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2019/01/29(火)02:45

シェイクスピアの「リア王」か「カラマーゾフの兄弟」西部版か 離れては生きられない親子~映画『ならず者たち』

アメリカ映画(1106)

みなさん、こんばんは。みなさん、西部劇はお好きですか? まるで舞台劇みたいな西部劇を見ました。 ならず者たち THE DESPERADOS 出演 ジャック・パランス 監督 ヘンリー・レヴィン 南北戦争時代、父のジョシュア、息子のデイヴィッド、ジェイコブ、アダムを中心に暴れ回るガルト一家がいた。彼らは、南軍不正規部隊であり、民間人、軍人を問わず敵をふみにじっていた。だが、ある時、アダムが酔って少女を犯そうとし、デイヴィッドが間に入ったことから仲間割れとなる。 男たちの名前がJosiah=予言者ヨシュア、Jacob=ジェイコブ→ヤコブ、Adam=アダム 言わずと知れた最古の人間、David=ダビデ 王の名と、全て聖書に所縁ある名前がつけられている。また、ジョシュアが「神は悪の巣喰うソドムとゴモラを滅ぼされた」と自身の略奪を正当化したり、人を殺して逃げるデイヴィッドを「奴はさまようのだ カインの印と共にな」と評したりすることから、元は信心深い一家だった事が察せられる。「罪びとが罰せられる」キリスト教の不問律をいつも心に抱えながら略奪行為を繰り返すジョシュアがデイヴィッドから「自分が神のつもりか?」と言われるシーンがあるが、その心持だからこそ不問律と相反する行動ができるのかもしれない。 威圧的な父親の元でくらす三兄弟はドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』。きょうだいのうち最も良識のある者が放逐される件はシェイクスピアの『リア王』。復讐の連続の展開は『タイタス・アンドロニカス』。予言ができる母がデイヴィッドに「悲しい事だが殺しあうしかないんだよ お前たちは死ぬまで血を流し傷つけあう そういう運命になってしまった 殺し殺される」と告げる場面は『オセロ』の魔女か。それにしても実の息子になんとまがまがしい遺言を残すことか。特に父親を倒して重傷を負ったデイヴィッドが、ジョシュの渾身の叫びにふらふらと吸い寄せられるように崖に近づいて共に落ちてゆくラストは、大西部をバックに展開される舞台劇の様相。

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