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JAFの趣味なページ

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ミサイルの種類


スパローを発射したF-15C

F-15Cが発射したAIM-7空対空ミサイル


日本においての軍事用語とは思えないほど広く普及した言葉、「ミサイル」。ギャグアニメでさえ出てくるのですから凄いです。本当に軍事用語だとは思えません。

さて、「ミサイル」は英語にすると"Missile"、もともとは弓矢や弾丸(砲丸)などの飛び道具、ひいて飛翔体の意味で使われていました。しかし現在では「誘導可能なロケット」と言ってもいいでしょう(極少数の例外はありますが)。「ロケット」は自らが推進力を持って飛翔するものをさしますので。因みに日本語では「誘導弾」といいます。

一口で「ミサイル」と言いますが、その実用途によって様々な種類に分けられています。今回はその種類を簡単に説明します。

基本的な分け方
ミサイルはまず次のように分類されます。

・対空ミサイル
飛行機、ヘリコプターやミサイルを撃ち落すためのものです。射程によって区別されることがありますが、その基準は曖昧です。

・対地ミサイル
地上の車両や施設を攻撃し撃破・破壊するためのものです。対戦車ミサイルと呼ばれることもあります。
地対地ミサイルの場合射程によって区別されることがあります。

・対艦ミサイル
海上の艦船を攻撃して損傷させるためのものです。対地ミサイルと基本的には変わりませんが、専用のミサイルの場合貫徹力(装甲などを貫通する力)が強化されていることが多いです。高速で接近するため艦船の最大の脅威となります。

・巡航ミサイル(Cruise Missile)
低空を地形に沿いながら飛行して、主に地上施設を攻撃するためのものです。射程数百km~数千kmといった長大な射程をもつことがあります。ただしその分高価です。発射する場所によって分類されます。「BGM-109(トマホーク)」が有名です。

・弾道ミサイル(Ballistic Missile)
大型のロケットを使って大気圏外に一度出て、そこから弾道飛行しながら目標に突入するものです。極超音速で巡航するので迎撃は困難です。ただし命中率は低いです。なので核兵器を保有する国は、弾頭には核を搭載するのが普通です。主に地上施設攻撃に使われます。発射する場所・射程によって分類されます。通常弾頭ですが「ノドン」や「テポドン」、核弾頭では「トライデント」が有名です。

・弾道弾迎撃ミサイル
弾道ミサイルを迎撃するためのミサイルです。基本的に対空ミサイルですが、通常の対空ミサイルが近接信管を採用しているのに対しこれ専用のミサイルは直接弾頭(キネスティック弾頭)をぶつけて破壊する方式をとっています。「パトリオットPAC-3」や「スタンダードSM-3MR」がこれに入ります。まだ発展段階のミサイルです。


次に細かい分類です。

・空対空ミサイル(Air to Air MissileまたはAir-launched Intercept Missile)
略称"AAM"でアメリカ軍のみ"AIM"を使います。名前は違っても中身は変わりません。飛行機から発射して別の飛行機を攻撃するミサイルです。よく射程や誘導方式によって区別されますが、射程の区別は曖昧です。射程は長距離・中距離・短距離にわけられ、他のミサイルにも共通することですが、誘導方式は大きく分けて「アクティブ・レーダー誘導」「セミ・アクティブ・レーダー誘導」「赤外線誘導」となります。
アクティブレーダー誘導はミサイル自身がレーダーを使って敵を探知し、誘導する方法、セミアクティブレーダー誘導は発射母機がレーダーを使い、その反射波を読み取って誘導する方式です。自らはレーダーを載せていません。赤外線誘導は、ジェットエンジンの排気といった赤外線を多量に放出する目標に誘導されるものです。安くて構造が簡単ですが射程が短くなります。
他の対空ミサイルに改造されて転用されることも多い対空ミサイルの基本となるミサイルです。「AIM-9(サイドワインダー)」「AIM-7(スパロー)」「AIM-54(フェニックス)」「AIM-92(スティンガー)」など

・空対地ミサイル(Air to Ground Missile)
略称"AGM"。飛行機から発射して地上の車両や建造物を攻撃するミサイルです。目標によって「対レーダーミサイル」「対戦車ミサイル」などに分類されることもあります。他に空中発射巡航ミサイルもこの名を冠しています。
「AGM-65(マーヴェリック)」「AGM-114(ヘルファイア)」など。

 ・対レーダーミサイル(Anti RADAR Missile)
 空対地ミサイルの一種で、レーダー電波を受けてその発信源に向かいます。最近のものはレーダー照射が止まっても最後に確認した場所に向けて突入するものがあります。

 ・空中発射巡航ミサイル(Air-Launch Cruise Missile)
 略称"ALCM"または"ACM"。
 空対地ミサイルの一種で、飛行機から発射する巡航ミサイルです。
 
・空対艦ミサイル(Air to Ship Missile)
略称"ASM"。ただし対地ミサイルと同じ"AGM"がつくこともままあります。
対艦ミサイルの最も基本的なタイプで、この後地対艦ミサイルや艦対艦ミサイルに発展することもよくあります。

・地対空ミサイル(Surface to Air Missile)
略称"SAM"。その名の通り地上から発射する対空ミサイルです。
射程によって長距離・中距離・短距離・近距離などに分けられることもありますが、その基準は曖昧です。「パトリオット(MIM-104)」「81式短距離地対空誘導弾」「SA-3」「スティンガー(FIM-92)」など。

・地対艦ミサイル(Surface to Ship Missile)
略称"SSM"。地上から発射する対艦ミサイルです。主に沿岸防御に用いられます。射程によって分けられる事もありますが、特別射程が長かったりしない限りあまり分けられません。他のミサイルからするとその種類は少なく、またそれほど有名ではありません。艦対艦ミサイルをそのまま転用することもあります。「88式地対艦誘導弾」「CSS-C-2シルクワーム」など。

・地対地ミサイル
特別な略称はありません。地上から発射して地上目標を攻撃するミサイルですが、そもそもその数は多くありません。弾道ミサイルもこれに入れることができますが、今回は別項目を設けます。「ATACMS」「スカッド」など。

・対戦車ミサイル(Anti Tank MissileまたはMissile Anti Tank)
ヘリコプターや車両に搭載したり歩兵が携行する、装甲車両を撃破するためのミサイルです。対戦車ロケットと並び歩兵にとっては貴重な火力となります。弾頭によってさらに分類されますが、割愛します。ヘリコプターに搭載される場合空対地ミサイルと変わりありません。「AGM-114」「TOW」「01式携帯対戦車誘導弾」など。
なお自衛隊だけは"ATM"で核(Atom)を連想させたくないということで"MAT"という名を使っています。

・艦対空ミサイル(Ship to Air Missile)
略称"SAM"。但し地対空ミサイルと紛らわしいので、兵器の名前には"RIM"が使われることがあります。艦船から発射する対空ミサイルです。専用に開発されることもありますが、地対空ミサイル・空対空ミサイルを改造して転用する場合も多いです。その場合塩害対策・AAMからの場合はブースター追加などが施されています。「RIM-7(シースパロー)」「RIM-66(スタンダード)」など

・艦対地ミサイル
艦船から発射して地上を攻撃すればこれですが、現在はほぼ艦船発射巡航ミサイルと同義です。

・艦対艦ミサイル(Ship to Ship Missile)
略称"SSM"。艦船から発射する対艦ミサイルです。現在の海戦の主力兵器です。専用に開発されることもありますが、艦対空ミサイルと同様地対艦ミサイル・空対艦ミサイルを改造して転用する場合も多く塩害対策・ブースター追加などが施されています。
RGM-84ハープーン艦対艦ミサイル 米海軍

・対潜水艦ミサイル(Anti Submarine Missile)
略称"ASW"。潜水艦を撃沈するためのミサイルですが、現在それらしいものは開発されておらず(SS-N-15スターフィッシュが対潜ミサイルらしいですがよく知りません。情報求む)専らゲームや小説の中の存在です。近いものとしてASROCがありますが、ASROCは基本的に対潜水艦ロケットで、潜水艦の近くの海面までロケットを飛ばしそのロケットから魚雷が出てくるものです。最新型は誘導もできますが、結局魚雷を使いますのでミサイルに分類するのは苦しいでしょう。

・潜水艦発射対艦ミサイル
略称"SSM"。潜水艦から発射される対艦ミサイルです。艦対艦ミサイルと基本的に変わりませんが、魚雷発射管で使えるようにカプセルに入れられた状態になっています。発射されるまえに潜水艦の位置をつかむのは難しいため、艦船にとっての最大の脅威です。


【巡航ミサイル】
・空中発射巡航ミサイル
前述の通りです。

・艦発射巡航ミサイル(Ship-Lounch Cruise Missile)
水上の艦船から発射する巡航ミサイルです。どんな巡航ミサイルでも艦船から発射すればこれです。

・潜水艦発射巡航ミサイル(Submarine-Lounch Cruise Missile)
潜水艦から発射する巡航ミサイルです。どんな巡航ミサイルでも潜水艦から発射すればこれです。カプセルに入れられた状態で発射されます。


【弾道ミサイル】
・大陸間弾道ミサイル(Intercontinental Range Ballistic Missile)
略称"ICBM"。5500km以上の射程を持つ長距離弾道ミサイルです。アメリカやソ連はこれを多数保有しており、冷戦期には競って作られていました。核攻撃の主力でもあります。

・中距離弾道ミサイル(Intermediate Range Ballistic Missile)
略称"IRBM"。2400~5500kmの射程を持つ弾道ミサイルです。

・準中距離弾道ミサイル(Medium Range Ballistic Missile)
略称"MRBM"。800~2400kmの射程を持つ弾道ミサイルです。

・短距離弾道ミサイル(Short Range Ballistic Missile)
略称"SRBM"。射程150~800km。

・戦場短射程弾道ミサイル(Battlefield Short Range Ballistic Missile)
略称"BSRBM"。射程150km未満。戦術弾道弾とも言います。

・潜水艦発射弾道ミサイル(Submarine Launched Ballistic Missile)
略称"SLBM"。潜水艦から発射されるもの。射程関係ありません。


以上です。さらに細かい分類をあげると切がありませんので、これくらいにしておきます。
全部覚えるのはかなり大変ですが、英語も一緒に覚えれば英語の成績もアップする…と思います。役に立たないかもしれません(私は一度か二度は役に立ちました)。

長々とお付き合いありがとうございました。


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