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歌織@星見当番

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2011.02.06
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こんばんは、お久しぶりです星見当番です。
長らく中断していて本人までがどこまで書いたかを忘れかけた(^^;)☆\(--;)
ムーミン谷の星うらないシリーズ、射手座スナフキン篇の第八部をお届けします。

さて。
「従順な蟹座の孤児たちと、厳しい山羊座の監督者」で出来上がっている管理社会に
火サインの少年がトラブルの種を播く、という『ムーミン谷の夏まつり』第六章は
『夏まつり』のひとつ前の作品『ムーミンパパの思い出』の第一章の拡大版です。

『ムーミンパパの思い出』では獅子座のムーミンパパに対して12人の孤児たちと
ひとりのヘムル族でしたが、『夏まつり』では24人の孤児にヘムルの夫婦と
人数がきっかり二倍になっています。対する火サインもスナフキンとミイのふたり。
射手座・牡羊座コンビですね。『思い出』でのムーミンパパは仲間の孤児を置いて
ひとりで旅立ちましたが、『夏まつり』のスナフキンは逆に仲間でもない孤児を
背負い込むことになってしまいます。たしか、第七部ではここまで書いたと思います。

射手座スナフキン篇第七部はこちら

24人の森のこどもたちは保護を必要とする幼児→蟹座のキャラクターです。
スナフキンの推定サインである射手座から見ると、蟹座は150度の関係です。
90度や180度の関係であれば、少なくとも運動区分という一致点があるのですが、
150度はサインの性別・元素・運動区分すべてにおいて一致点がないという関係です。

スナフキンは基本的に単独行動を好みます。誰かと一緒に行動する場合は、
相手もスナフキンと同じように冒険心に富むタイプで、かつスナフキンが
あれこれ世話を焼いてやらなくても済むような相手であることが条件です。

スナフキンが来る以前、蟹座キャラクターである24人の孤児を看ていたのは
蟹座の正反対に位置するサイン・山羊座キャラクターであるヘムル夫妻でした。
ヘムル夫妻と孤児たちは、互いに好きで世話している/されているわけでは
ありませんでしたが、少なくともどちらも「何かに従いたがる」という
受動的な性質を持っています。

ヘムル夫妻は「規律」というものに従いたがり、また規律に基づいて
孤児たちを従えようとします。孤児たちはというと、ヘムル夫妻の締め付けを
嫌がりながらも、自分たちだけの力ではその支配から逃げ出すことができず、
子供たち同士で寄り集まって身を守っています。そして自分達を押さえつけていた
ヘムル夫妻がいなくなると、今度はスナフキンに従い始めました。

規律が大好きで「べからず、べからず」と言いながら彼の足を引っ張る
ヘムル族が相手だったら、スナフキンはいくらでも過激な手段で反抗できます。
森の子供たちも確かに彼の足を引っ張る存在ではあります。しかし彼らは
ヘムル族と違って小さな子供です。「べからず、べからず」と言う代りに
「守って、守って」と言ってまとわりついてくる子供たち。

スナフキンはこの事態に頭を抱えてしまいます。
さすがのスナフキンも、子供たちに「ついてくるな」と強い態度を
とることはできません。それをやったら、自分自身が子供に「べからず」を
押し付ける大人になってしまいますから。

スナフキンは子供たちの寝顔を見ながら思い悩みます。
この子たちをどうやって世話したもんだろう。食料は少ないし、
ぼくには子育て経験がないし、そもそもぼくと子供たちでは話も合わないし。

「もうじき、あの子たちは、雨でかぜをひいてしまうぞ。
だけど、それよりも、もっとこまったことになるかもしれん。
あの子たちをたのしませるものは、たぶん、なんいも見つけられまい。
あの子たちは、たばこもすわないし、ぼくの話は、みんなをこわがらせてしまう。
そうかといって、一日じゅう、さかだちしてやってるひまはないしな」

(『ムーミン谷の夏まつり』より、スナフキンのぼやき)


無責任で風来坊なスナフキンにしては、珍しく真面目に子供たちのことを
心配しているようです。雨に濡れている白い花を見て、普段だったら
その美しさに詩人の心が動くのでしょうに、急に子持ちになってしまった彼は
「あれが、かぶらばたけだったらいのになあ」と所帯じみたことを
考えるようにまでなってしまいます。

育児を大変なものと捉えて腰が引けているスナフキンに対して
「適当でいいのよ!アンタもっと強気に出ちゃいなさいよ!」と
発破をかけるのはちびのミイです。射手座キャラクターのスナフキンに対して
ミイは火星・牡羊座キャラクターです。蟹座キャラの森の子供たちから見ると
射手座のスナフキンとは150度、牡羊座のミイとは90度の関係です。

蟹座と150度関係のスナフキンに比べると、90度の関係にあるミイは
森の子供たちに対してずっと強気に出られる立場にあります。
ミイは自分の姉妹関係に基づいて、ごくお気楽なアドバイスを
スナフキンに与えます。

「この子たちは、あんたのこと、おもしろいと思わないのよ」
と、ちびのミイは説明しました。

「わたしのねえさんみたいにするのがいいわ。なきやまないと、
たたきころしちゃうぞ!っていうのよ。そのあとであやまって、
キャンデーをやるの」

「そうすりゃ、ききめがあるかい?」

「ないわ」
と、ちびのミイは言いました。

『ムーミン谷の夏まつり』より 下村隆一・訳


ミイの「ねえさん」とはあの水星キャラクターのミムラねえさんです。
ミムラねえさんには特にサインを割り当てていませんが、強いて当てるなら
双子座になります。スナフキンのサインである射手座と180度の関係ですね。
ミムラねえさんはちびのミイの姉にして親代わりですが、その教育方針は
大変お気楽です。普段から軽口とホラ話が好きなミムラねえさんは、
ミイの育児にも大袈裟な脅しや誇張した怒りの表現を多用しています。

ミムラねえさんがそのようにするのは、ひとつには軽口をたたくことや
大袈裟な言い方がミムラねえさんを満足させるからで、もうひとつは
妹であるミイ自身も大袈裟な表現や怖い話をエンターテインメントとして
好むからです。お互いに、ウソをウソだとわかってじゃれあっている、
そんな姉妹関係なんですね。

深く考えなくてもいいのよ!軽口と体当たりでいいのよ!という
ミイの助言が効いたのか、最初はぎこちなかったスナフキンも
だんだん臨時保育士さんの役が板についてきます。彼は普段、
あまり軽口をたたかないのですが、森の子供たちと暮らしているうちに、
とうとうミムラねえさんばりのエンターテインメント脅しを
口にするようになってしまいます。

(当番註:子供たちが空から降ってきたちらしを取りに、
タールを塗ったばかりの屋根に昇り、タールまみれの姿で
スナフキンのところにやってくると―)

スナフキンは、家のかどで、みんなのくつしたをあらっていましたが、
こういいました。

「ばかなやつらだなあ!けさ、屋根にタールをぬったのを、
みんな、わすれてしまったのか?おまえたちをすてて、
海へとびこんじゃうか、おまえたちをぶちころすか、
ぼくに、そんなことをしてほしいのか」

「どっちもいやだあい!」
森の子どもたちは、大声をあげて、スナフキンの上着をひっぱりました。

(『ムーミン谷の夏まつり』より 下村隆一・訳)


スナフキンがちゃらんぽらんなミムラねえさんに、森の子どもたちが
ああ言えばこう言うちびのミイに、それぞれ近づいてきてますね。
スナフキンと子どもたちだけだったら、こうはならなかったと
当番は思うのです。やはりちびのミイがいたからなのでしょうね。
…あれ、これスナフキンの話なのに主役がミイになりかけてる(^^;)☆\(--;)

自分のサイン・射手座とはほとんど重なり合うところのない
蟹座の子どもたちを世話しながら、スナフキンはそれまでの彼にはなかった
新しい面を開花させていきます。『仲間たち』や『十一月』に見られる
年若い生き物を見守り、時に歩調を合わせながら彼らの自然な成長を待つ
お兄さん的なスナフキン像は『ムーミン谷の夏まつり』から始まったものです。

森の子どもたちとの数日間がなければ、「スニフとセドリックのこと」や
『ムーミン谷の十一月』で辛抱強く年下の生きものに付き合うスナフキンは
登場しえなかったと当番は思っています。少しずつ互いに馴染んでいく
スナフキンと子どもたちのやりとりは微笑ましいものばかりです。
面白いところをいちいち紹介していくと字数が足りなくなるので、
ぜひ原作で確かめてみてください。

森の子どもたちと暮らしはじめた頃、スナフキンは慣れない育児に疲れて
「お世話」をしなくても一緒にいられる親友・ムーミントロールのことを
ひどくなつかしく思っていました。ムーミントロールと再会できた時には
もちろんとても喜んでいました。しかしそうしてまた元の身軽な彼に戻ると、
今度は別れた森の子どもたちを懐かしく思い出しています。

スナフキンのこういうところは実に射手座らしいですね。
現在のことよりも、まだ起こっていないことや思い出になった物事の方に
心が惹かれるという性質が射手座にはあります。この性質は、
今いる場所や近場の場所よりも遠い場所の方に惹かれるという性質と
同じ根っこから来ています。

スナフキンが森の子どもたちをほんのり懐かしむ場面は
『ムーミン谷の夏まつり』屈指の名場面です。穏やかで趣き深く、
スナフキン篇をしめくくるのにふさわしい箇所なので、ここに引用します。

その晩、ムーミントロールは、スナフキンのキャンプ地へ、
おやすみをいいにおりていきました。

スナフキンは、かわらにこしをおろして、パイプをくゆらせていました。

「きみ、必要なものは、みんなそろってる?」
と、ムーミントロールが、たずねました。

スナフキンは、うなずいていいました。
「ちゃんと、そろってるよ」

ムーミントロールが、くんくんと鼻をうごめかしました。
「いままでとちがうたばこを、すいはじめたの?
ちょっと、きいちごみたいだね。それは、上等?」

「いや。だけど、日曜日だけは、これをすうんだ」

『ムーミン谷の夏まつり』より 下村隆一・訳


「必要なものはみんなそろってる?」と親友から訊ねられて
「ちゃんと、そろってる」と答えるスナフキンは、いかにも彼らしいです。
彼は本当に少ないものだけで暮らすことができるので、このときの
「必要なもの」もそう数は多くなかったと推測できます。

ムーミントロールが気付いた「いままでとちがうたばこ」とは
森の子どもたちがスナフキンに贈った、きいちごの葉のたばこです。
「上等なたばこなのか」と訊かれて否定しながら、でも日曜日には
これを吸うんだと答えるスナフキンは、自由を愛する旅人と言うより
幼稚園児の我が子からネクタイを貰った若いお父さんのようです。

自分と違う存在と付き合い、自分の特技が役に立たない分野に取り組むことで
少し大人になっていく、というテーマは『夏まつり』のスナフキンから
その続巻『ムーミン谷の冬』のムーミントロールへと受け継がれていきます。
また、あまりパパ向きとは言いがたい冒険家の青年(元青年)が
奮闘努力の末にパパ(ややパパ気味)になっていくというテーマは
『ムーミン谷の夏まつり』から『ムーミンパパ海へ行く』へ繋がっていきます。

スナフキンの弟分・獅子座のムーミントロールが『ムーミン谷の冬』で
何に出会い、どう成長したかについては水瓶座篇でお話する予定です。
長い間書いてきました射手座キャラクター・スナフキン篇は今夜でおしまいです。
後日、射手座番外篇としてスキーヤー・ヘムレンさんを取り上げます。
その次は山羊座キャラクター・ヘムル族のお話です。






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最終更新日  2014.11.29 20:09:00



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