そぞろある記

2004/04/10(土)17:13

私たちに出来る構造改革支援

先日保険の代理店をしている後輩が家に来た。 彼は現在の社会状況に危機感を持っていて、世の中をよい方向に持って行くには自分は何をしたらよいかを考え、行動もしている。 その彼が構造改革を支援するためには、国民が郵便貯金を引き上げることですと言っていた。 考えれば考えるほどもっともな意見だ。 小泉首相が進める構造改革とは、行政が行っている現業部門のうち、民間が行った方が効率のよい分野は民間に委ね、政府は最小の行政サービスに徹すべしと言うことだ。 その背景には、財政投融資制度を隠れ蓑にしてお手盛りの公共事業を増加させ、天下り先を確保し、短期に多額の退職金を手にする官僚システムや、郵貯や年金の積立金を自分の選挙のために強引に地元に誘導する政治家への怒りがあるはずだ。 小泉首相が手を入れようとしている非効率で闇のような仕組みとはこういうことだ。 非常におおざっぱな説明だが、行政が使える金には大きく分けて二つある。 一つは予算と言われるもの、もう一つが財政投融資である。 財政投融資の財源は郵便貯金、簡易保険、年金の積立金などが主である。 大雑把に言って450兆円あり、その内郵貯、簡保で250兆円あまりを占める。 この巨額なお金はわかるとおり国民からの預り金であり、国民は貸しているのである。 3年前までは大蔵省資金運用部が運用していたが、その大部分が問題の特殊法人に向けられている。かつては国鉄であり、今は日本道路公団、石油公団、本四公団などである。 財投改革により今は郵貯などは直接運用しているが、借りている公団から見れば実態は変わらない。 この各公団が経営実態が不明で、多額の負債を抱えている。 もしも公団が破綻したら郵便貯金は返ってこないはずだが、実際は税金で負担することになるだろう。 小泉首相の道路公団改革は失敗だという人がいるが、どこをみて失敗だというのだろう。 道路公団民営化によって確実になったことが二つある。40兆円にものぼる負債が国民の負担なしに返ってくることが一つである。民営化されなかったら多分さらに負債がふくらみ、国鉄のように巨額の負債を税金で処理しなければならなかったろう。国鉄の残した24兆円の負債を、私たちの税金で今も返し続けていることをどれだけの人が知っているだろうか。 もう一つは必要な道路は国民が監視できる一般会計で作ると言うことだ。道路が必要ないという人は誰もいないだろう。道路公団改革にすべての知事が反対していたことでもわかる。今まではただで道路を作ってもらえたのに、これからはほとんど自前で作らねばならなくなる。 でも国がお金を出さないというわけではない。国民から見て本当に必要と思える道路しか作れない仕組みになったのだ。 小泉首相は言う。道路公団改革が一だとしたら、郵政改革は百ぐらいの重みがあると。 郵政改革は巨大なブラックボックスのような財投に入ってくるお金の元を締め上げようと言うことである。 小泉政権が出来て特殊法人は原則廃止か民営化と言っていたのが、族議員を巻き込んだ官僚の猛烈な巻き返しにあい、竜頭蛇尾になってしまったことはまだ記憶に新しいことである。その中で道路公団民営化の道筋を作り上げた首相を素直に賞賛したい。 郵政改革は、特殊法人改革で一敗地にまみれた小泉首相が捲土重来を期して放つ乾坤一擲の大勝負である。 なにしろ官僚と、抵抗勢力の族議員が甘い汁を吸いまくっていた財投のお金を元から絶ってしまおうというのだ。 郵政事業が民営化されたら郵便局が無くなってしまうという抵抗勢力の口車に、マスコミも上手に乗せられているようだ。 でも首相は、郵便局が今のままでも構わないと何度も言っている。だがマスコミはその言葉尻を捉えて、民営化が後退しているなどと書く。 小泉首相のねらいは巨額な郵便貯金と簡易保険を族議員の好きにさせない点にある。誤解を恐れず書けば郵便局などどうでもいいのである。 そこで後輩の話になる。 郵便貯金を積んでいる預金者が三分の一でも預金を引き上げたら、それでも国家予算に匹敵するぐらいのお金が使えなくなる。 特殊法人に回していたお金を引き上げて、せっせと払い出しに応じなければならない。 不要な特殊法人などすぐに無くなってしまうだろう。 国民が構造改革を応援するいい方法ではないかなど、いいおじさん同士が語り合ったのだ。

続きを読む

総合記事ランキング

もっと見る