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ほしのきらり。

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2022.09.02
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カテゴリ:美術館・博物館
ラファエロの作風の王道とも呼ぶべき聖母子像『小椅子の聖母』について今一度目うっとり鑑賞しましょう手書きハート

ラファエロ・サンティ
​Raffaello Santi​

Madonna della Seggiola

​『小椅子の聖母』​

1513年〜1514年頃

板に油彩 71,0cmx71,0cm

(ローマ時代)

フィレンツェ・ピッティ宮殿「パラティーナ美術館」所蔵。


​『小椅子の聖母』​は・・・

トレンド形式で描かれた作品である。

暗色を背景に、

椅子に座った聖母が、

イエスをしっかりと抱きかかえ、

頬を寄せている。


洗礼者聖ヨハネは、

聖母の左膝の後ろから姿をのぞかせ

両手を合わせるが、

母子の抱擁からは締め出された格好となっている。


こちらを見つめる

聖母とイエスの優しく情愛に満ちた雰囲気手書きハート

画面構成と色彩感覚のバランスパレット

あらゆる点で評価されてきた作品である。


その優美な表現は、

ラファエロの作風の王道とも呼ぶべきものだが、

実のところ、

聖母子画の伝統的な描き方からすれば、

異例な表現が多数見られるのでありますうっしっし


ラファエロ・サンティ
​Raffaello Santi​

1483年4月6日〜1520年4月6日(37歳没)

イタリアのウルビーノ公国に生まれる。

盛期ルネサンスを代表する画家・建築家。

レオナルド・ダ・ヴィンチと、

ミケランジェロとともに

盛期ルネサンス三大巨匠のひとり。

八頭身の長身でイケメン、

誰にも好かれた人柄であった。

【代表作】

『アテネの学堂』


『システィーナの聖母』


『小椅子の聖母』

そもそも・・・

椅子に座った聖母が、

首を傾けこちらを見るというポーズが独特であり、

聖母の衣装も、

また個性的である。


頭には、

縞模様の入ったターバンを巻き、

肩には、

オリエンタル趣味を感じさせる模様が施された

緑色のストールをまとっている。


ターバンは、

おそらく当時のローマの貴婦人の間で流行していた

ファッション・スタイルであり、

同時代的な要素が盛り込まれていると考えられる。


作品のタイトルとなっている

「椅子」の存在は、

画面手前の支柱と、

深紅と金のフリンジ(房飾り)がついた背もたれから

判断できるが、


よく見ると聖母は、

着席しているというより、

身体が斜めに傾いているような状態であり、

とくに左脚が、

どのように持ち上げられているかはよくわからない。


しかし、

このポーズの奇妙さは、

聖母の上半身とイエスの身体描写、

そして、

色彩の構成によって

見事なバランスを保っているのである。


聖母の衣服の緑、

赤、

青の間に、

イエスの肌着の黄色が挟み込まれ、

画面が調和をもって分割されているのである。


ラファエロは、おそらく、

ミケランジェロが『トンド・ドーニ』で描いた

アクロバティックな人体表現を参考に、

聖母の姿勢を考案したのであろう。


ミケランジェロの絵画の骨子が、

複雑ながらも解剖学的に正確な人体構造と

筋肉表現を見せることにあるのに対し、


ラファエロの画面では、

聖母子を、

ややクローズアップして見ている者へと近づけ、

同時に、

不自然さを極力感じさせないよう、

円形の画枠のなかに、

身体を収めて表すことに重きが置かれているように見える。


さらには、

こちらを向いた聖母とイエスの眼差しによって、

描かれた人物と見る者とのあいだに、

親密な対話を生み出す効果が

もたらされているのである。


この親密さこそが、

​『小椅子の聖母』​並びに

ラファエロの聖母子画の特色の一つであり、

人気の理由なのであろう。


聖母の視線という観点では、

『システィーナの聖母』もまた、

聖母子がこちらを見つめた状態で描かれている。


こうした表現は、

フィレンツェ時代の聖母子画に見られなかった特徴であり、

ラファエロが、

ローマに中世の伝統的なキリスト教絵画・・・

イコンと呼ばれる、

崇敬のための聖母子画のタイプ・・・

に刺激を受けた、

と考える研究者も多数いる。


鑑賞者を見つめる視線は、

そうした意味で、

キリスト教美術と信仰との関わりに

考察を促す要素となっているのである。


また、

『小椅子の聖母』のタイトルにもなっている

「椅子」の描写は、

ラファエロが、

ローマで手がけた二点の教皇の肖像画に通じるため、

ここで聖母は、

教皇が執務で座す椅子に座っていると

推察した美術史家もいた。


椅子の特定はさておき、

これまでも言及したように、

玉座に座る聖母子は、

キリスト教のきわめて伝統的な図像の一つであった。


そのため、

椅子が玉座を暗示し、

天上の威厳を象徴することは、

ほぼ間違えないだろう。


ラファエロは、

そうした伝統にのっとりつつ、

独自の工夫を加え、

より親しみのある聖母子を描きだしているのである。


ローマでの制作当時、

この絵画は、

ラファエロの周辺の高貴な身分の人物が、

プライヴェートに保管していたと考えられ、

存在自体が周知されていなかった。


その後、

16世紀末までに

フィレンツェのメディチ家の

コレクションに入っていたことが確認され、


17世紀末に現在の所蔵先である

ピッティ宮殿で展示されて以来、

聖母子は多くの人々に干渉されるようになり、

複製版画を通じ、

欧州各国へ流布された。


ラファエロの聖母子画は、

制作の経緯や背景が明瞭でない作品も多い。

しかし、

長い年月を超えて

なお彼の作品が親しまれるのは、

穏やかで優美な画面が

キリスト教徒の敬虔な信仰心に寄り添うものであり、


同時に、

母子の情愛という普遍的な情感を

作品に投影できるからではないだろうか。


(参考文献:中公新書2614ラファエロ-ルネサンスの天才芸術家より)

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最終更新日  2022.09.02 00:10:12
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