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「きらりの旅日記」

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ほしのきらり。

ほしのきらり。

カテゴリ

2021.06.21
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カテゴリ:美術館・博物館
​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​パブロ・ピカソ青年期に描かれた青い画面は、どんな意味があったのでしょう〜ね青ハートピカソの「青」についてさらに深く掘り下げてみましょうスマイル


みずがめ座​​ピカソの「青」を分析する​​みずがめ座


パリ・モンマルトルにて

Pablo Picasso
​​​パブロ・ピカソ​​​


​​​​1881年10月25日〜1973年4月8日(91歳没)


みずがめ座​​気になるピカソの噂・・・とは?​​​みずがめ座

「ちょっとばかり背は低いけれど、

 めっぽう絵が上手い

 若い絵描きがいるらしい?

 興がのってくると

 夜通し描きまくるスペイン男。

 たしか、ピカソとかいう・・・

 変わった名前だった。

 妙に気になる絵を描くんだそうだ、

 そいつ。

 そのうちに画商なんてついたら

 大バケするかもしれないな」


したり顔で語る男にとっても、

今しがた酒場で小耳にはさんだ話のようだ。


​「ほう〜冷やかし半分、そのうちのぞいてみるさ」​

聞いていた男は、そんなふうに言葉を返した。

ヤマっけたっぷりの目利きたちが、

20世紀の幕開きに跋扈する街、パリ。


モンマルトルの裏通りで、

当時こんな会話が交わされたかも知れない。

とはいえ、

やがてピカソの毒気に

骨の髄までしびれる事になる

前衛文化の騎士たちが、

一人、二人とモンマルトルの丘へ

「ピカソ詣で」にやってくるのは・・・

まだもう少しあとのことだ。


ピカソへの衝撃的な恋に落ちる前、

「青の時代」の作品をかいま見た『20世紀』は、

まだ恋と名付けられぬ

漠としたドキドキ感を覚えたのに違いない。


青臭いような・・・

それでいて妙に大人っぽく

目覚めているピカソの初期作品、

それがどれほどのものかを判断できなくても、

ひと目見ただけで気になりはじめる。


そして、くすぐったい思いが広がっていく、

わからないまま「気になる」存在。


ふと気がつくと・・・

相手のことをぼんやり考えていたり、

いつの間にか目がその姿を追いかけていたり。

そばにいるだけで楽しくなったり、

恋は、いつだってこうして始まるのだ。


20世紀にアーティストであれば・・・

誰だって策略家の顔をもってるけれど、


では・・・若いピカソは

『20世紀』の歓心を買うために、

どんな策略を用いたというのだろう。


それを考える前に、

​​青の時代」「青」についてひとつ整理しておきたい。​​


ピカソの「青の時代」を「憂鬱な絵の時間」とみることについてだ!!


もちろん、

​1901年、ピカソ(21歳の時)に・・・​

親友:カサジェマスが自殺したことを

描き出しているとみることに異存はない。


けれど、この場合、

​青に「ブルー」​

すなわち​「憂鬱な」​という言葉を重ねるために、

絵の文学的な解釈が

勝りすぎてはいないかと私は時々思う。


​「ブルーな気分」「青ざめる」​とかの

言葉でわかるように、

落ち込んだ精神状態と青とを結びつければ、


​「青の時代」は・・・​

​「憂鬱な絵の時代」​という理解になる。


社会の底辺を生きる打ちひしがれた

人々の姿が題材なのだから、

​「虚飾のない実存を描き出した」​とか、

​「生きることの孤独そのものだ」​とかの

文学的イメージを重ね、

画家がすこぶる精神性の高い作品を

描いたと思い込んでしまう。


けれど・・・

こと中世以降の西欧絵画の伝統で、

「青」が負の精神性のイメージと結びついた例は少ない。


ピカソは・・・

それまでの人々が抱いた従来の青のイメージにのせて、

打ちひしがれた人々の姿を絵にした。


だから「青の時代」を見る者は・・・

悲しみの画面に気品を感じてしまうのだ。


​ピカソの「青」の登場は・・・​

​当時の人にとってやたら「気になる」​者​​​だったに違いない。​

青による陰、

青によるボリューム。

​「当時は青の絵具がいちばん安かったから」​

と画家が青を多用したわけを

推測することもできるが、

どうやらそんな単純な動機ではないような気がする。


​忘れてならないのは・・・​

ピカソは画家としての資質のほかに、

他人の弱みを押さえる

​生まれもっての才能があったということ。​


画家としてスタートしたピカソが・・・

この才能で策略を巡らさなかったはずがない。


​「高貴な青」​という

人々のイメージのツボを逆手にとり、

​「底辺で打ちひしがれて生きる者たち」​

という卑近な題材に青色を用いることで

作品を気になる存在に仕立て上げる。

「青」は画家の最初の策略だったのだ。


しかし、

そんなことをわかってもわからなくても、

ピカソの絵の前に立てば、

静けさをたたえた青に圧倒されてしまうのは、

私だけではないだろう。


描かれた女や男、

母や子の姿から匂い立つ濃密な青に、

いつの間にか心がひりひりしてくる。



ピカソの「青の時代」の魅力は・・・​


絵の前を離れてなお描かれた者の姿が

視線の先にしっかりと像を結び、

心を叩きつける造形の力なのだ。


ちょっと別の例に置き換えてみれば・・・

恋人との喧嘩のあと、

言い争った理由そのものは忘れているのに、

真っ赤になった相手の顔をつたう

ひと粒の涙の瞬間だけが

繰り返し思い出されるのに似ている。


長い時間が経ち、

描かれた者たちの姿や

形すら思い出せぬのに、

いつまでも目の奥にとどまり

心をさわさわと揺さぶり続ける。

​それがピカソの青の力なのだ。​


かくして『20世紀』は、

ピカソの青に惹かれ、

「気になる」存在として意識しはじめる。


ところが・・・

子どもはひとつのおもちゃに飽きてしまうと

別のおもちゃが欲しくなる。


ピカソは、大人と子どもを内に抱え、

芸術をも人生をもゲームのように遊んでいたかもしれない。


青春時代を過ごしたバルセロナを捨て、

パリに移り住み、

同棲相手:フェルナンドを手に入れることによって、

ピカソは・・・

「バラ色の時代」という新しいゲームに突入していく。


ピカソの青が気にかかっていた『20世紀』は、

「青はどこに行ってしまった」と

その変貌ぶりに驚きながら、

黙って眺めつづけることしかできなかった。


もちろん驚くような予想外の展開は、

まっしぐらに落ちていく恋の媚薬でもある。


(参考資料:小学館・ピカソ描かれた恋より)
(写真撮影:ほしのきらり)

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最終更新日  2021.06.21 00:10:07
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