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2017/03/24(金)21:41

スイスの一豪族だった一族が、神聖ローマ帝国皇帝の座を得たことから始まる苦悩と栄華の物語を名画で辿る『名画で読み解く ハプスブルク家12の物語』

日本作家によるノンフィクション&エッセイ・その他のジャンル(71)

みなさん、こんばんは。 ヨーロッパの歴史に詳しい方なら、一度はハプスブルグ家の名前を聞いたことがあるのではないでしょうか?そんな有名人たちは、何度も絵に描かれています。 絵から見えて来るものとは? 名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 中野 京子 中野さんにとってベラスケスの『ラス・メニーナス』は格別の思いがある作品のようだ。著作『名画で読み解くハプスブルク家12の物語 』『怖い絵2』『残酷な王と悲しみの王妃』に登場し、そのうち『残酷な王と悲しみの王妃』では表紙を飾っている。可愛らしい王女の表情とは裏腹に、彼女の運命はなんとも痛ましい。  かつては日の沈まざる帝国と呼ばれ、広大な領土を結婚によって築いたハプスブルグ家が辿った運命と、彼らに関連した12の絵を絡めて綴ったのが本書である。ヨーロッパに旅行に行くと、必ずどこかの国で「ハプスブルグ家ゆかりの云々」といった遺跡にゆきあう。考えてみれば不思議な一族である。初めから名門だったわけではなく、豪商だったわけでもないのに、華麗なる一族であるかのように説明される。だが、「じゃあ今のどこの国の国王だったの?」と聞かれても、ひとことでは答えにくい。  ハプスブルグ家の特徴は高貴な青い血で、それ故にあがめられたが、青き血故に不幸になった人もいる。『ラス・メニーナス』のヒロインもその一人だ。『残酷な王と悲しみの王妃』では、いくぶんソフトな言い方もされているが、伯父と姪の近親婚により生まれた彼女は、母の弟―実の伯父の元に嫁いで若くして亡くなる。小姑が母であり祖母が姑になるという、書いていてもよくわからない間柄がいく代にも続いた結果、彼女の弟はどうみても正常とはいえない精神的気質を持って生まれる。「高貴な血を下賤の血と混ぜ合わせてはならない」という考えを優先させた結果、彼は後継者を生む能力すらないまま世を去る。彼の肖像画も残されており、病人のような顔で表情も堂々たる王のそれではない。絵は、写真がなかった時代の唯一の証拠みたいなものだが、こうして何世紀にもわたってその異常さが喧伝されるのは哀れとも言える。 ​名画で読み解くハプスブルク家12の物語​​ぐるぐる王国 楽天市場店​

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