ビビルビンの思い出
ビビルビンの思い出
こやじさん、出生3日めにして出た。黄疸。
赤ちゃんはお母さんのおなかの中では効率よく酸素を使うために、
たくさん赤血球を作って多血症の状態にあるのですが、
出生後、自分で呼吸ができるようになると、
今度は余分になった赤血球を処分して行かなくてはなりません。
この赤血球のリサイクルの過程で作られる物質が黄疸の原因となる「ビリルビン」です。
通常、ビリルビンは肝臓から出る胆汁に混ざり、腸管から便となって排出されますが、
生後間もないうちは肝機能や便通の関係でビリルビンの排泄が滞ってしまい、
血中のビリルビン濃度が高くなってしまうのです。
(http://www.babycome.ne.jp/online/adviser/column3/kabe5.html こちらのサイトから引用)
その日から、こやじさんは、血中のビリルビン濃度を下げるため、
光線療法と点滴を受けることとなってしまった。
光線療法は24時間がひとつの目安で、24時間光を浴びた後、
どの程度血中ビリルビン濃度が下がったのかをチェックし、
濃度が十分に低下している場合には治療を中止した後、
さらに24時間入院観察を続けて、ビリルビンの再上昇がないことを確認します。
(http://www.babycome.ne.jp/online/adviser/column3/kabe5.html こちらのサイトから引用)
そのときは、まさか病院に2週間もいるはめになるとは思わず。
朝、こやじさんのビリルビン値をしらべる。
ビリルビン値が基準値以上であった場合、退院は見送り。
数値の説明を受けに小児科へ行く。
小児科の医師は何人かいた。
その日の持ち回りで、説明をしてくれる医師はちがった。
2日めだったか。
そのときのセンセが、今回の思い出なのだが。
一目見て、油が採れそうなセンセだった。
まだ若い。どちらかというと小柄。
そして、違和感を感じたのは、センセは、ぽちと目を合わさないのだった。
ビリルビン値の説明をしながら、センセは机の上の白い紙に一生懸命、何か書いている。
手がぷるぷる、ふるえてる。
すごくむずかしいことを書いているのか、何度もなぞるような力の入れよう。
説明が終わると、先生は、その紙をぽちにくれた。
(それは、こやじさんの今日のビリルビン値を書いたものだったから)
ぽちは小児科を出て、紙を見た。
あれほどの力みようで、センセは何を書いていたのだろう。
ビ リ ル ビ ン
かな~り、ふるえた文字。ナゼ?
何日か後。
その日は、オットもいて、ビリルビン値の説明を受けることになった。
「今日の説明の先生は誰かなぁ」
先日の、ふるえる文字のセンセのことを話してから、
オットは、そのセンセに当たりたくてしょうがないらしい。
はたして、その日のセンセは彼だった。
「なんか、変わった先生だったね~」
目的を果たした、オット、満足そう。
そして、我々は命名した。
彼、および、とってもびびることを、
ビビルビンと。
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