|
カテゴリ:美術館・博物館
ファン・ゴッホは、最後のテーマ糸杉に魅せられています。糸杉でひまわりのような絵を描きたいと研究しているのですが、死のイメージへと徐々に・・・
![]() ![]() ![]() 南仏のユートピアが崩壊したのち、 ファン・ゴッホの内面で「宗教」と「自然」の壮絶な戦いが始まる。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() フィンセント・ヴィレム・ファン・ゴッホ Vincent Willem van Gogh 1853年3月30日〜1890年7月29日(37歳没) ![]() アルルで、精神病の大きな発作を起こして以来、 ファン・ゴッホは発作を繰り返すようになり、 南仏のサン・レミにある精神病院に入院して 治療することになった。 病名は、わからないが、 絵具を食べるようとしたり、 宗教的な幻覚、幻聴も経験したという。 発作の危険から、屋外で制作ができない時期もあった。 自然を前に描くことを望んだファン・ゴッホも 模写をしたり、想像で描いたりすることが増え、 作品の様相は一変する。 様式もアルル時代の原色に近い平坦な色面表現から、 力強く、荒々しいタッチによる表現に変わる。 ![]() 『星月夜と糸杉のある道』1890年5月(サン・レミ) (プロバンスの夜道) 油彩 カンヴァス 92.0cmx73.0cm オッテルロー「クレラー・ミュラー美術館」所蔵。 ファン・ゴッホを代表し、 彼の南仏滞在の最後を飾る作品のひとつである。 糸杉をはさむように配された星と月、 2人連れの男と彼らを乗せた馬車、 これらのモティーフは、 いったい何をあらわそうとしているのだろうか? この問いを解く鍵はファン・ゴッホの手紙には見られない。 絵は、謎に包まれたまま一切の説明を拒み続けている。 1890年の春 ![]() ファン・ゴッホが、描いたのは・・・ ![]() オリーブの木だけではありません ![]() 糸杉も・・・ ![]() 彼にはプロヴァンス地方を象徴する典型的なモティーフでした ![]() 「僕は、今も糸杉に虜にされている」 と、彼は弟:テオに手紙で ![]() 「糸杉で、ひまわりのような絵が 描けたらなぁと思っている。 僕が心に描くような糸杉がまだ 絵にできてないのは、 僕自身まったく信じられないくらいだ。 糸杉の美しい姿、 エジプトのオベリスクのように見事な均整。 あの独特な緑。 明るい日差しの中では、 黒々としているけれど、 それはかえって魅力ある音を出す 音符みたいなものだ。 これをうまく絵にするのは難しい。 これまで一番難しい。 こいつはね、青をバックにというか、 青そのものにドップリと 浸して描かなきゃいけない。 ここの自然を絵にするには、 ここに長く住まなきゃいけない。 まあ、これはどこでも同じなんだけどね。」 ![]() しかしこの作品は・・・ ファン・ゴッホが実際に 風景を見ながら描いたものではありません。 これはおそらくサン=レミの最後の記憶として、 プロバンスで見た様々な風景の印象を拠り所に、 一枚の絵としてまとめて構成したものです。 1890年6月17日 彼はゴーギャンに手紙を書いています。 「プロバンスにいた頃から考えていた 頭の上に星を掲げた糸杉を描いている、 これが最後の挑戦だ。 爪のような形のぼんやりと 輝きのない月が浮かんだ夜空(・・・) オレンジ色の灯火が窓から漏れている宿屋 それからとても背の高い糸杉、 まっすぐに伸びた真っ黒な糸杉だ。 (・・・)君が望むような、 とてもロマンチックな雰囲気、 でもすごくプロバンス風だとも もくは感じている。」 ![]() 『刈る人のいる麦畑と太陽』1889年6月 油彩 カンヴァス 72.0cmx92.0cm オッテルロー「クレラー・ミュラー美術館」所蔵。 精神病治療のために入ったサン・レミの部屋から見た風景。 ゴッホは、外出が許されていなかった。 自室から燦々と照る太陽のもとで、 ひたすら麦を刈る ![]() 麦刈りは聖書にしばしば出てくる「人の死」のイメージ。 ほぼ同構図で3点の油彩が知られている。 ![]() ![]() 「僕はこの刈る人のなかに 炎熱のもと仕事をやり遂げようと 悪魔のように戦っている 朦朧とした人物のなかに 人間は、彼が 刈る麦みたいなものだという意味で、 死のイメージを見たのだ。 しかし、この死のなかには 何ら悲しいものはなく、 純金の光にあふれた太陽とともに 明るい光のながことがおこなわれるのだ。 (・・・)これは自然という偉大な書物が われわれに語ってくれる死のイメージだが、 『ほとんど微笑みながら』という姿だ」 ファン・ゴッホにとって「刈る人」とは・・・? 「自然という偉大な書物がわれわれに語ってくれる死のイメージ」であった。 (参考資料:東京美術、もっと知りたいゴッホより) (参考資料:クレラー・ミュラー美術館日本語版より) (写真撮影:ほしのきらり。)
最終更新日
2021.01.27 00:10:09
コメント(0) | コメントを書く
[美術館・博物館] カテゴリの最新記事
|