カテゴリ:メンタルヘルス
いじめ被害を題材にした絵本「わたしのいもうと」(偕成社)は約20年にわたり、学校などで読み継がれてきた。
被害者がどれだけ深く、そして長く、心に傷を負うのかを伝える本だ。 作者で児童文学作家の松谷みよ子さん(80)は「相手の気持ちに気づかない限り、いじめは続く。本当はいじめがなくなって忘れ去られる本になってほしい」と語る。 「わたしのいもうとの話を聞いてください……」。 二十数年前、「ちいさいモモちゃん」などを書いた松谷さんに、少女から手紙が届いた。 妹がいじめに遭い、家に引きこもり心を閉ざしてしまったとの内容だった。 手紙は「わたしをいじめたひとたちは、もうわたしをわすれてしまったでしょうね」という妹のメモにも触れていた。 松谷さんは「いじめている方は、すぐ忘れても、いじめられた子には深刻な問題だ」との思いで、手紙をもとに絵本を書いた。 一家が7年前に引っ越してきたことから始まる。小学4年生の妹は、転校した学校で「言葉がおかしい」「くさい。ぶた」といじめられる。 給食を配ると受け取ってもらえない。 誰も口を聞いてくれなくなり、遠足に行った時も独りぼっち。 やがて学校へ行かず、ご飯も食べず、部屋に閉じこもるようになる。 やせ衰え、「このままでは命がもたない」とまで言われたが、母親の必死の看病で、命だけはとりとめる。 やがて、いじめた子たちは中学生になり、さらに高校生になる。 笑いながら窓の外を通り過ぎて行くのを妹は見つめるだけ。 そして、ある日、ひっそりと息を引き取る。 妹を描いた絵は、うつむいていたり、後ろ姿で顔は一度も出てこない。 そして、最後に手紙につづられたメモが描かれている。 87年に初版6000部で出版された本は、道徳の授業などで使われ、44刷まで版を重ね、14万7000部が世に出た。 出版社には、親や教師からだけでなく、加害者の子どもからも感想が寄せられている。 栃木県鹿沼市立北押原中学では先月、「いじめは命にかかわる大きな問題だと気づかせたかった」(3年の学年主任、鬼頭真教諭)と絵本を題材に道徳の授業をした。 生徒からは「助ける人が必要で、周りも行動を起こさないといけない」という意見が相次いだという。 ●わたしのいもうと お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Dec 6, 2006 10:43:39 PM
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