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「きらりの旅日記」

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ほしのきらり。

ほしのきらり。

カテゴリ

2022.07.02
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カテゴリ:美術館・博物館
レダと白鳥のモティーフは、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品の中では、珍しくセクシーな女性として描かれています手書きハート

レオナルド派(ソドマ派?)の画家

ボルゲーゼのレダ(レダと白鳥)1515年〜1520年頃

板にテンペラ 112.0cmx86.0cm

ローマ「ボルゲーゼ美術館』所蔵。


レオナルド・ダ・ヴィンチ

『レダと白鳥』の図像は、

『糸巻きの聖母』などと同様に、

確実にレオナルド本人による​​ものと

断定できる彩色画が残っていないにもかかわらず、


レオナルデスキによる作品や関連作は少ない。

加えて、

『岩窟の聖母』のように、

レオナルド派以外の画派による

同系統の類似図像がほとんど無く、

結果的に

レオナルデスキに特徴的な作品系統となっている。


そのため、

『レダと白鳥』は、

レオナルドと工房の関係や、

後期レオナルドの制作スタイル、

そして、

レオナルデスキ内部での

様式伝播のあり方を探るための良いモデルケースとなる。


これまでにも多くの論考が加えられてきたが、

その伝播経路などに関しては諸説入り乱れ

いまだ一致をみていない。


そのためここでは、

やや詳しく扱い、

同時代史料と先行研究を検討しながら

最新の情報を加え、

錯綜した状態にある伝播経路の推定をおこなう。


​レダの物語・・・とは?​​

レダの物語は、

ヘシオドスによる「神統記」には記述がないが、

ホメロスによる「オデュッセイア」第11歌で詠われている。

しかし、

そこには白鳥との関わりも

ゼウスとの交合も一切ない。


現存する古代テキストのうち

レダと白鳥との関わりが

はっきりと示された最も古いものは、

ギリシャ三大悲劇作家のひとりで、

紀元前5世紀後半に活躍したエウリビデスである。


ゼウスが白鳥の姿となって

わが母レーダーのもとに翔び来り、

追いせまる鷲をかわしつつ、

闇のたくらみをなしとげたとのこと、

もしこの話がたしかなら。

わたしはヘレネーと名づけられた。

ーーエウリビデス、『ヘレネー』より


ここでは、

主人公へレネの母が、レダであること、

そして、

父親がスパルタ王テュンダレイオス、

しかし実際には、

白鳥に化けたゼウスが、

レダを襲って産ませた子であること

が明確に語られている。


紀元前412年に上演されたと考えられているこの戯曲が、

その後のレダと白鳥の基本的な関係性を

決定づけたと言って良いだろう。


その後、

紀元1年から2世紀にかけて活躍した

アポロドーロスの「神々について」は、

古代ローマ世界に広く受け容れられ、

ギリシャ・ローマ神話体系の基本形となった。


そこでは、

アレスの子テスティオスと、

人間の娘エウリュテミスとの間にうまれた女性がレダであり、

スパルタの王テュンダレオスに嫁いだとされる。


この人妻に惚れたゼウスは、

得意の変身能力で白鳥に姿を変えて近づき、

思いを遂げる。


同じ夜にレダは、

夫テュンダレオスとも交わり、

夫との間には、

カストルとクリュタイムネストラを、

ゼウスとの間には、

へレネとポリュデウケス(ポルックス)の

四人の子をもうけた。


カストルとポルックスの男子2名は、

長じて雄々しき偉丈夫に育ち、

2人そろってディオスクーロイ(「ゼウスの子」の意)と呼ばれ、

やがて天にあげられて双子座となる。


女子2名は、

トロイ戦争において主要な役割を果たす。

周知のとおり、

へレネは戦争のそもそもの発端となった女性であり、

クリュタイムネストラは、

夫である英雄アガメムノンを

殺害する悪女として知られている。


同時にアポロドーロスは、

鷲に化けたネメシスと

白鳥に化けたゼウスとの間にうまれた子を

へレネとする異説も紹介している。


神話学者ケレーニイは、

白鳥=ネメシスのパターンを主とし、

白鳥=ゼウスのパターンを異説として扱っている。


しかし、

レオナルド(とミケランジェロ)は、

白鳥=ゼウスのパターンに基づいており、


エウリピデスとアポロドーロスが、

ルネサンス期における神話主題の

主要なソースとなっていたことを証明している。


エウリピデスの「へレネ」を伝える

現存テキストとしては・・・

オクシュリンコス出土の

紀元前1世紀後半のパピルスなどがあるが、

ルネサンス期における影響力を考えれば、

中世期に制作された二点の写本が最も重要である。


これらはいずれも、

フィレンツェのラウレンツィアーナ図書館所蔵のもので、

14世紀第14半期にテッサロニケの工房で

制作されたことがわかっている。


これらを底本とする二次制作写本(下位写本)が、

14世紀末頃から制作され、

パリやフィレンツェに現存するする。


さらにそれらを底本として、

ヴェネツィアのアルドゥス・マヌティウス書店から、

二巻組のエウリピデスの戯曲が

1503年2月に出版された。


なお、へレネは、

中世キリスト教世界においては、

ひとびとを誘惑し社会を混乱に陥れた悪女として、

なかば、ファム・ファタル的な

異端的存在とみなされていた。


1502年にドイツで

ヤーコブ・ロッヘルによって著された戯曲

「パリスの審判」などは、

そうしたヘレネ観に基づいた物語の典型である。



(写真撮影:ほしのきらり)
(参考文献:筑摩書房/池上英洋、レオナルド・ダ・ヴィンチ生涯と芸術のすべてより)



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最終更新日  2022.07.02 00:10:12
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