聖者の独り言

2022/05/25(水)09:00

日本ダービー  その2

一昔前だけどダービーで顕著だった傾向は、勝ち鞍に恵まれないベテラン騎手が一世一代の名馬と巡り合って勝利するという傾向。中野、安田隆、小島貞、大西あたりが代表ですね。根本は色々趣が違うけど。 勝ち鞍やタイトルは豊富なトップジョッキーでも、柴田政人や南井、河内、福永あたりは晩年やそれに近いところに差し掛かっての初ダービー。 武豊は彼らとは明らかに一線を画す存在ですが、そんな彼でも50代でダービーを勝つとなれば、彼らを越えたり類似するという面も出てきます。そういう意味でも興味深い参戦。 武豊が最も強いと思った馬は何か。 分かりません。そもそも馬の強さは条件やタイミングや時代によって変わるので、決め付けなんか無理。 武豊の騎手人生において、最も強い影響を及ぼした馬は何か。 本人を含めた人それぞれの感想で違う名前が出てくるだろうけど、個人的にはスーパークリークかオグリキャップだと思う。イナリワンを含めた三頭で、あの時代に名馬や名勝負とはどういうものかを体験した事が、武豊が武豊である事を創造したと、武豊のステータスの確立や競馬の発展の中で感じるので。 初ダービーをもたらしたスペシャルウィークですから、この2頭に比べたら存在価値は落ちる。 そして、武豊にとって最も相性の悪い馬は何か。個人的にはだけど、これも断言できる。ハーツクライ。 詳細は述べていくけど、ダンスインザダークのダービーを早漏騎乗で勝ち損なった橋口先生の呪いがずっとハーツを通じて武豊に降りかかっているんじゃないかと、本気で疑いたくなるくらい。 嫌ですねえ、20数年前の事を未だに恨んで呪ったり語ったりするのは。どの口が言うと思った人は、正直にコメント欄に名前を書くように(笑)。 ハーツクライは本格化してからはディープインパクトに劣らない実力・強豪馬になったけど、三歳のこの時期はまだ貧弱。ダービーは東京適性の高さと究極のサバイバルレースにおけるポツン騎乗が嵌って2着に食い込んだものの、秋に武豊に替わってからの3戦が馬生最大の暗黒期。神戸新聞杯、菊花賞、JCをことごとく上位人気で完敗。 一年経って武豊から離れたハーツは本格化し、ディープインパクトで無双していた彼を有馬記念で沈める。 JCをハーツが喉なりで惨敗した事で形式的なリベンジは果たしたものの、相性の悪さと橋口先生の怨念は産駒を通じて数年に亘って降りかかる。 ・小回り2000カテゴリーで無双していたトウケイヘイローを複数回ジャスタウェイで沈められる。 ・縁の深い橋口先生がやっとダービーを勝ち、しかもハーツ産駒だったにも関わらず乗っていたのは彼ではない。 ・キタサンブラックで無双していた頃、シュヴァルグランでJCで沈められる。 ・ハーツクライ産駒の代表馬の一頭リスグラシューでの勝ち鞍はあるものの、取りこぼしや惜敗のほうが圧倒的に多く、本格化したのは彼の手を離れてから。 ・名勝負を期待されたアーモンドアイとダノンプレミアムの安田記念を、ロジクライでスタートで2頭まとめて妨害する。 ・3歳以降は終わってしまったタイムフライヤーに、ホープフルSで負かされる。 ・クラッシック候補と言われて連勝したマイラプソディは、クラッシック佳境に入った頃に早々と終わる。 そんな彼が今年ダービーで騎乗するのはハーツクライ産駒ドゥデュース。挑戦者の立場で朝日杯を勝ちはしたものの、肝心の皐月賞を1人気で連を外して久々に溜め殺し騎乗を取沙汰される羽目に。 彼が皐月賞で後ろ過ぎる位置を選択した事の是非は問わないけど、予想や馬券を購入する立場としてその理由は考えました。私的には馬の実力に対して強い自信がないからだと思った。本当に自信があるなら前が忙しくなったりごちゃついたりしても、馬の実力とレースへの支配力の発揮でそれを克服してくる。それができる馬ではないから、それをしたら潰れるかもしれないと感じたというのが私の判断。 勝った負けたの違いはあるけど、乗り方やレースに挑む心境としてはナリタタイシンの皐月賞に似ていたと思う。そのナリタタイシンはダービーでもまだ挑戦者の立場で、今度はいい脚を使っても3着だった。 同じパターン、武豊の騎乗馬への自信などを踏襲するなら今週も主役を担うのは難しいと思っています。

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