 ビリーは、超能力を持っている自分なら、訳の分からないオッサンくらい問題無く倒せると思っていたが、サデウスは魔物の力を完全に扱える状況にあった。
 まだ自身の能力を完全に理解していないビリーは、サデウスに圧倒されてしまう。変身解除のどさくさに紛れ、何とか危機を脱する。

 グループホームに戻ったビリーに対し、メアリー達が「ビリーの母親を見付けた」と告げる。
 ビリーはこれまで自分と同じ苗字の女性を虱潰しに訪れていたものの、母親には出会えなかった。それもその筈、母親は旧姓に戻していたのだ。
 ビリーは、情報を基に、急いで母親の元へ向かい、念願の再会を果たす。しかし、母親は既に再婚しており、またビリーと離れ離れになったのも、ビリーを育てる自身が無いから、という理由によるもので、息子との10数年振りの再会を全く歓迎していなかった。
 実の母親と再会さえすれば本当の家族を得られると信じて疑っていなかったビリーは、現実を突き付けられ、落ち込む。
 その時、フレディのスマートフォンを使ったサデウスから、「戻って来い」との電話が。
 シャザムに変身し、ホームに戻ったビリーを、魔物でフレディらを監禁したサデウスが出迎える。
 サデウスの脅迫に屈し、ビリーは彼と共に神殿へ向かう。
 サデウスと魔物に取り囲まれるビリーだが、フレディらの助けで神殿を脱し、現実世界へと戻る。
 クリスマスのイベントが行われている遊園地に逃げ込んだビリーらを、サデウスと魔物が襲う。
 またもフレディ達が人質に取られてしまった。
 サデウスは、シャザムの力を自分に寄越せ、と要求。
 要求を呑まざるを得なくなったビリーだったが、魔術師シャザムの言葉を思い出す。フレディらにシャザムの杖を持たせ「シャザム!」と叫ばせると、フレディらもスーパーヒーローへと変身した。
 力を合わせてサデウスを撃退し、魔物を封印したビリーらは、神殿を自分らの隠れ家にする事にした。
 血で繋がっていても絆がある訳ではないし、血が繋がっていなくても絆は築けると思い知ったビリーは、ホームでの生活を受け入れ、フレディらと家族になる事を決意する。



感想

 これまでのDCエクステンデッド・ユニバース作品は、ダーク、もしくはシリアスなものばかりで、ユーモアとは掛け離れたものしかなかったが、本作はユーモアがたっぷりで、軽い気分で観られるものに仕上がっている。
 これはこれで悪くないが、これまでの作風とはかなり異なるので、戸惑う者も多いかも。
 全体的なノリは、1980年代のテレビや映画を彷彿させ、そういうものを観てきた者からすれば、「そもそもスーパーヒーローという荒唐無稽なストーリーなのだから、寧ろこのくらいのノリで丁度いいのではないか」という事になるのだろう。

 全体的には、普通の高校生が、いきなりスーパーヒーローの力を手に入れ、それをどう受け入れ、どう使うかを学んでいく、というストーリー。
 何の説明も無く手に入れてしまう(というか押し付けられる)ので、自分がどういった能力を持っているのかさっぱり分からず、色々試しながら発見していく、というのがミソ。
 本作は、シャザムというキャラを初めて映画として実写化したもの。スーパーマンやバットマンと比較して馴染みが無いので、この新キャラを説明するのに終始している感じ。
 サデウスという敵こそ登場するものの、これといった活躍はしないで終わる。

 ストーリーを細かく検証すると、おかしいというか、ご都合主義的な部分が多い。

 魔術師シャザムは、自分の後を継げる者を探し求めていた、という事になっているが、その探し方があまりにも雑。
 子供を現実世界からいきなり呼び寄せては、特に説明もせず自分の後を継げと命じ、魔物の誘惑に負けそうだと知ると「お前は俺の後を継ぐには相応しくない」と勝手に決め付け、現実世界に返す、の繰り返し。
 何故きちんと説明しないのか。
 きちんと説明していれば、サデウスも最初に訪れた際、受け入れていたかも知れないのに。
 一方で、ビリーを呼び寄せた時は、詳しく説明している(それも完ぺきではないので、超能力を得たビリーは結局苦労するが)。何故跡継ぎになるには素行が良くないビリーの時に限って手間を掛けたのか。
 呼び寄せる子供らをどういう基準で選んでいたのかも、結局分からない。

 登場人物らも、設定の年齢より幼稚な者が多く、共感し難いのが多い。

 フレディは、自身を虐めている連中を見返す為に、スーパーヒーローの姿で学校に来い、とビリーに頼み込む。それが拒否されると喧嘩別れ。
 小学生なら理解出来るが、14歳というから、アメリカなら高校生。
 虐められてどうのこうのとか、スーパーヒーローの友達である事実が明らかになれば学校の連中を見返せる、という年齢ではなかろう。

 虐めを繰り返す二人の男子の言動も、よく分からない。自動車を運転しているので、最低でも16歳(アメリカでは16歳で運転免許を取得出来る)の筈だが、虐め方が幼稚で、これもまた小学生の様。
 また、この二人は、後の遊園地のシーンで、二人でつるんでいるのが明らかにされる。こいつらは同性愛者という設定なのか、と疑ってしまう。

 敵役のサデウスも、強面の割には、行動が幼稚。
 子供の頃に見た幻想を事実だと信じ(実際には事実だったが)、それを中年になっても追い求めるというのは、幼稚以外何でもない。
 魔物の力を入れた後、仲の良くない父親や兄を殺すというのも、よくよく考えてみれば幼稚。物凄い超能力を手に入れながら、やるのは結局その程度かよ、と思ってしまう。
 それだったら、魔物の力なんか手に入れる事に執着するより、自動小銃でも購入して乱射し、父親や兄を抹殺する方がより現実的で、手っ取り早かっただろうに。
 もし魔物の力を手に入れられなかったら、老人になるまで父親や兄に対し劣等感を抱き、恨み続けていたのだろうか。

 冒頭のシーンは1974年が舞台、となっている。
 ただ、シヴァナ一家が乗っていたキャデラックは、1970年代後半から1980年代初期のモデルだった。
 5年くらいずれている。
 この頃のアメリカ車は大体似てるし、100%正確でなくても物語には影響しない、という意見があったのかも知れないが……。
 何十億も掛けて製作している映画なのに、こうしたディテールの詰めの甘さは納得し難い。
 少なくともジェームス・キャメロンだったら許さないだろう。

 今後の展開も気になる。
 子役を多く使っているので。
 子役は当然ながら成長が早いので、あっと言う間に子役でなくなってしまう。
 そうなったら、「見た目は大人、中身は子供」というキャッチコピーは使えない。
 といって、別の子役をあてがう訳にはいかないだろうから、今後制作されるDCエクステンデッド・ユニバースでは、どういう扱いになるのか。









Last updated  2019.04.26 21:33:02
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2019.04.11
カテゴリ:洋画

 マーベルコミックスの実写版。
 マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のシリーズ作としては、第21作目となる。
 女性がスーパーヒーロー役を演じるのは、MCUとしては本作が初(DCに於いては、既にワンダーウーマンが公開されている)。
 キャプテン・マーベルを演じるのは、ブリー・ラーソン。
 キャプテン・マーベルがMCUで取り上げられるのは、本作が初。
 MCU第19作目のアベンジャーズ/インフィニティ・ウォーは、ニック・フューリーが消滅する直前に通信機で発信すると、キャプテン・マーベルのマークが画面に現れる、という場面だけで終わっていて、キャプテン・マーベルの登場を示唆するものの、どういったキャラなのか全く明らかにされていなかった。
 本作は、アベンジャーズ/インフィニティ・ウォーと、MCU第22作目となるアベンジャーズ/エンドゲームを繋ぐ内容になっている。


粗筋

 銀河を支配するクリー帝国。
 クリー帝国の特殊部隊スターフォースに所属するヴァース(ブリー・ラーソン)は、繰り返し見る悪夢に苛まれながらも、ヨン・ロッグ司令官(ジュード・ロウ)の指揮の下任務を遂行する日々を送っていた。
 ヴァースは、クリー帝国の宿敵スクラル人が潜伏する星での救出任務中、スクラル人の司令官タロスによって囚われる。タロスは、過去の記憶を蘇らせる装置で、ヴァースから情報を得ようとする。
 その過程で、ヴァースの脳裏で別の人生と思われる記憶が蘇ってきた。
 ヴァースは隙をついてスクラル人の宇宙船から脱出し、付近にあったC-53という惑星に降り立った。
 クリー帝国がC-53と呼ぶ惑星は、地球だった。
 戦略国土調停補強配備局(S.H.I.E.L.D.)のエージェント・ニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)と、新人エージェント・フィル・コールソンが、ヴァースと接触する。
 自分は宇宙からやって来た、スクラル人という別の異星人が地球を侵略する恐れがある、スクラル人は遺伝子レベルで他人に化ける事が出来る、といったヴァースの話を「荒唐無稽」と一蹴するフューリーだったが、逃走した敵を追うヴァースを追跡中、コールソンがいつの間にかスクラル人にすり替わっていたのを知る。
 フューリーはS.H.I.E.L.D.長官ケラーと共に倒したスクラル人の解剖を行い、結果としてヴァースの話を信じざるを得なくなった。ケラーは、フューリーに対し、ヴァースを探し出すよう命じる。が、このケラーも、スクラル人が化けていた。要するに、スクラル人はフューリーを使ってヴァースを探させる事にしたのだった。
 ヴァースを探し出せたフューリーは、意見交換を行う。ヴァースの蘇ってきた記憶を手掛かりに、アメリカ空軍秘密施設へ向かう。
 その施設で、ヴァースは、悪夢に登場する女性ことウェンディ・ローソン博士(アネット・ベニング)が設計したライトスピード・エンジンのテスト中に死亡したとされる女性パイロットが自身ではないかという推理に至るが、何故クリー人の自分が地球人として生きていたのかは、まだ分からなかった。
 フューリーが独断で援軍を呼んだ結果、ケラーに化けていたスクラル人の襲撃を受けるヴァースとフューリーだったが、ローソン博士が隠していた猫のグースと共に脱出する。
 ヴァースは、ローソン博士について知っていて、更に地球人だった自分を知っていると思われる元空軍女性パイロットのマリア・ランボーに会いに行く。
 そこで、ヴァースは、地球ではキャロル・ダンヴァースという女性パイロットであった事を知る。が、その時点でも、何故自分が地球人として生きていたのかは分からなかった。
 その時点で、タロスが現れる。
 ヴァースは、タロスを倒そうとするが、タロスは自分は戦いに来たのではない、話し合おう、と切り出す。
 タロスにより、ローソン博士とキャロル・ダンヴァースが飛行テスト中の事故直前までの経緯を記録していたブラックボックスを回収する。その記録を聞いて、ヴァースの全ての記憶が蘇ってきた。
 空軍女性パイロットのキャロル・ダンヴァースは、ライトスピード・エンジンを搭載した航空機で飛行テスト中、謎の飛行物体に襲撃され、墜落してしまう。航空機は大破するものの、キャロルもローソン博士も生還出来た。
 ローソン博士は、襲撃者にライトスピード・エンジンを奪われないようにしなければならない、と言い出し、完全に破壊しようとする。が、襲撃者により殺されてしまう。
 訳が分からないキャロルの前に、ヨン・ロッグ司令官が現れる。ローソン博士は実はクリー人で、彼女が開発したエンジンは自分らのものだ、と言い出す。
 ヴァースは、相手が何者なのかは分からなかったが、エンジンを奪われてはならぬと判断し、ライトスピード・エンジンを破壊。その際、爆発によるエネルギーを吸収し、強大なパワーを得る事となるが、同時に記憶を喪失し、意識を失った。
 ヴァースがライトスピード・エンジンのエネルギーを吸収した事を知ったヨン・ロッグ司令官は、彼女を攫い、クリー帝国へと連れて行く。記憶喪失になっていた事を良い事に、彼女を「自分はヴァースというクリー人」と信じ込ませていたのだった。
 米空軍は、ローソン博士が開発したライトスピード・エンジンを無かった事にし、キャロルは単なるテスト飛行中に死亡したとして、この件を隠滅した。
 クリー帝国での記憶こそ嘘で、ヨン・ロッグ司令官こそ自分の敵だと知ったキャロルは、ローソン博士の遺志を継ぎ、ライトスピード・エンジンのエネルギー・コアがあるとされる秘密基地を探し出す為、フューリー、タロス、ランボーを連れ宇宙空間へ出る。
 秘密基地は、地球を周回する宇宙船だった。そこで、エネルギー・コアを回収。その正体は、ローソン博士が四次元キューブと呼んだ、インフィニティ・ストーンの一つである「スペースストーン」だった。
 無人と思われた秘密基地には、ローソン博士が匿ったスクラル人が多数いた。
 クリー帝国は、自分らに屈服しないスクラル人らを全滅させようと動いていた。残り少なくなったスクラル人は、ローソン博士の助けを借り、ライトスピード・エンジンで遠い銀河へ逃亡しようと計画していた。
 ローソン博士は、その過程で殺されたのだった。
 匿われていたスクラル人の中に、タロスの妻と子もいた。タロスがローソン博士について執拗に知りたがっていたのは、家族と再会し、共にクリー帝国の手から逃れたかったからだった。
 そんな所、スターフォースが秘密基地に到着。彼らはスクラル人とフューリーを捕らえ、キャロルをクリー帝国の支配者スプリーム・インテリジェンスに接触させる。
 キャロルは、スプリーム・インテリジェンスと対峙する中で、自身の全ての能力を開花させる。スターフォースを倒し、仲間らと共に地球へ帰還する。
 キャロルは、銀河の二倍の距離まで届くよう改造を施したフューリーのポケベルを彼に返却。そしてスクラル人の新天地を求め、宇宙へと旅立つ。
 宇宙には普通の地球人では対処出来ない敵がいると知ったフューリーは、キャロルの様な特殊能力を持ったヒーロー達を集める計画を立案する。その計画により発足したのが、アベンジャーズだった(空軍パイロットだったキャロルのコールサインが「アベンジャー」だったので、そこから取った)。
 ローソン博士のクリー人としての名前が「マー・ベル」で、その意思を継ぐ者という理由で、スーパーヒーローとしてのキャロルに、フューリーは勝手に「キャプテン・マーベル」という名を与える。

 それから数年後の現代。
「インフィニティ・ウォー」で、全宇宙の半分の生命が消滅していた。
 運良く消滅から免れていたアベンジャーズメンバーのスティーブ・ロジャース、ナターシャ・ロマノフ、ジェームズ・ローディ、そしてブルース・バナーは、この事態をどう打開すべきか探っていた。
 彼らは、フューリーが消滅直前にアクティブにしたポケベルを回収していた。
 しかし、ポケベルがどこの誰に対し通信していたのか、何故フューリーがポケベルをアクティブにしたのか、全く分からなかった。
 その時点で、4人の前にキャロルが何の前触れも無く姿を現し、フューリーの所在を尋ねる。



感想

 キャプテン・マーベルという、マーベルコミックスのヒーローでありながら、あまり馴染みの無いキャラ。
 女性ヒーローなので、尚更。
 本作は、キャプテン・マーベルというMCUにおいては新キャラを紹介し、MCUの次回作に登場させる為の地ならし的なものになっている。
 これまでのMCUのヒーローらを演じている俳優らも段々歳を取っていて(アイアンマンを演じるロバート・ダウニー・ジュニアは既に50代)、いずれは降板させなければならないので、新キャラに交代させる為の役割を担うとも思われる。

 本作は、アベンジャーズ/インフィニティ・ウォーとアベンジャーズ/エンドゲームの繋ぎ役なので、前作のインフィニティ・ウォーを観ていないと、その背景が分かり辛い。
 また、終わり方も、単独作品として観ると中途半端なので、エンドゲームを観ざるを得ない。
 MCUの商売根性は凄いと思うが、こちらがいつまでそれに付き合えるか、分からない。
 1作で完結していて、他のMCU作品を観る必要は無い、というのは製作しないのか。それだとマーベルスタジオのビジネスモデルに反するから、出来ないのか。

 キャプテン・マーベルは、初めて観るキャラではあるが、クセが無いので、すんなりと受け入れられるものになっている。
 物凄い能力を持っている割には面白味に欠ける、という側面も無くも無いが。
 これから面白味のあるキャラになっていく事を期待したい。

 宇宙人と思われていたヴァースが、実は地球人だった、という事実以外は、これといった捻りの無い、単純なストーリーなので、付いていくのは楽。
 胸糞が悪くなるシーンや、後味の悪さも一切無い。
 強烈な印象を残すものでもないけど。
 あくまでもシリーズを構成する1作に過ぎず、更に娯楽作品に徹しているMCUならではの展開。

 CG満載の特撮は、今となっては真新しさは感じないが、映像的に破綻していない。
 CGもここまで進化したか、と改めて感じる。
 少し前だったら「こんな凄い映像が本当にあっていいのか!?」と感動していただろうに、この程度を当たり前と受け止められてしまうのは、ある意味悲しい。

 本作のオープニングは、つい先日亡くなったマーベルの編集者スタン・リーに功績を讃えるものになっていた。
 スタン・リーが今後カメオ出演しなくなるというのは、ある意味寂しい。

 シリーズ全体を見渡してみると、特殊能力を持ったヒーローが地球に集中し過ぎている感があるが、これは止むを得ないのか。
 地球とは全く関わりを持っていないヒーローを登場させる予定は無いのかね、と思ってしまう。

 キャプテン・マーベルという名前のキャラは、元々別のコミック会社が登場させたが、スーパーマンと似通っていた為、スーパーマンの版権を持っていたDCコミックスに訴えられ、「シャザム」に変更せざるを得なくなる。
 そうこうしている内に、「マーベル」のラベルでコミックを展開していたマーベルコミックスが全く別の「キャプテン・マーベル」を世に送り出し、現在に至っている。
 元祖キャプテン・マーベルの「シャザム」は、係争相手だったDCコミックスに版権が移る。スーパーマンやワンダーウーマン程ではないにせよ、それなりに成功し、最近になってDCシネマユニバースの1作として実写化。
 アメリカンコミックの流れは、よく分からない部分が多い。


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Last updated  2019.04.26 21:24:31
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2019.02.22
カテゴリ:洋画

「DCコミックス」のアメリカン・コミック『アクアマン』の実写映画。
「DCエクステンデッド・ユニバース」シリーズ第6弾でもあり、時系列的には「ジャスティス・リーグ(第5弾)」の後の出来事、となっている。
 本作では、他の「ジャスティス・リーグ」のメンバーは登場しない。
 アクアマンことアーサー・カリーを演じるのは、「ジャスティス・リーグ」に引き続きジェイソン・モモア。
 原題は「AQUAMAN」。


粗筋

 1985年。
 アメリカ東岸に位置する灯台の管理者トム・カリーは、岩場の海岸に打ち上げられた女性を発見し、救出する。
 彼女は、海底国アトランティスから逃亡した女王アトランナ(ニコール・キッドマン)だった。
 アトランナはトムの妻となり、二人の間に子供が生まれる。その子はアーサーと名付けられた。
 数年後、アトランティスの追手がアトランナの下にやって来て、連れ戻そうとする。アトランナは追手を倒すものの、自分の居所を相手が掴んでいる以上、また新たな追手がやって来て、トムやアーサーを危険にさらす、と判断し、自らアトランティスへ帰る。
 残されたアーサーは、トムに育てられる事になる。それと同時に、アトランティス王族の側近であるバルコ(ウィレム・デフォー)が秘密裏にやって来てはアーサーに武術を指南した。

 現代。
 アーサーの異父弟にしてアトランティスの王オーム(パトリック・ウィルソン)は、隣国ゼベルの王ネレウス(ドルフ・ラングレン)と同盟を結ぶ。
 オームは、海を荒らす地上人に戦争を仕掛けようと考えていた。海底全ての軍事力を動員出来る様、海底の七つの国を支配する「海の覇王(オーシャンマスター)」になる、という野望を抱く。

 一方地上では、アーサーはアクアマンとしてデイビット・ケイン(ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世)率いる海賊を撃退していた。故郷に戻り、トムと盃を交わす。その帰り、突如発生した大津波に二人は襲われる。アーサーは無事だったものの、トムは溺れて、意識を失う。トムは、ネレウスの娘である王女メラ(アンバー・ハード)の超能力によって一命を取り留める。
 メラは、オームの暴走を止めるにはアトランティス王の血を引くアーサーが王になるしかないと訴る為、秘密裏に海底からやって来たのだった。
 アーサーは、アトランティスに戻った母親が裏切り者として処刑された、という話をバルコから聞いていて、アトランティスと直接関わりは持ちたくない、と思っていた。が、父親の命を救ってくれたメラの懇願を無視する訳にもいかない。渋々メラに連れられて、アトランティスへ向かう。二人をを迎えたのは、バルコだった。
 バルコは、アーサーが王になる為には、初代アトランティス王アトランが持っていた伝説の矛トライデントが必要だと説明する。その直後、アーサーはアトランティス兵に捕まり、オームの下へと連れられる。
 アーサーは、オームに対し、地上への侵攻を中止するよう決闘を申し込む。伝統に則り、アーサーとオームの決闘が始まるが、アーサーは劣勢に陥ってしまう。そこにメラが助けに入り、二人は死を偽装して地上へ逃亡する。
 アーサーとメラは、かつてアトランティスが地上にあった頃に栄えていた王国の跡地であるサハラ砂漠に行き、トライデントの在り処のヒントがイタリアにある事を突き止める。イタリアに到着した二人は、次の目的地が七つの海底国の一つ・海溝の王国にあると知るが、そこにオームから武器を渡され、ブラックマンタとなったケインが強襲する。何とかケインを撃退した二人は、海溝の王国を目指す。

 異母兄のアーサーを決闘で負かし、名実ともにアトランティスの王となったと宣言していたオームは、脅迫により魚人の国を傘下に収めた。次の目標を甲殻類の国に定める。甲殻類の国を屈服させれば、海底の国々全てを支配出来る事になっていた。

 海溝の国に辿り着いたアーサーとメラは、地球の核に近い「隠された海」を発見する。そこで二人は、海溝の化け物の生贄になって死んだ、と伝えられていたアトランナと再会する。アトランナの導きで、アーサーはトライデントを守る伝説の怪物カラゼンと対峙。
 アーサーは、カラゼンに殺されそうになるが、その時点でアーサーはカラゼンと意思疎通出来る事が明らかになる。海の生物と意思疎通出来る能力は、子供の頃から持っていたので、アーサーにとってはごく当たり前の事だった。が、この能力は海底に住むアトランティス人でも持っていない特殊能力で、これまではアトランティスの初代の王アトランしか持っていない、と思われていた。
 カラゼンと意思疎通が出来たアーサーは、トライデントを手に入れる事に成功した。

 オーム率いる同盟軍と、甲殻類軍が激突する。勝利を確信するオームの前に、トライデントを手にし、カラゼンを従えたアーサーが現れ、海の生物と共に両軍を圧倒する。
 アーサーとオームは再び決闘する事となり、今度はアーサーが勝利する。
 アーサーは、海底国の王らに、真のアトランティス王として認められる。これにより、地上と海底との間で戦争が勃発する事態は回避された。



感想

 DCコミックスに於いては、スーパーマン、バットマン、ワンダーウーマン等にも引けを取らない古参のキャラの一人だが(1941年に初登場)、これまで映像化されてこなかったアクアマン。
 水中が舞台になるので、映像化すると制作費が嵩むからだったと思われる。
 その問題も、CGの進化により漸く克服されたらしい。
 アメリカコミックスの実写版らしい、スケールの大きいスペクタクル作に仕上がっている。
 スペクタクルになってしまったからか、クライマックスになかなか到達しない。退屈こそしないが、間延びしている印象を受けた。
 当然ながら、上映時間も結構長め。アメリカコミックスは本来子供向けで、実写版も子供による観賞を想定している筈だが、本作では子供が観ている途中で眠ってしまいそう。

 アクアマンの生い立ちや背景が分かる様になっていて、また他のジャスティス・リーグのメンバーらが登場せず、他のシリーズ作と無理矢理繋げようともしていないので、単独で観ても充分以上に楽しめる。
 無論、DCコミックスについて、ある程度の事前知識を持っていないと、何が何だか分からなくなるだろうが。

 本作では、海の底には地上の人間が想像する以上の文明がある、という事になっているが……。
 海底の調査は、火星や月面の調査程にも進んでいないのが事実だとしても、受け入れ難い。
 壮大なファンタジーとして受け入れなければならない。

 アクアマンの身体能力が、普通の人間をはるかに上回る事が、本作で判明。
 流石にスーパーマン程不死身ではない様だが、ロケットランチャーから放たれたロケットの直撃を受けても「痛い」程度で済ませられるとは知らなかった。
 海底人が皆ここまで強靭なのかは不明。

 本作では、ニコール・キッドマン、ウィレム・デフォー、ドルフ・ランドグレン等、結構著名な俳優がサポート役として登場。
 主演のジェイソン・モモアが、まだあまり認知度が高くないので、それを補う為らしい。
 本作により、ジェイソン・モモアの認知度はかなり上がりそう。

 ニコール・キッドマンがこの手の娯楽映画に出るとは正直思わなかった。
 重大な役割を演じ、アクションシーンもそれなりにこなしている様に映った。
 50代とは思えない。

 ウィレム・デフォーは、トビー・マグワイヤ主演のスパイダーマンシリーズでグリーンゴブリンを怪演していたので、DCコミックスの映画に出演した事に関しては驚きは少なかったが、それでもここまで大人しい役を演じるのは観た事が無い気が。
 こういう役も演じられたのか、と失礼ながら思った。

 ドルフ・ランドグレンの役割も、これまで演じていた役柄からすると、大人しい。
 アクションシーンには一切絡まない。
 何故こんな役を引き受けたのか、と思う。
 というか、制作者らは何故ドルフ・ランドグレンを起用しよう、と考えたのか。

 アクアマンは、コミックスでは上半身がオレンジで、下半身がグリーンの特徴的なコスチュームになっていた。
「ジャスティス・リーグ」ではそうでなかったので、実写版はコミックスにそこまで忠実にしない事にしたのか、と思っていたが……。
 本作のラストで、アクアマンがコミックスと同様のコスチューム姿で登場。
 こういう流れになっていたのか、と妙に納得。

 アクアマンに関しては、本作でやり尽くした感があるので、今後単独での続編映画が制作されるのかは分からない。
 伏線は残しているが、それだけでまた映画を制作するには不充分な気がする。









Last updated  2019.02.22 23:34:36
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2018.12.07
カテゴリ:洋画

 マーベルコミックの人気シリーズ・スパイダーマンから派生したダークヒーロー・ヴェノムの実写版。
 制作はソニーが手掛けていて、マーベルスタジオは関わっていない。したがって、MCUには含まれないとされる。
 アメリカではPG-13、日本ではPG12指定となっている。
 原題は「Venom」。


粗筋

 ライフ財団の宇宙探査機が、地球に帰還。地球外生命体を持ち帰る予定だった。
 しかし、宇宙探査機は大気圏に突入する段階で制御を失い、不時着し、大破した。
 探査機が持ち帰った地球外生命体の一つが、現地の人間に乗り移り、逃走した。

 サンフランシスコのニュースサイトに所属するジャーナリストのエディ・ブロック(トム・ハーディ)は、ライフ財団の創業者カールトン・ドレイク(リズ・アーメッド)にインタビューする機会を得る。
 ブロックの上司は、インタビューはあくまでもライフ財団の宇宙開発事業に関する事に留めろ、と釘を刺す。
 ライフ財団は、医薬品会社として発足しながら、現在は宇宙開発事業にまで手を広げる巨大企業だったが、その裏でホームレスを使って人体実験を繰り広げている、という黒い噂があった。
 ただ、ライフ財団はニュースサイトのスポンサーでもあった。上司としては、血気盛んなブロックに下手な行動に出られたら困る、という考えがあった。
 正義感に溢れているのと同時に自己顕示欲も強いブロックは、上司の命令に上辺では従いつつも、その裏でライフ財団の人体実験について追及し続けた。
 ライフ財団の弁護団の一人で、恋人でもあるアン・ウェイング(ミシェル・ウィリアムズ)のパソコンから人体実験に関する情報を得たブロックは、ドレイクのインタビューの際に、それについて問い詰めるが、当たり前の様に否定される。
 ブロックは、上司直々の命令を無視したとして、ニュースサイトから解雇される。また、アンも、情報を恋人に漏洩した、という理由で弁護団から解任される。アンは、ブロックに裏切られたと怒り、別れを切り出す。
 ブロックは仕事も恋人も失った。
 それから暫く経って、ブロックはライフ財団の研究者ドーラ・スカース博士の力を借り、人体実験を行っているという研究施設に侵入。被験者の一人が知り合いのホームレスだと知り、彼女を助け出そうとしたものの、その身体に蝕んでいた地球外生命体シンビオートに寄生されてしまう。ブロックは、何とか研究施設を脱出した。

 ドレイクは、シンビオートが持ち出されたと知って、激怒。誰がどうやって侵入したのか突き止めろ、と手下に命じる。
 そして、残ったシンビオートで人体実験を続ける。
 人体実験とは、持ち帰られたシンビオートを人間に寄生させる、というものだった。
 シンビオートは、単体では地球の環境に馴染めず、死んでしまう。生き延びるには、地球にある生命体に寄生しなければならなかった。
 ドレイクは、ホームレスにシンビオートを寄生させようと試みていたが、相性があるらしく、拒絶反応によりホームレスもシンビオートも死亡する、という事例が続いていた。
 地球は近々人類が住める環境ではなくなる、と信じるドレイクとしては、人間とシンビオートを合体させ、地球でも宇宙でも生存可能な方法を確立する事が急務となっていたのである。 

 ブロックは、シンビオートに寄生された事を知らないまま、自宅に戻る。
 それから間も無くシンビオートの声が頭の中で聞こえるようになる。シンビオートは凶暴で、生きた物しか食料として受け付けない、という性質を持っていた。
 ブロックは、徐々にヴェノムというシンビオートに、身体を蝕まれていく。

 ドレイクは、スカース博士が自分を裏切ったと知り、彼女が侵入させたのがブロックだった、というのを吐かせた上で、始末する。
 ドレイクは、ブロックを捕まえろと手下に命じる。
 手下らは、直ちにブロックの住まいへ向かう。
 そこでブロックを捕えようとするが、その時点でヴェノムが覚醒し、手下を難無く始末した。
 ドレイクは、その模様を捉えた映像を目の当たりにして、ブロックがシンビオートと完全に同化出来た事を知り、何が何でもブロックを捕えてここに連れて来い、と命じる。
 それから間も無く、不時着した宇宙船から逃走したシンビオートに寄生された人間が、ドレイクの下を訪れる。ライオットというそのシンビオートは、ドレイクに乗り移り、寄生。
 ライオットは、ライフ財団の宇宙船で宇宙へ一旦帰った後、他のシンビオートらを引き連れて地球に戻り、人間を含む全ての生物を食い尽くす算段だった。

 ブロック/ヴェノムは、地球を滅亡から救う為、ライオットを阻止する必要に迫られた。
 ブロックは、ヴェノムが同じ種であるライオットと何故行動を共にしないのか不思議に思う。ヴェノムは、寄生したブロックに感化され、ライオットと行動を共にしたくない、と考えていた。元々シンビオートの中でも仲間外れ状態だったので、地球で唯一無二の存在になった方が都合が良い、とも考えたのだ。
 ライオットは最強のシンビオートで、単なる人間相手なら無敵である筈のヴェノムですら苦戦する相手だった。ヴェノムを倒した後、ドレイクと共に打ち上げ間近の宇宙船に乗り込む。
 倒された思われていたヴェノムは復活を遂げ、打ち上げられた宇宙船を破壊。爆発により、ライオット/ドレイクは死亡した。
 ドレイクの死により、ライフ財団の悪事が公になり、ブロックは再びジャーナリストとして活動出来る様になる。
 ヴェノムは、ドレイクに寄生した状態で生き続ける事になった。



感想

 漫画で、後に実写化された寄生獣のアメコミ版、といった感じ。
 コミックの原作は、こちらの方が先なのかも知れないが。
 そんな事もあり、初めて観る映画で、実質的に初めて観るキャラなのに、既視感がある。
 寄生獣の漫画原作は日本の漫画とあってスプラッター的な描写が盛り沢山だったが、こちらは規制が多いアメコミが原作とあって(コミックはあくまでも子供向けなので、残虐な描写は認めるべきでない、という発想)、その実写版でもスプラッター的描写はほぼ排除されている。
 そんな事もあり、「邪悪なダークヒーロー作」として売り出していた割には大人しい作品になってしまっていて、物足りない。
 アメリカでは、人間を食らうヒーロー、というのは新鮮に映るのかも知れないが。

 寄生獣とシンビオートの生態や特徴は、ほぼ一致している(単体では短期間しか生存出来ず、他の生物に寄生しなければならない、自由自在に変形可能で、物凄い破壊力を持つ等々)。
 大きな違いといえば、主に二つある:

・寄生獣にはこれといった弱点は無い一方で、シンビオートは特定の周波数の音に弱い
・寄生獣は基本的に人間の頭部を挿げ替えた上で乗っ取るので、寄生されると人間ではなくなってしまい(寄生獣の主人公はそれを免れたレアなケース)、人間が寄生前の状態に戻る事は無い。一方、シンビオートは脳を本当に必要な時以外は乗っ取らない。身体のみ寄生したシンビオートは、人間は別人格となり、シンビオートは必要に応じて人間から再分離して、その場合人間は寄生前の状態に戻る事も可能(相性が悪かった場合は、再分離を図るとシンビオートも人間も死んでしまうらしいが)。

 寄生のルールは本作では定まっていないらしく、ドレイクの研究施設で寄生された人間や、ライオットに寄生された人間は、シンビオートが体内から抜けた瞬間に死ぬ一方で、ヴェノムに寄生されたブロックは、ヴェノムが体内から出た後は何気無く生き続ける。また、ヴェノムはブロックの恋人に一時寄生し、ブロックと再会すると恋人から離脱脱してブロックに再び寄生。ヴェノムが体内から抜けた恋人は、元の普通の人間に戻っている。この違いについては、深く言及されない。

 寄生獣は主人公が学生だったので、青春物語的な要素もあったが、本作では主人公は成人。恋愛物語的な要素はあるものの限定的で、殆どアクション映画。
 残虐な描写を盛り込んで成人向けになっている寄生獣が未成年を主人公とし、残虐な描写を抑制して未成年向けの本作が成人を主人公としているのは皮肉か。
 一方、言動を観る限りでは、寧ろ寄生獣の主人公の方が大人っぽい。
 登場人物を深く掘り下げる日本の漫画と、あまり掘り下げないアメリカのコミックの差か。

 本作の最大の問題は、主人公のブロックが共感し易いキャラクターではない、という事。
 上司から下手な行動に出るなと釘を刺されていたのに、まさにその下手な行動に出てしまい、クビになり、同時に恋人も失う。
 あまりにも馬鹿過ぎ。
 何の裏も取らず、未確認情報を問題人物に突き付けたくらいで、「はい、そうです。非を全て認めます」となるとでも思っていたのか。
 ジャーナリストは裏を取るのが基本、というのを理解していない。
 作中では、上司がブロックに対し「頭がいい筈なのに馬鹿な事をしたな」と批判する場面があったが、ブロックの「頭のいい」部分は、結局最後まで観られなかった。
 こんなのでよく人気ジャーナリストになれたな、と呆れてしまう。
 ここまで未熟な者をそもそもジャーナリストとして採用したニュースサイトも分からないし、その未熟な者を単に釘を刺しておけば問題人物をインタビューさせても大丈夫だろう、と考えた上司も分からない。クビにする口実を作りたかった、としか言い様が無い。
 人間の負け犬が、シンビオートの負け犬に寄生される事で、最強のダークヒーローが誕生する、という設定も、負け犬になった理由が身から出た錆では、魅力も半減する。

 敵役であるドレイクも、冷酷ではあるものの、一ビジネスマンに過ぎず、凄みは無い。
 人体実験に手を染めてまでして地球外生命体について研究していた動機も弱く、若くして世界規模の大企業を一代で築き上げた、という設定にしては小物感が漂う。
 ドレイクは、ライオットに寄生され、行動を共にする事になるが、単に破壊力が増しただけに過ぎない。
 双方とも、ラストで呆気無く爆死。
 世界を牛耳るビジネスのリーダーの死としても、圧倒的な戦闘力を持っている筈の地球外生命体の死としても、物足りない。
 ドレイクは、ライオットに寄生された状態で宇宙へ向かう、という計画を立てていた様だが、ライオットからすれば、宇宙に戻ればドレイクは最早用済みになっていた筈。ドレイクはその点を理解していたのか。

 本作のラストで、マーベルコミックス全体の象徴だったスタン・リー氏が、お決まりのチョイ役で登場。
 スタン・リー氏は最近死去したので、こうした遊びは今後のマーベル関連作品では観られなくなる。

 最後のシーンは、続編を窺わせるものになっているが、続編が制作されるかは不明。
 制作したところで、良作が望めるか。

 エンドクレジット後に、何故かスパイダーマンのアニメが。
 何の為に挿入されたのか、よく分からない。


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Last updated  2018.12.07 22:55:30
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2018.10.26
カテゴリ:洋画

 007シリーズ等、昔のスパイ映画をシリアスにパロディー化(?)したアクション映画「キングスマン」の続編。
 タロン・エガートンが、主人公エグジーを引き続き演じる。
 また、前作で死んだ筈のコリン・ファース演じるハリーも再登場する。
 原題は「Kingsman: The Golden Circle」。


粗筋

 ヴァレンタインによる世界征服の陰謀を諜報機関キングスマンが打ち砕いてから一年。
 正式にキングスマンの一員となったエグジー(タロン・エガートン)は、かつてのキングスマン候補生チャーリーに襲われるが、辛うじて撃退した。
 チャーリーが犯罪組織ゴールデン・サークルに属している事実が明らかになる。
 ゴールデン・サークルの女ボス・ポピー(ジュリアン・ムーア)は、自身にとって邪魔な存在となったキングスマンの一掃を画策。キングスマンに関する情報を盗み出す事に成功し、その情報を元にキングスマンに対し総攻撃を仕掛ける。
 ゴールデン・サークルによるミサイル攻撃で、ロキシーを含むキングスマンのメンバーがほぼ全員殺されてしまった。
 エグシーは、恋人と食事をしていた為、難を逃れた。
 キングスマンが壊滅した事を知ったエグジーは、攻撃対象から外れていた為生き延びたマーリン(マーク・ストロング)と共に緊急指令「最後の審判の日」を実行する。が、指令の入っている筈の金庫には「ステイツマン」という銘柄のウィスキーしか入っていなかった。
 しかし、「ステイツマン」のラベル裏の「アメリカ・ケンタッキー産」のKがキングスマンのシンボルマークで印字されていた事から、二人は僅かな望みを持ってアメリカ・ケンタッキー州に向かう。
 エグジーとマーリンはステイツマンの醸造所を探索すると、そこが諜報組織ステイツマンの本部である事を知る。また、ヴァレンタインによって射殺されたと思われていたハリー(コリン・ファース)が、ステイツマンに救出され、何とか命を取り留めていた事も知った。
 エグジーは、ハリーとの再会を喜ぶ。が、ハリーは致命傷に近かった傷の治療の後遺症で、記憶を喪失していた。ハリーは自分がキングスマンだった事を全く覚えておらず、エグジーについても何も覚えていなかった。
 エグジーとマーリンは、ステイツマンのリーダー・シャンパン(ジェフ・ブリッジス)と会う。ステイツマンがキングスマンと同じルーツを持つ諜報機関だと聞かされた。二人は、ステイツマンの協力を取り付ける。
 エグジーはチャーリーの恋人クララと接触する為、ステイツマンのウィスキー(ペドロ・パスカル)と共に彼女がいる場所へと向かう。エグジーはクララと接触し、クララの体内に発信器を埋め込む事に成功した。
 ハリーは、エグジーが講じたショック療法で、記憶を回復し、現役に復帰する。
 ポピーは、テレビ放送を通してアメリカ大統領に麻薬の合法化を要求。拒否すれば麻薬に仕込んでいた毒物で数百万人が死ぬ、と脅迫する。放送を聞いた麻薬常用者らはパニックに陥る。一方、大統領は、麻薬常用者らが死んでくれるなら結構だ、麻薬対策の為に莫大な予算を組む必要も無くなる、と考え、ポピーの要求には応じない、と決める。無論、公になったら麻薬中毒者らが暴動を起こすので、要求を受け入れる振りをした。
 大統領令により、毒物の症状が見受けられた数百万の人々は次々「治療の為の隔離」としてある施設に収容され、死を待つだけとなった。
 エグジーはハリー、ウィスキーと共に、麻薬の解毒剤があるイタリアのゴールデン・サークル研究施設に向かう。
 研究施設に乗り込んだエグジーとウィスキーは解毒剤を入手し、集合地点でハリーと合流する。が、ウィスキーの不注意で解毒剤を床に落としてしまう。
 ハリーは、ウィスキーを内通者だと言い張り、阻止しようとするエグジーを振り切って発砲し、ウィスキーに致命傷を与える。
 エグジーは、ウィスキーをステイツマン本部に運び治療を依頼。ハリーは記憶を回復した様だが、最早正常でない、と疑うようになる。
 エグジーは、ハリーとマーリンと共にカンボジア奥地にあるポピーの本拠地に向かう。
 三人は、ポピーのアジト「ポピー・ランド」に乗り込もうとするが、エグジーが地雷を踏んでしまう。マーリンは、エグジーを救う為に身代わりとなり、爆死する。
 残った二人は「ポピー・ランド」に乗り込み、解毒剤のアクセス・コードを奪おうとする。ハリーはポピーのロボット犬に襲われ殺されそうになるが、彼女に拉致されていた歌手のエルトン・ジョンに助けられ、彼と協力してロボット犬を破壊する。
 一方、エグジーはチャーリーと一騎打ちとなり、ロキシーらの仇を討つ。
 二人はポピーに毒物を打ち込み、アクセス・コードを聞き出す。
 ポピーは、毒が身体に回って死亡する。
 エグジーとハリーはアクセス・コードを使って解毒剤を人々に配布しようとするが、そこに治療を終えたウィスキーが現れる。
 加勢してくれるのかと思いきや、配布を阻止しようとする。ウィスキーは恋人が麻薬中毒者に殺された過去を語り、麻薬中毒者らを見殺しにしようとする。が、エグジーとハリーに阻まれて失敗し、二人に殺される。
 事件の解決後、キングスマンはステイツマンの資金援助を受けて再建を目指す事になる。
 麻薬中毒者らを見殺しにしようと画策した大統領は弾劾される。



感想

 第1作は、ハリーがメインだった段階ではテンポが良かったものの、彼が退場し、メインがエグジーに交代した時点でテンポが落ちてしまった。
 本作は、エグジーが最初からメイン。
 最初からテンポが悪い。
 ハリーが奇跡の復活を果たしたので、メインを奪回し、またテンポが良くなるのかと思いきや、ハリーは後遺症で万全でなく、メインはエグジーのまま。
 終始テンポの悪いものとなってしまった。
 エグジーが本作でハリー並のスマートさを見せていれば、充分以上にハリーの代わりを務められただろうが、前作から殆ど成長していない、青臭い餓鬼に留まっている。
 何故エグジーをメインにする事にこだわったのか。

 前作では、キングスマンのリーダーが実は敵に通じていた、という展開になった。
 それだとキングスマンの存在意義が最早無くなってしまうのでは、と思ったが、キングスマンは何とか存続出来たらしい。
 が、本作の前半で、敵による総攻撃を受け、壊滅状態に。前作でエグジーを上回る成績により先にキングスマンのメンバーになっていたロクシーまで死亡。
 ロクシーは、成績優秀とされながらも前作では大して活躍出来ず、本作でも早々と退場。何の為のキャラだったのか、さっぱり分からない。
 情報を盗まれ、ミサイル攻撃を仕掛けられたとはいえ、数百年の歴史があるとされるキングスマンが、一犯罪組織によって壊滅させられる程の脆弱な組織だったとは情けない。これまでよく存続出来たな、と思ってしまう。

 イギリスに本部を置くキングスマンと同じルーツを持ち、アメリカに本部を置くステイツマンが登場する。
 キングスマンに劣らず優秀な組織、という事になっているが……。
 前作の敵ヴァレンタインはアメリカ人で、アメリカ国内で活動していた。
 キングスマンはイギリスの組織でありながら、ヴァレンタインの陰謀に気付き、アメリカへ飛び、ヴァレンタインと対峙。
 そこでは、ステイツマンの姿も影も無かった。
 ステイツマンはヴァレンタインの陰謀について全く察知しておらず、漸く察知した頃(瀕死のハリーを救出)には、キングスマンが全て解決していた事になる。
 ハリーを救出したものの、ハリーが何者か分からず、キングスマンと接触しなかった、というのも奇妙。
 続編を無理矢理制作してしまった矛盾が出ている。

 キングスマンとステイツマンは、世界中の人々を救う為、ポピーの陰謀を打ち砕く。
 ただ、その「世界中の人々」は、麻薬中毒者。
 その中にはエグジーの婚約者や友人も含まれていたとはいえ、世間的に見れば犯罪者を救う為に動くのは異様に映り、共感出来ない。
 寧ろ麻薬中毒者らを一掃しようとした大統領や、ウィスキーの方に共感するし、同情する。
 何故麻薬撲滅を掲げる者を悪者扱いし、麻薬常用を後押しする様な展開にしてしまったのか。

 この様な展開だから、本作のヒロインであるエグジーの婚約者のティルダ王女には全く魅力を感じられず(毒物の症状が現れた為、麻薬常用者であった事が判明)、あと一歩のところで命を取り留め、エグジーと無事結婚できました、という結末にも、特に喜べない。何故王女たるものが麻薬常用者なのか。麻薬常用者のくせに王女という地位にあるだけで上流振っているのはおかしい。
 寧ろ本シリーズで何も活躍の場も与えられないまま退場させられたロクシーを哀れに思う。

 ロクシー以外にも、前作で結構活躍したマーリンが本作で死亡。
 エグジーなんかより頼もしいキャラだったのに、勿体無さしか感じない。

 ステイツマンの対応も、奇妙に映る。
 ステイツマン上層部の指示に背いたとはいえ、一員だったウィスキーがキングスマンのエグジーらに殺されても報復せず、それどころかキングスマン再建に手を貸す。
 エグジーは、自分の恋人を救いたいが為に世界中の麻薬常用者らを救わざるを得なかったが、ステイツマンは、麻薬常用者らを救う義務は無かった。
 そもそも、自国の大統領が「麻薬常用者らを見殺しにしよう」と決めた以上、その方針に従わなければ筈。大統領からすれば、ステイツマン上層部こそ国家の裏切り者で、ステイツマンの裏切り者とされたウィスキーこそ大統領の意向に沿って動いていた事になってしまう。
 大統領の意向に背くステイツマンに、存在意義はあるのか。

 また、よく分からないのが、歌手のエルトン・ジョンが本人役で登場している事。
 暴言を吐き捲る上、エグジーやハリーに劣らぬ破壊力を披露。
 何故こんな映画に、こんな役回りで出演する事を了承したのか。

 本作では、ペドロ・パスカルが組織を裏切る諜報員ウィスキーを演じる。
 奇しくも、本作より後に観たイコライザー2でも、彼は組織を裏切る諜報員を演じていた。
 一度ある映画に出演して成功すると、似た様な役に起用されてしまうらしい。

 前作と同様、気兼ねせず楽しめる映画にはなっているが、前作程のハチャメチャ振りは無く、パワーダウンの感は否めない。
 続編の製作が予定されているそうだが、このパワーダウン振りをどう挽回するつもりなのか。









Last updated  2018.12.07 12:15:28
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2018.10.19
カテゴリ:洋画

 テレビシリーズを原作として製作されたイコライザーの続編。
 主人公はデンゼル・ワシントンが引き続き演じる。
 原題は「The Equalizer 2」。


粗筋

 CIAの凄腕工作員だったロバート・マッコール(デンゼル・ワシントン)は、ある都会のアパートで、個人タクシーの運転手として生計を立てていた。時折助けを求めてくる人々の為に、自身の戦闘能力を活かしてそうした問題を解決していた。
 元上官で、マッコールを陰から支援しているスーザン・プラマー(メリッサ・レオ)は、マッコールと会った後、ベルギーへと急行する。
 ベルギーのある民家では、CIAの協力者が妻を殺害した後自殺する、という事件が発生していた。自殺にしては不審な点があったので、捜査を開始する事に。
 しかし、スーザンは滞在中のホテルで何者かに襲われ、殺されてしまう。
 この報を受けて、マッコールはベルギーでの事件を捜査する事に。現地には飛べなかったが、捜査記録や、監視カメラの映像から、ベルギーのCIA協力者は妻と共に殺されたのであり、自殺ではない、と結論する。スーザンを襲った暴漢も、彼女の動きを確認した上で襲っているのが判明。スーザンがベルギーで捜査されると都合が悪い者によって、殺害された、とも結論する。つまり、ベルギーのCIA協力者を殺害した者と、スーザンを殺した者は、無関係ではない、と。
 マッコールは、自分が死んだと見せ掛ける事で隠居していたが、支援者のスーザンが死んだとなっては、最早隠居出来ないと判断し、CIA時代の元同僚デイブ・ヨーク(ペドロ・パスカル)の前に姿を現す。
 これまでマッコールは死んだと信じて疑っていなかったヨークは、マッコールが生きていたと知って動揺。しかし、ベルギーやスーザンの殺害事件捜査に協力する事を約束する。
 それから間も無く、マッコールはタクシー内で、乗客を装う殺し屋に襲撃されるが、難無く始末する。殺し屋の携帯電話の通話記録を解析した所、ある事実に行き着く。
 マッコールに殺し屋を差し向けたのも、スーザンを殺害したチンピラを雇ったのも、そしてベルギーのCIA協力者を殺したのも、ヨークだったのだ。
 この事について、マッコールはヨークの自宅を訪れ、説明を求める。
 ヨークは、渋々ながらも認め、自身の行動を正当化する。
 マッコールが「死んだ」後、彼とヨークが属していた工作員グループは解散され、ヨークらはお役御免となった。
 CIAによって戦闘員となるべく養成されたヨークらは、困窮する。生活の糧が無くなったからだ。そこで、雇われの暗殺稼業を営む事に。
 ベルギーのCIA協力者は、この事実に気付いた為、ヨークらに殺された。スーザンも、殺害現場に飛んでその事実を掴みつつあった為、殺されたのだった。
 マッコールは、ヨークらの行動は許されるべきではない、と論じるが、ヨークは、自分らはお前と違って「引退後」の支援は受けられなかったので止むを得なかった、と反論する。
 マッコールは、ヨークと、殺し屋集団に成り下がった元同僚らに対し、友人であるスーザンを殺した以上、お前らを全員殺すと宣言した上で、とりあえずその場を去る。
 ヨークらは、マッコールは勿論、自分らの稼業について知っている者全てを始末する為、動き始める。
 マッコールは、それを阻止する為、先回りしてスーザンの夫を匿い、自身の生まれ故郷へと向かう。ハリケーンが接近していて、住民が全て退避していた。ヨークらを迎え撃つには格好の場所となっていた。
 ヨークらは、完全武装の状態でマッコールの生まれ故郷に到着。マッコールを捜索して、殺害しようとするが、ハリケーンの中、一人、また一人と、地元の利を活かしたマッコールに始末されていく。
 残ったヨークは、たった一人でマッコールと対峙。しかし百戦錬磨のマッコールには手も足も出ず、殺される。



感想

 前作で示されたマッコールの無敵振りは、本作でも発揮される。
 というか、より発揮される。
 マッコールは、本作で何人もの敵と対峙するが、掠り傷負う事無く相手を倒す。
 ラストのヨークとの格闘ではナイフで切り付けられ、負傷するが、戦闘力は全く落ちず、ヨークを難無く始末している。
 ヨークらは4人掛かりで手ぶらの一般人を始末するに留まる一方で、マッコールは武装したグループの中に一人で飛び込んでいるので、練度がそもそも違うのだろうが、それにしても圧倒的な差は何なのか、と思ってしまう。
 単に戦闘員として無敵でなく、関わる問題全てを手際良く解決している。
 ギャングの世界に足を踏み入れそうだったアーティスト志望の若者を更生させているし、第二次世界大戦中に姉と生き別れになってしまい、少女時代の姉を描いた肖像画を取り戻す事を生き甲斐としていた老人に関しては、とっくに死んでいたと思われていた姉本人を探し出し、再会させている。
 問題解決能力がここまで高いのなら、タクシー運転手なんかに留まっていないで、もう少しまともな仕事に就くか、事業を起こせばいいのに、と思ってしまう。
 死んだ事になっているので、日常生活ではあまり目立ちたくないのかも知れないが。

 とにかくアクションシーンが観たい、ストーリー等どうでもよろしい、という者にからすれば、充分以上に楽しめる映画に仕上がっている。
 ただ、ストーリーを細かく観てしまうと、問題点が当然ながら多い。
 最大の問題点は、敵が外ではなく、内にいた、という最近のスパイ物では在り来たりの展開になってしまっている点。
 CIAは、マッコールやヨーク等、凄腕の戦闘員を養成しながら、ひょんな事であっさりと解雇。ヨークらの様に、折角の戦闘能力を活かして何かやらかそう、と思うのは当然。マッコールの様に、戦闘力を必要としない職業に再就職して満足する方が珍しい。そのマッコールでさえ、結局戦闘力を活かして、近所トラブルに首を突っ込んでいる。
 こういうストーリーを観てしまうと、CIA等の諜報機関は情報収集に専念して、下手な工作はしない方がいいのでは、と思ってしまう。本作はただのフィクションだが、現実の世界でも911テロを起こしたビンラディン、アメリカと戦争したイラクのフセイン大統領等、当初はアメリカの支援を受けていた者が、世界情勢の変化によりアメリカに見捨てられた結果、元飼い主に噛み付いて、世界を混乱に陥らせている。
 外の敵より、身内から生まれた敵の方が、余程も厄介だ、てのをいい加減学んでほしい。

 ストーリー構成は、CIAや元工作員を巡る陰謀と、マッコールが日常生活で触れ合った者らの問題の解決が同時に進行する形になっている。
 日常生活の部分は、陰謀部分と比較すると、ペースが落ちる。これをアクションシーンの合間の息抜きとするか、中だるみと捉えるかは、鑑賞者によって異なるだろう。個人的には、マッコールというキャラの「静」の部分と「動」の部分が観られ、演じているデンゼル・ワシントンの俳優としての優秀さ観られて、良かったと思っているが。

 前作もそうだったが、本シリーズでは人をガンガン殺し、ガンガン殺されていくが、警察は全くといっていい程関わってこない。
 ベルギーでの偽装殺人では捜査当局が関わっているが、マッコールらが介入するのと同時に「後は全てお任せします」と言わんばかりに姿を消す。
 マッコールの生まれ故郷では、派手な戦闘を繰り広げられ、終わった後には死体がいくつも転がっている状態になったのに、ラストではマッコールがそこで平和な暮らしをしている姿が描かれる。
 事故死で処理出来ない死体や、戦闘で破壊された建物に関して追及された様子は無い。
 マッコールはどうやって言い逃れしたのか。
 そういった部分をリアルに描いてしまうと、最早娯楽作品として成立しない、という面はあるのだろうけど。

 更に続編が制作されるのかは不明だが……。
 仮に制作されたとして、マッコールはどんな職業に就いているのか。

 本作は、日本ではあまり話題になっておらず、公開を知ったのは偶然。
 映画館のあるショッピングセンターに用事があったので、何かやってないかなと映画館のサイトを期待せず確認して、本作の上映を知った。
 何故ここまで公開についてどこも報じていなかったのか。
 観る価値の無いしょうもない邦画についてはしつこく番宣するのに。


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Last updated  2018.10.19 23:26:15
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2018.09.14
カテゴリ:洋画

 トム・クルーズ主演のミッション・インポッシブル・シリーズ第6弾。
 第1弾が1996年公開で、20年も続いているので、今となっては、元々テレビシリーズだった事を知らない者もいると思われる。
 内容的には、前作のローグ・ネーションの続編といえ、前作の敵役ソロモン・レーンが再登場する。
 また、クルーズ以外で全作に出演しているヴィング・レイムスと、準レギュラーになりつつあるサイモン・ペッグも、同じ役で登場。
 第3弾で主人公の妻を演じたミシェル・モナハンも、同じ役で再登場しており、総集編的な1作になっている。
 原題は「Mission: Impossible - Fallout」。


粗筋

 米国諜報局CIAに属する特殊任務部隊IMFの工作員イーサン・ハント(トム・クルーズ)率いるチームは、盗まれた3つのプルトニウムを回収する作戦を実行していた。作戦は問題無く完了するかに見えたが、突然現れた第三者によりプルトニウムを奪われてしまい、失敗に終わる。
 イーサンは、プルトニウムを再び奪い返し、複数の都市の同時核爆発を未然に防ぐという、新たなミッションを受ける。
 この事件の裏側には、以前壊滅に追い込んだ筈のテロ組織シンジケート(ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション)の残党が結成した新テロ組織アポストルが関連していた。
 アポストルに関する情報は少なく、アポストルに属するジョン・ラークという正体不明の人物が、ホワイト・ウィドウという女性とフランスで接触してプルトニウムを購入する予定、という断片的なものしか得られない。
 イーサンは、直ちにフランスへ飛ぼうするが、横槍が入る。
 CIA長官エリカ・スローン(アンジェラ・バセット)が、IMFは作戦を失敗し続けていて信用に置けない、と判断し、監視役として長官の肝いりの工作員オーガスト・ウォーカー(ヘンリー・カヴィル)を同行させないと、IMFを外し、CIAが自らミッションを敢行する、と言い出したのだ。
 イーサンは反発しつつも、身内で争っている時間的余裕は無いと考え、ウォーカーの同行を認める。二人はパリに飛んだ。
 イーサンとウォーカーは、ジョン・ラークと思われる人物と対面するが、予想以上の抵抗に遭う。イギリス情報局の工作員イルサ・ファウスト(レベッカ・ファーガソン)も参入して、3人掛かりでジョン・ラークを倒すが、殺す羽目になってしまう。
 イーサンは、ジョン・ラークに成りすまし、ホワイト・ウィドウ(ヴァネッサ・カービー)と接触。ホワイト・ウィドウは、イーサンが偽物だと即座に気付いたが、受け入れる。
 ホワイト・ウィドウは、イーサンに対し、プルトニウムを手に入れたいなら、自分の信用を勝ち取れ、と条件を出す。
 その条件とは、シンジケートのトップで、イーサンが確保に貢献したソロモン・レーン(ショーン・ハリス)を脱獄させる、というものだった。
 レーンは、イーサンがCIAに引き渡した後、世界各国の諜報機関から尋問を受けていて、厳重警備の中、国から国へと移動していた。ただ、これはイギリス情報局にとっては好ましい状況ではなかった。何故なら、レーンはイギリス情報局との関わりが深く、無暗に証言されるとイギリスの沽券に関わるのだ。そこで、イギリス情報局はレーンを奪還もしくは殺害しようとしていた。イルサが今回参入したのも、レーンを殺せという使命が与えられていたからだった。
 レーンは、近々フランスにやって来るので、その際に脱獄させろ、とイーサンはホワイト・ウィドウに命じられる。
 レーンを脱獄させるのは危険だと理解していたが、プルトニウムを手に入れるには止むを得ないと考え、イーサンらはレーンを脱獄させる。
 一方、ウォーカーは、上司のスローンに報告する。スローンに偽の証拠を渡し、パリで殺す羽目になった人物はジョン・ラークではなく、ただの代理人で、イーサンこそジョン・ラークだ、嘘を吐く。イーサンはIMFやCIAにずっと裏切られてきたので、遂に見切ったのだ、と。
 スローンは、イーサンやIMFに対し、秘かに包囲網を敷き始める。
 イーサンは、レーンを秘密の場所に連れて行き、ホワイト・ウィドウに引き渡す準備を始める。無論、レーンを逃すつもりは無く、プルトニウムが手に入ったらまた確保する予定だった。
 が、そこにイーサンの上司で、IMF長官であるハンリー(アレック・ボールドウィン)が現れる。ハンリーは、CIAがイーサンこそジョン・ラークだと信じて疑っていない、と告げる。イーサンは反発するが、拘束されるしかなかった。
 ウォーカーは、イーサンのミッションを引き継ぐと宣言。レーンと二人切りになる。その時点で、ウォーカーは本性を現す。彼こそジョン・ラークだった。レーンと共謀して、プルトニウムを手に入れる計画だったのだ。
 全て自白した時点で、拘束された筈のイーサンが、ハンリーと共に現れる。
 ハンリーがイーサンを拘束するというのは、ウォーカーに仕掛けた罠だったのだ。ウォーカーの裏切りは、スローンにまで知れ渡る。
 これにより、イーサンとハンリーはスローンを納得させられたので、ミッションを続行するつもりだった。
 が、スローンには別の考えがあった。敵味方が分からなくなってしまったので、全員を拘束する、と。CIA直属の特殊部隊を投入し、イーサンとウォーカーらを拘束しようとする。
 しかし、この特殊部隊はウォーカーの息が掛かっていた。ウォーカーとレーンを解放し、イーサンらを殺そうとする。
 イーサンらは特殊部隊を倒すが、その過程でハンリーが殺されてしまう。
 イーサンは、逃亡したウォーカーを追うが、最後の最後で捕まえられなかった。
 イーサンは、ウォーカーとレーンが爆弾に搭載されたプルトニウムと共に向かった先を割り出す。
 カシミール地方だった。そこはパキスタン・インド・中国の水源となっていて、核爆発を起こせば世界人口の1/3が水不足に陥り、世界が混乱する。
 レーンとウォーカーを阻止する為、イーサンは自身のチームを引き連れてカシミールへ飛ぶ。
 カシミールに到着したイーサンは、「IMF工作員でいる限り守り切れない」という理由で止むを得ず別れた元妻ジュリアと再会。彼女は国際医療団体に属していて、仕事でカシミールに来ていたのだった。
 その時点で、イーサンはレーンの計画の全貌を知る。レーンは、世界を混乱に陥れるだけでなく、イーサン個人への復讐として、カシミールを選んだのだ、と。
 イーサンは、世界を危機から救うのと同時に、元妻も救う事を迫られる。
 イーサン率いるチームは、核爆弾を発見するが、無害化するには起爆装置が必要だと知る。
 その起爆装置は、ウォーカーが持っていた。彼は核爆弾を起動した後、起爆装置を持って現場を離れる。
 イーサンは、起爆装置を奪うべく、ウォーカーを追う。
 イーサンは、ウォーカーを格闘の末に倒し、起爆装置を手に入れる。
 核爆弾は爆発寸前に解除された。
 レーンは再び確保され、ホワイト・ウィドウを通じてイギリスに引き渡される。これにより、イルサはイギリス情報局の信頼を回復した事になった。
 イーサンも、今回の危機を防ぎ、裏切り者を暴いた事で、スローンの信頼を勝ち取った。



感想

 スパイ映画の本家といえる007シリーズが小粒になっていく一方で、本シリーズはますます派手になっていく感じ。
 トム・クルーズ自らが大半をこなすとされるスタントも、前作と超える派手さ。スタントの撮影で足を骨折した事もあったとか。還暦にも手が届く年齢だという事を全く意識させない。
 最初から最後までノンストップのアクションとなっている。

 ただ、映画そのものを細かく観てしまうと、今回の「世界的危機」は、前作できちんと対処していれば、避けられていたのでは、と思ってしまう。
 イーサンは、仲間を大切にし、敵もなるべく殺さず生かして捕える事を信条とする。
 映画で「善」の側に付く者として、当然といえば当然だが、その信条が結局不要な問題を引き起こしていて、善人というより、単なるお人好しとしか映らない。
 前作で、イーサンは、苦労の末に非情なテロリストのレーンを生かして確保し、めでたしめでたしで終わった。
 が、本作では、実際にはめでたしめでたしで終わっておらず、再びレーンを命懸けで追う羽目に。
 前作で容赦無く殺していれば、また命懸けで追う必要は無かったのに。
 その教訓を踏まえ、本作ではレーンを始末する(もしくは始末せざる得ない場面に持ち込まれる)と思いきや、今回も生かして捕え、イギリス情報局に引き渡している。
 何も学んでいない。
 そもそもテロリストを「重要な情報が得られる」という理由でいつまでも生かしておく根拠は無い。
 レーンの様な凶暴なテロリストは、毎日の様に新たに誕生している筈だから、それらを一人一人「何か重要な情報を持っているだろう」と言って生かしていたら、確保していないテロリストを追う一方で、確保したテロリストを厳重に収監する必要に迫られる。漫画じゃあるまいし、一度倒した敵はさっさと始末しておかないと、命がいくらあっても足りないだろうに、と言いたくなる。
 テロリストも凶暴化していくので、過去に捕えた極悪非道のテロリストが、現在の基準では「大人しい」となってしまい、情報源としても、精神分析で活用するにも不充分になってしまっている可能性もある。
 その意味でも、テロリストは容赦無く始末する必要が。
 実際、現実には、2001年に発生した911同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディンに関しては、米政府は殺害作戦を決行。生け捕りは、作戦の計画段階で放棄されたと考えられる。
 現実のテロ戦争で当たり前の様にやっている事を、フィクションの世界で躊躇するのはおかしい。

 イーサンは、お人好しでありながらも優秀だが、他はとにかく無能なキャラが多い。
 単に無能ならまだいいが、イーサンの前に立ちはだかり、本来の敵以上に邪魔な存在になっている。
 最大の無能者が、CIAの女長官スローンだろう。
 彼女はIMFを無能呼ばわりし、CIAが自ら今回のミッションを引き継ぐ、と豪語。IMF長官ハンリーが反発した為、代わりにCIAの敏腕工作員とされるウォーカーを監視役に据えろと要求。
 このウォーカーこそ、正体不明のテロリストのジョン・ラークだった。
 IMFが無能なら、裏切り者を敏腕扱いするお前は何なんだ、と問いただしたくなる。
 イーサンとハンリーがウォーカーが裏切り者である事を暴き、ここで事態は収拾するのかと思いきや、スローンは特殊部隊を突入させ、全員を拘束するよう命じてしまう。
 このスローンお気に入りの特殊部隊も、ウォーカーの息が掛かっていて、裏切る。その結果、ハンリーは殺され、ウォーカーは逃走。
 スローンは自身の周りを裏切り者でしか固められないらしい。
 もしスローンがもう少し自分が思っている程優秀な人物だったら、今回の危機はそもそも発生していなかったと思われる(映画が無くなってしまうが)。
 最後になってしれっと登場し、瀕死のイーサンを救助して、まるで自分が物凄い善人で、全ての失態を挽回したみたいな面をした時は、呆れるしかなかった。何故イーサンはこいつを張り倒さなかったのか。

 本作でイーサンと敵対するのは、レーンと、新キャラのウォーカー。
 ウォーカーは、ジャスティス・リーグでスーパーマンを演じるヘンリー・カビルが演じている。
 カビルはどちらかというと悪人面なので、善の塊の筈のスーパーマンより(カビルが演じているスーパーマンは、どう観ても善の塊ではなく、従来のスーパーマンのイメージからかけ離れている)、この役の方が納得が行く。
 本作であっさりと死んでしまうのは、ちょっと残念。
 また、カビルは背が高く、がっしりした体格で、並んで立つとトム・クルーズがいかに小柄なのかが分かってしまう。
 ウォーカーこそアポストルに属するテロリストのジョン・ラークである事が判明するが……。
 CIAの敏腕工作員として仕事をしているのに、どうやってアポストルに属する事が出来たのか、そもそも何故テロ組織に加担する事になったのか、それらの説明がなされない。無暗にあちこち動いていたら、たちまちばれてしまうだろうに。CIAがそこまで無能とは思えない。CIAはウォーカーの正体を知りつつも、泳がせていた、という読み方も出来ないが、そうだとすると作中でのスローンの言動は間抜け過ぎ。

 テロリストの仲介役ホワイト・ウィドウも、ストーリーを無駄に複雑する為だけに登場している感じ。
 省いてもストーリーは成立していたと思われる。
 ホワイト・ウィドウは実はCIAの工作員だった、という真相も、ストーリー全体を分かり辛くしている(何故CIA工作員が、フランス警察を殺してまでレーンを脱獄させ、最終的にイギリス当局に引き渡さなければならないのか、何故CIAが回収しようとしていたプルトニウムを、テロ組織に流そうとしていたのか、等々)。

 無駄な部分や、説明不足の部分があるものの、おおむね楽しめる一作には仕上がっている。
 トム・クルーズはまた続編を制作するのかね。
 もしそうなったら、映画シリーズで一人のスパイを演じ続けた俳優としては、007を演じたロジャー・ムーアを超える事になる。








Last updated  2018.09.14 12:37:52
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2018.09.08
カテゴリ:洋画

 スター・ウォーズ・シリーズのスピンオフ第2弾。
 若き頃のハン・ソロを描いている。
 時系列では、『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』の10年前となっている。
 原題は「Solo: A Star Wars Story」。邦題では、何故かフルネームになっている。
 原題は、本作の主人公の名前であるのと同時に、「独り者が独りで生きていく」という意味合いにもなっていると思われるのだが、邦題だと単に主人公の名を述べているだけになってしまう。


粗筋

 はるか昔の遠い銀河での出来事。
 惑星コレリアからの脱出を企むハン(オールデン・エアエンライク)とキーラ(エミリア・クラーク)の恋人同士は、宇宙港の警備員に渡せる賄賂と成り得るコアクシアム燃料を手に入れる事に成功し、宇宙港へ向かう。その二人を、コアクシアム燃料を奪われた組織の者が追跡する。
 宇宙港に到着した二人は、警備員に賄賂を渡し、ゲートを通されるが、ハンが通った時点でキーラは追手に捕まってしまう。
 ハンは、キーラを取り返す為に、出来るだけ早くコレリアに戻って来る、と誓う。
 ただ、当面は、コレリアから離れなければならない。といって、どこかに行ける当ても無かったので、ハンは銀河帝国軍の募集機関に直行し、そのまま入隊した。その際、募集機関の者が、苗字の無いハンに対し、「独り者(ソロ)だから」として、ハン・ソロとして登録する。
 3年後。
 ハンは、銀河帝国軍の兵として、戦場の第一線で戦っていた。
 次々と死んでいく他の兵を目の当たりに、このままでは自分も同じ運命を辿り、キーラの奪還どころではなくなる、と判断。
 帝国軍から脱走しよう、と決める。
 ただ、脱走しようにも、戦場から逃げる手立ては無い。
 そんな所、帝国軍の制服こそ身に着けているものの、明らかに帝国軍でない一行を見掛ける。トビアス・ベケット(ウディ・ハレルソン)率いる泥棒集団だった。
 ハンは、トビアスに対し、自分にはパイロットの知識があるので、役に立てると説得を試みる。が、トビアスは彼を受け入れず、脱走兵として逮捕させる。
 ハンは、ピットに放り込まれる。そこで、ウーキーのチュウバッカと出会う。二人は協力して、ピットから脱出。トビアスの下へ走る。
 トビアスは、ここまでしつこい奴なら寧ろ使えるかも、と考えを改め、仲間に加える事に。
 ハンとチュウバッカは、トビアス率いる泥棒集団と共に、前線である惑星から脱出した。
 トビアス一行は、別の惑星で、コアクシアム燃料を盗む計画を実行。その最中に、エンフィス・ネスト率いるクラウド・ライダーという海賊が現れ、コアクシアム燃料を彼らから奪い取ろうとする。これにより、トビアス率いる泥棒集団は、トビアス、ハン、そしてチュウバッカを除いて全滅。コアクシアム燃料も奪えなかった。
 ハンは、計画は失敗に終わったが、命があるだけでもマシだとトビアスに言う。
 が、トビアスは、命が助かっても無意味だ、と反論。何故なら、コアクシアム燃料の強奪は自分らの為ではなく、依頼によるものだったからだ。
 その依頼主とは、犯罪組織クリムゾン・ドーンの幹部ドライデン・ヴォスだった。
 逃げた所でドライデンから一生追われる羽目になるだけだと知らされたハンは、だったら会いに行って、交渉すればいい、と提案。
 ハンらは、ドライデンの宇宙船へと向かう。
 そこで、ハンはキーラと再会。キーラは、ドライデンの右腕として活躍していた。
 再会を喜ぶのも束の間、ハンは、トビアスと共にドライデン(ポール・ベタニー)と対面。
 どう落とし前を付けてくれるのだと迫るドライデンに対し、ハンは別の場所からコアクシアム燃料を盗めば良い、と提案。惑星ケッセルで、コアクシアム燃料を採掘しているので、そこから奪える、と。
 ドライデンは、その計画を了承する。ただし、条件を付けた。キーラを監視役として同行させろ、と。
 キーラと一緒にいたかったハンにとって、それは願っても無い条件だった。
 ケッセルまで行くには、宇宙船を新たに調達する必要があった。キーラは、ランド・カルリシアン(ドナルド・グローヴァー)なら提供出来る、と言う。ハンは、ギャンブルでランドの宇宙船を奪おうとするが、負けてしまう。が、コアクシアム燃料の強奪計画に興味を持ったランドは、儲けの一部を受け取る事を条件に、参加を決める。
 ランドの宇宙船ミレニアム・ファルコンでケッセルに到着したハン一行は、未精製のコアクシアム燃料を奪う事に成功。帝国艦隊の追跡を振り切り、コアクシアム燃料の精製設備がある惑星サバリーンに到着する。
 そこでは、エンフィス・ネスト率いるクラウド・ライダーが待ち構えていた。
 ランドは、ここで戦ったら負けるだけ、と読んで、たった一人でミレニアム・ファルコンでその場から逃走してしまう。
 ハン一行は、エンフィス・ネストと直接対決せざるを得なくなる。
 が、その時点でエンフィス・ネストは仮面を脱ぎ、素顔を見せる。ハンやキーラと年齢がそう変わらない女性(エリン・ケリーマン)だった。クラウド・ライダーは海賊ではなく、帝国やクリムゾン・ドーンに抵抗する反乱軍だったのだ。ハンは、エンフィスに同情。コアクシアム燃料をドライデンに渡すべきでない、と考える様に。
 ハンは、ドライデンを騙す策を講じるが、トビアスが裏切って、ドライデンにその策を伝えてしまっていた。 ドライデンは、エンフィスらを殺し、コアクシアム燃料を奪う工作を実行する。
 が、ハンは、トビアスの裏切りを予測していて、対策を講じていた。それにより、エンフィスらは、ドライデンが送り込んだ武装集団を倒してしまう。
 形勢が逆転されたと知ったトビアスは、ドライデンを見切り、その場から逃走。
 ハンは、キーラと共に、ドライデンを倒す。
 キーラは、ハンに、トビアスの後を追う様、促す。
 ハンが去った後、キーラはドライデンの主であるダース・モールと連絡を取る。彼女は、自分がドライデンの後を引き継ぐ、と宣言。ドライデンを殺したのはトビアスだと嘘を吐き、ハンについては何も述べなかった。ダース・モールは、キーラに対し、自分の下へ来いと命じる。キーラは、それに応じるしかなかった。
 一方、ハンは、トビアスと対決。撃ち合いで、トビアスに致命傷を与えた。トビアスは、息を引き取る直前、ハンの行動は正解だったと告げる。
 ハンは、コアクシアム燃料をエンフィスらに引き渡す。
 エンフィスは、反乱軍に加わらないかとオファーするが、ハンは固辞。その場を去る。
 ハンは、ランドを探し出し、再びミレニアム・ファルコンを賭けてギャンブルする。
 前回ハンが負けたのは、ランドがいかさまをしていたからだった。ハンは、ランドがいかさまが出来ない様工作し、ギャンブルに勝利。ミレニアム・ファルコンを獲得した。
 ハンは、チュウバッカと共に、ミレニアム・ファルコンで惑星タトゥーインへと向かう。大物ギャング(ジャバ・ザ・ハット)が、大仕事を計画している、という情報があったからだ。



感想

 スター・ウォーズ・シリーズでも人気キャラのハン・ソロの過去を描いた意欲作。
 成功しているようで、成功していないような、相反する感想が浮かび上がる。
 SF冒険物としては何ら問題は無いが、スター・ウォーズ・シリーズの1作として観ると、物足りない、という事らしい。

 多くの伏線も未解決のままというか、意味不明な部分が多い。

 本作のハンは、旧3部作のハンと比べて、やけに理想主義的。
 善人で、お人好しなのである。
 ハンは、コレリアから脱出した後、キーラを救い出す事だけを目標に3年間軍隊生活を続けた、という事になっている。
 軍隊生活で無数の死を目撃し、自身も死にそうな目に何度もあっていたと思われるのに、お人好しの性格を維持出来たのは、ある意味凄い。
 若く、人生経験が少ないから維持出来た、と言えなくもないが、違和感がある。
 本作での出来事をきっかけに、抜け目の無い、ひねくれた性格になっていく、と考えるべきか。
 3年間の軍隊生活でも払拭出来なかったお人好しを、今回の出来事だけで払拭してしまう、というのも凄いが。
 ハンを演じたオールデン・エアエンライクは、そう見える様、演技指導された事もあったのだろうが、旧3部作でハンを演じたハリソン・フォードをきちんと彷彿させる演技をしていた。世間の評判はそう良くはないらしいが、ハリソン・フォードが偉大過ぎというか、シリーズそのものが偉大になり過ぎたので、仕方ない面がある。ハリソン・フォードの演技も、冷静に観れば突出したものではない。本シリーズの成功が無かったら、単なる一俳優で終わっていただろう。

 エピソード5で初登場するランドも、登場。
 ひたすらズルくて、口がでかいだけの、自己中心的なキャラとしてしか描かれていない。何故こんなのをハンはエピソード5で頼ったのか、と思ってしまう。案の定裏切られ、捕まってしまうし。
 ランドは、本作では旧3部作への橋渡しをする為だけに顔を出した、という程度で、ストーリーには特に貢献していない。
 仮に登場していなくても、映画そのものは成立していただろう。

 新キャラとして登場するのが、ハンの幼馴染で、恋人でもあるキーラ。
 重要な役割を果たす、という扱いのキャラではあるものの、描き方が微妙。
 ハンが、彼女を救出する事を夢見て3年間もの間軍隊生活を耐えている間、彼女は自分なりにコレリアから脱出していた事が判明。
 ハンの人生の最大の目標が、無駄に終わってしまっている。
 また、広い宇宙で、無数の惑星がある中、二人が偶々再開する、というのも不自然。それとも、スター・ウォーズシリーズが展開している舞台は、銀河の中のほんの一部に過ぎないのか。
 ハンから引き離されてからたった3年で、彼女が犯罪組織の幹部の右腕を担ぐまでになった、というのも不可解。
 ハンが軍隊生活を経験しながらもお人好しのままでいる一方で、彼女はすっかり成長してしまっていて、現実主義に。3年間でハンの性格は殆ど変っていないのに、何故キーラがここまで変わったのか。
 観終わった後は、ハンの幼馴染のキーラと、犯罪組織に属するキーラは、別々のキャラでも良かったのでは、と思ってしまう。
 別のキャラにしておけば、本作の苦難を乗り越えたハンは、漸くコレリアに戻り、キーラを救出する手立てが出来た、という展開にも出来ただろうに(続編も制作出来る)。
 本作のストーリー運びでは、10年後の出来事とされる旧3部作でハンが幼馴染であるキーラの事を完全に忘れ、偶然出会ったレイアに乗り換えてしまう心境が理解出来ない。

 悪役として、ドライデン・ヴォスが登場。
 犯罪組織の幹部として、物凄い権力を持っている、という設定になっていて、登場人物の誰もが恐れる存在として描かれている(悪党であるトビアスですら恐れている)。
 が、言動を見る限りでは、トビアス並の小悪党に過ぎず、恐れられる存在、という程でもない。脅迫めいた発言に、周りが必要以上に恐れているだけの様。
 悪役としては、力不足。
 演じたのは、アベンジャーズ・シリーズでヴィジョンを演じるポール・ベタニー。アベンジャーズでは観られない悪党としての演技は、新鮮といえる(アベンジャーズで演じるキャラのヴィジョンより強そうだし)。

 よく分からないのが、ドライデン・ヴォスの主として、ダース・モールが登場する事。
 ダース・モールは、新三部作のエピソード1で登場し、そこで死んでいる。時系列からすると、本作の20年前の出来事。
 20年も前に死んだキャラが、何故当たり前の様に登場しているのか。エピソード1で死んだ様に見えたが、実際には死んでいなかった、という事か。
 死なせたキャラを、「人気だから」という制作者側の都合で安易に復活させてしまうと、収拾がつかなくなるだろうに。
 ダース・モールが犯罪組織に属している、という設定も不明。銀河帝国の皇帝とは手を切った、という事か。何故そんな事をしたのか、その裏事情の説明は一切なされていない。犯罪組織と銀河帝国は、裏で繋がっている、とも考えられるが、そうだとすると、銀河帝国の管理下にあるコアクシアム燃料を執拗に盗み出そうとする犯罪組織の目的が無意味になってしまう。
 ダース・モールの登場は、制作者側としてはファンの為のサプライズのつもりだったらしいが、風呂敷を無駄に広げているだけの感じ。ファンからすれば、広げてしまった風呂敷をどう畳むのか、そもそも畳めるのか、が心配になってしまう。

 本作では、主人公のハンより、ハンの師匠的な存在であるトビアスの存在が際立っていた。
 餓鬼っぽいハンより、渋いトビアスの方が、興味深いキャラになっている。
 ただ、本シリーズの例に漏れず(興味深いキャラはさっさと退場し、魅力の薄いキャラが生き残る)、あっさりと殺されてしまい、次回作で登場する可能性は全く無くなってしまった(死んだにも拘わらず再登場するダース・モールは例外中の例外)。
 何故本シリーズは勿体無い事ばかりするのかね。

 他に様々なキャラが登場するが、殆どが登場してはさっさと退場していく。
 初めに退場するのは、トビアス率いる泥棒集団。
 ハンが加入する前は、百戦錬磨の無敵集団、といった雰囲気だったのに、ハンが加入した直後の仕事で、トビアス以外は全滅。
 長年活動してきた様な口振りが信じられない。

 本作は、続三部作のエピソード8よりは単純明快で、旧三部作を彷彿させる面白い映画に仕上がっているのは確か。
 が、40年の間に旧・新・続でメインが8作(2018年の時点で)、そしてスピンオフが2本も制作されている一大叙事詩の位置付けとしては微妙で、今後制作されるであろうシリーズの整合性に混乱をもたらすものになっている気がする。
 制作元のルーカスフィルムがディズニーによって買収されてから、本シリーズは「いかにしてディズニーに短期的に利益をもたらすか」だけで制作が続けられ、本シリーズをいかにして構築していき、長期的な利益をもたらすか、の視点が抜けている気がする。









Last updated  2018.09.14 12:19:25
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2018.07.07
カテゴリ:洋画

 ゲームソフトを原案としたSFアクション。
 ゲームソフトの世界をほぼそのまま踏襲している。
 原題は、ゲームソフトと同じくAssassin's Creed(暗殺者の信条)。


粗筋

 死刑囚のカラム(マイケル・ファスベンダー)に、刑が執行される。薬物が投入され、死に至った。
 ……と思ったら、カラムは目覚める。見覚えが無い場所にいた。アブスターゴ社がスペインで運営する矯正施設にいる、と知らされた。
 ソフィア・リッキン博士(マリオン・コティヤール)が、彼の前に現れる。人の暴力性を無くし、平和な世の中を確立するには「エデンの果実」という物体が必要で、それを手に入れるには、アサシン教団の血を引くカラムの力が必要だという。
 カラムは状況が呑み込めないまま、遺伝子記憶の再現装置「アニムス」に接続される。15世紀のスペインを生きるアサシン教団の一員で、彼の先祖であるアギラールの半生を追体験させられる。
 アブスターゴ社は、カラムから、アギラールが知っている筈の「エデンの果実」の行方を掴もうとしていたのだった。
 カラムは、アギラールの半生を体験する事で、「エデンの果実」の行方を掴む。後にアメリカ大陸を発見する事になるコロンブスに渡していたのだ。コロンブスは、墓にまで持って行く事を約束し、「エデンの果実」を託されたのだった。
 アブスターゴ社は、アサシン教団と対立するテンプル騎士団が運営していた。
 テンプル騎士団は、コロンブスの墓を暴き、「エデンの果実」を回収。アサシン教団から奪い返せた、と勝利を宣言する会合を開く。
 その前に施設から脱走していたカラムは、他のアサシン教団の子孫と共に会合に乱入。テンプル騎士団の指導者を殺し、「エデンの果実」を奪う。
 カラムは、アサシン教団の一員として、テンプル騎士団から「エデンの果実」を守る為、その場を去る。



感想

 ゲームソフトの映画化はこれまで何度も試みられているが、成功したと思われるのはほぼ無い。
 成功していると思われるものは、大抵ゲームソフトの世界を大幅に改変していて、タイトルのみが同じ、という状況になっている。
 ゲームソフトはあくまでもゲームソフトに留まっているからこそ面白い様である。

 本作は、ゲームソフトの世界に可能な限り忠実に沿っているらしい。
 ゲームソフトでプレーした事がある者からすれば設定やキャラは分かり易いのかも知れないが、そうでない者からすると何もかもが初体験となる。
 そんな事もあり、ゲームソフト体験者からすると無駄な説明が多過ぎでストーリーのペースがとろく感じ、非体験者からするとあまりにも説明が無さ過ぎで置いてきぼりにされる。

 何よりも分かり難いのが、何故テンプル騎士団が「エデンの果実(作中では「エデンのリンゴ」として語られている)」に固執するのか、という事。
 手に入れる為に莫大な投資をし、犠牲を払っていくのだが、手に入れた所で何が出来るのかが、さっぱり分からない。
「アニムス」という訳の分からない装置を開発・運用する程の技術力があるなら、「エデンの果実」とやら実行力が不明な物体を追い求めるより、その高い技術力を使って普通にビジネスを展開していた方が余程楽に「世界を支配(金儲け)」出来るだろうに、と思ってしまう。

 登場するキャラは、主人公のカラムを始め、どれも一癖も二癖もある者ばかり。
 そういうキャラは描き方がきちんとしていないと(必ずしも善人として描く必要は無い)、感情移入出来なくなり、そのキャラが大活躍しようと途中で死のうと、どうでも良くなってしまう。
 本作は、キャラが数多く数多く登場するが、どれも描かれ方が中途半端。主人公のカラムですら、単に他のキャラと顔が判別出来る程度に登場して、バタバタ動き回っているだけ。
 あえて最小限に描く事で、感情移入出来ないようにした感じ。
 下手に描いて共感され難いキャラにするくらいなら、感情移入出来ないキャラにしてしまった方が良い、という考えだったのかも知れないが……。
 キャラへの興味は勿論、ストーリーへの興味も失わせる効果をもたらしている。

 原作がそうだから回避しようが無かったのだろうが、キリスト教文化に傾倒し過ぎているのも問題。
「アダムとイブ」「エデンの楽園」はユダヤ教、そしてそこから派生したキリスト教やイスラム教にとっては重要なのかも知れないが、それ以外の文化圏では何の意味も無い。
 キリスト教信者らがギリシャ神話を単なる物語としか認識出来ないのと同様(古代ギリシャ人にとってギリシャ神話は宗教だった筈)、聖書の出来事も他宗教の者からするとただのフィクションに過ぎない。
 要するに、ヒンズー教(そしてそこから派生する仏教)の地で「エデンの果実」を見せびらかして「世界を支配する力がここにある!」と豪語しても、誰も共感せず、効果も発揮しない。
 したがって、欧米以外では、本作を公開しても、観客が本心から楽しめない。
 世界中の人々が同じ様に理解出来ない作品は製作すべきでない、という事は無いが、それなりの根回しをしておかないと、集客力が見込めなくなる事は理解しておくべき。









Last updated  2018.09.08 00:00:20
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