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カテゴリ:軍事・航空
名古屋空港でF-2が墜落し炎上したというニュースを今日になって初めて知りました。ちょうど大学祭前日で遅くに帰ってきたのですが・・・リアルタイムの情報と向き合えなかったのは残念です。
どうやらマスコミで印象操作がされているようなので、まずはそこを突っ込んでおこうと思います。 ・事故を起こしたのは三菱重工であり、航空自衛隊ではありません。 ・「名古屋空港」は「小牧基地」という名も持つ官民共同空港です。自衛隊機がいることになんら不思議はありません。とはいっても小牧にいるのは主にC-130H輸送機部隊ではありますが・・・今回のF-2は就役3年の定期検査でした。なので管理は製造者である三菱重工に移管され、三菱重工によって名古屋空港で試験飛行が行われたものでした。 三菱重工のテストパイロット2名はそれぞれ重軽傷とのことですが、命は助かったことに一安心です。一刻も早い回復を祈っています。 続いて、FS-X(次期支援戦闘機計画。F-2の計画名)の頃から一切の損失がなかったF-2に最初の損失が出てしまったことが悲しくてなりません。早期の事故原因特定を願います。 さて、ここでF-2について少し復習しましょう。 F-2は航空自衛隊が運用する新型支援戦闘機で、支援戦闘機本来の任務で運用される単座型のF-2Aと、高等練習機として運用される複座型のF-2Bが存在します。両者に大きな性能差はありません。今回墜落したのは、F-2Bの方です。 F-2は日米共同開発(これに関しては日本が自主開発するつもりだったところにアメリカが横槍を入れた、共同開発の結果は百害あって一利なし、などと色々曰く付ですが、今回は詳しくは触れません。)によってF-16をベースに生み出されました。機体が一回り大きくなり、翼面積は大幅拡大、レーダーは実用航空機初のアクティヴフェイズドアレイレーダー、機体は日本の最新カーボン複合素材、といった様々な最新技術がてんこもりされた機体です。価格は120億円と正直馬鹿高いですが、機体性能もペイロードも一級品の戦闘機であることは間違いありません。初期に報じられた不具合(レーダー視程が所期の3分の1だとか、特定の状態で急機動すると翼にひびだとか)も解消されていますしね。 防衛庁(当時)からは「機体の発展性に乏しい」という理由から調達数削減され、現在では98機まで落ち込んでいました。しかしそれを差し引いてもいい飛行機でした。実際、今回の事件が発生するまでは一機も損失がありませんでした。 さて、事故の様子を記録した動画を見ましたが、少なくともエンジントラブルである可能性は低そうです。推力が足りないと言うよりは、これは失速を起こした落ち方でしょう。 私の考えでは、次の二通りのどちらかが原因なのではないかと思います。 1、離陸に十分な速度に達しないままの離陸 機体が安定して飛行するには、飛行機が揚力を使って浮いている以上ある程度の速度が必要です。十分な速度が出ないままに無理やり機首上げし、揚力を強制的に増して浮かぶと、次の瞬間失速を起こして墜落します。 私は動画から速度は読み取れませんでしたし、機首が特別上を向いていたと言う印象もありませんでしたが、地上整備員からは「いつもより角度が急だった」という証言が出ているようなので、これとも一致します。 三菱重工のテストパイロットともあろう方がそんな初歩的なミスをするか?というのが少々疑問ですが、ヒューマンエラーは常にありうるものなので可能性には入れるべきでしょう。 2、操縦系統のなんらかのトラブル F-2は非常に高度なコンピューターシステムによる操縦補助が行われており、多重のバックアップはあるもののもしこのシステムが狂ったのならF-2の操縦は非常に困難になると聞いています。何らかの要因によって操縦系統が狂った場合、今回のようなおかしな機動になってしまうこともあるかもしれません。 今回は定期検査直後の事件だった、というわけで、その際にシステムのアップデートが行われ、何らかのバグが・・・というのはほとんど有り得ないけれど無いこともない。もし潜在的にF-2の操縦システムになんらかのバグがあるとしたら、かなり致命的な欠陥になってしまいます。 断っておきますが、以上はあくまで素人による推論です。何か根拠となるデータがあるわけではありません。信憑性はかなり低いでしょう。 何はともあれ、事故調査委員会の報告が早期に出ることを願っています。 それにしても、あれほど酷い落ち方をしておきながら、あれだけ原型をとどめいているF-2の頑丈さには驚きました。パイロットが助かったのこの頑丈さ故でしょう。やはり日本の素材技術は偉大です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.11.01 23:06:47
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