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JAFの趣味なページ

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ECMの意義

 ECMの意義

電子戦機EA-6B

"Electric Counter Measure"
日本語に訳すならば「電子妨害装置」ないし「電子対抗手段」。すなわちジャミング(電波妨害)、チャフ・フレアによる欺瞞、ステルスによる隠蔽など、相手の電子機器(レーダー、ミサイルシーカーなど)が正常に働くことができないようにすることを"ECM"と呼称します。

元来相手の電子機器を潰すには2つの方法があり、1つは「ハードキル」すなわち物理的に相手の電子機器を破壊し無力化する方法です。もう1つは「ソフトキル」すなわちECMを行って物理的な破壊はしないものの役に立たないようにする方法です。

ハードキルの場合、成功すればその対象に多大な損害を与え、少なくとも修理しなければ二度と使えないようになりますが、大きな危険が伴います。具体的に言えば砲弾・爆弾やミサイルを相手に叩き込まなければならないわけで、それはつまり相手に反撃される恐れもあります。ベトナム戦争では精密誘導兵器が無かったため(ある、という指摘を受けました。数は少ないようですが、精密誘導兵器自体は投入されていたようです)にレーダーサイトや指揮施設を攻撃して防空網を一時的に機能不全に陥れるSEAD(敵防空網制圧)が行われていましたが、この攻撃を行うのは自殺行為だと言われたくらいです。
また火器を使用するので費用もかかりますし、無数に配備されていた場合潰しても潰しても切がありません。

一方ソフトキルの場合、例えば防空網潰しにかかる場合に必要なのは、必要分だけの電子戦機と戦闘機装備のチャフ・フレアディスペンサーくらいです。ジャミングをかけることで敵のレーダーを役に立たなくして、対空ミサイルそれぞれのレーダーも無力化します。レーダーが役に立たなければ、こちらの正確な位置情報は入手できなくなりますし、対空ミサイルも中々撃てません。その間に目的を果たすのです。
経済的で効率もよく、比較的安全(戦場に安全などありませんが)に作戦を進めることができます。また仮にミサイルを撃たれてもチャフ・フレアでそらすこともできます。

もちろん最終的には物理的に破壊しないと危険なので、ソフトキルをかけた状態でハードキルを行うのが普通です。これなら敵が反撃手段を失って途方にくれている間に物理的に破壊できるわけです。
最近はステルス技術も出現したため、レーダーに映らず気付かれないまま敵の中枢に忍び寄り、司令部などの重要施設を攻撃するといった方法もとられています。これもソフトキルによる防空網の突破、それに中枢施設を無力化することによる間接的なハードキルの組み合わせといえます。


いろいろ書いてまいりましたが、要するにソフトキルであるECMを行うのと行わないのでは以下のような違いがあります。
・ジャミングをかければ見つかり難い、かけなかったら見つかりやすい
・ジャミングをかければミサイルを撃たれ難い、かけなかったら撃たれやすい
・チャフ・フレアがあればミサイルもかわしやすい、無ければあたりやすい
・ステルスがあれば見つかり難い、なければ見つかりやすい
といった具合です。
電子機器と情報に大きな比重を置く今日の軍隊においては、目隠しをされたも同然の状態になるECMは非常に脅威であるといえます。そのため現在ではECMに対抗する手段、すなわちECCMの技術開発が進んでいます。


と、あればいいこと尽くめのECMですが、現代のECMには欠かせないことがあります。それがELINT(エリント)と呼ばれる戦闘になる前の事前情報収集です。具体的に言えば、敵は一体どの周波数の電波をレーダーとして使っているのか?電波の周波数は何種類くらいあるのか?といったことの分析です。昔は非常に強力な電波を流し、電波全てを妨害するという方法がとられていましたが、それをすると敵は無力化できますが味方も同じように無力化されてしまいます。そこで現在ではELINTで電波を解析し、必要な周波数帯にのみ電波を流すスポット・ジャミングが主流になっています。

現在の日本国自衛隊はこのELINTが非常に弱いといわれており、専門の電子戦機も配備していないので、このECMの点において自衛隊は非常に弱いと思われています。ELINTを大々的に展開できるようにならなければ、周辺諸国の脅威に対して一歩遅れをとることになりますから、国民の安全のためにもELINTを行えるようになってほしいものです。


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