晴れのち曇り

2009/08/02(日)14:55

「扉をたたく人」(The Visitor)

映画(9)

「扉をたたく人」(The Visitor)という映画を観てきました。とてもよい映画でおすすめです。 コネティカットで孤独に暮らす大学教授のウォルター(ジェンキンス)が、ある日、学会発表のために久しぶりにニューヨークを訪れ、今は亡き愛する妻と暮らしていたアパートに行くと、そこには見知らぬ移民のカップルが住んでいる。一度は出て行ってもらうが、行くところもなさそうな二人を見てウォルターは二人を受け入れる。妻の影響もあってもともと音楽の好きなウォルターは、ピアノのレッスンを密かに受けるほかに、公園でアフリカ系の人たちが弾くドラムを聞いて心を躍らせている。そんなある日自分のアパートに居候しているタレク(スレイマン)がジャンベ奏者であることを知ったウォルターは、タレクにジャンベを習い始める。ウィルターは、これまで知らなかった音楽によって心が生き返るのを感じるとともに、タレクとの絆を深めていく。そんな中、ひょんなことからタレクが不法滞在を理由に拘束されてしまう。ウォルターは、タレクの恋人、タレクの母親モーナ(アッパス)、自分でお金を出して雇った弁護士と事態を解決しようとするが、その努力もむなしくタレクは結局強制送還されてしまう。モーナもまたシリアに戻る。二人を失ったウォルターは、行き場のない怒りと悲しみを表すかのように、地下鉄の駅でジャンベを叩く。 監督・脚本はトム・マッカーシー、出演はリチャード・ジェンキンス(ウォルター)、ハーズ・スレイマン(タレク)、ヒアム・アッパス(モーナ)。 映画の原題は「訪れる人」という意味のThe Visitor。「訪れる人」はこの映画に何人もいる。ウォルターの家を訪ねてきたタレク、ウォルターの閉じた心に新しい風を吹き込んだジャンベやアフリカのビート音楽、ウォルターのアパートを訪ねてくるタレクの母モーナ、アメリカを訪れている移民、そしてNYあるいはそこのアパートを訪れるウォルターもまた「訪れる人」だ。その多様な意味を「扉をたたく人」という邦題はわかりにくくする。その意味では不十分なタイトルになっている。

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