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むかーし見た映画が図書館でDVDになっているのを見て借りました。
桃太郎みたいなひろ子ちゃんという印象しか残ってなかったですが、全編通してみると、結構はちゃめちゃですね、これ。上杉謙信、さばけすぎです。

映画「戦国自衛隊」
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この上杉謙信役を演じていた夏八木勲さんが、5月11日亡くなりました。謹んで冥福をお祈りします。

戦国自衛隊

出演
千葉　真一　岡田奈々　薬師丸　ひろ子　小野　みゆき　三浦　洋一　真田　広之
草刈　正雄　竜　雷太　夏八木　勲　小池　朝雄　渡瀬　恒彦　成田　三樹夫　鈴木　ヒロミツ　
かまやつ　ひろし　勝野　洋　宇崎　竜童

原作半村　良　
音楽羽田健太郎
監督斎藤　光正
アクション監督千葉　真一
脚本鎌田　敏夫

伊庭三尉を隊長とする近代武器で武装した21名の陸上自衛隊員達は、演習に参加するための移動の際、偶然補給地ごと戦国時代にタイムスリップしてしまった。成行きから彼等は、後の上杉謙信となる長尾平三景虎に加担する事になり、天下を取ることを決意する。
長尾景虎は越後から西へ進んで浅井・朝倉連合を、伊庭は南へ進んで信濃の川中島で武田信玄をそれぞれ討ち破って京で再び会おうと約束し、進発した。

「過去に手を入れてはいけない」と理性的なことを言う隊員を振り切って「俺達が天下を取れば未来に帰れる」というおよそ無責任な理屈をこねた伊庭が後の上杉謙信こと長尾景虎にくみすることを決めてしまう。この景虎のはしゃぎっぷりったら並みではない。服装も武装も違う伊庭たちを「同族じゃ！」と歓迎し、機関銃をうちまくり、果ては伊庭と景虎のお互いの着物を取り変えて走ったり、ふんどし一丁で海辺にいるちょっと見ホモっぽい長いツーショット場面がある。生涯不犯の誓いを立てた景虎を踏襲しているのか。原作ではなぜタイムスリップしたのか、とかパラレルワールドには織田信長がいないことなどが書かれているが映画では一切描写がない。伊庭が結果的には本能寺で撃たれる織田信長の役割を果たすのだと自覚した節も全くなく、ただ裏切られたことのみ自覚して斃れていく。
ワンシーンだけの今見ると豪華な配役といえば、薬師丸ひろ子。桃太郎みたいな武将で、ゴリさんこと竜雷太とあいうちになるのだが、この時の今わの際のゴリさんの台詞の意味もわかりにくい。なにせ「戦国時代」だけなのだ。若き日の真田さんも武田信玄の息子としてヘリに飛び乗るわ馬に乗るわの大活躍。そういえばJAC故か馬を使った戦場でのアクションが見事に決まっていた。

自衛隊がまるまる戦国時代にタイムスリップしたというアイデアはすごい。しかしストーリーは結構むちゃくちゃであり、テーマも正直わかりづらい。「戦う事のできない現代に戻りたくない」と伊庭が言うので、自衛隊の現代における意義を問うのかとも思ったが、そこまでの深みはない。
キャッチコピーは“歴史は我々に何をさせようというのか？”であるが、自衛隊員たちはそんなことを悩みながら戦国を生きたわけでは全くない。統制の取れているはずの自衛隊員がむしろ全く異なる時代に送り込まれてどんどん瓦解する様が描かれる。伊庭に裏切られた過去を持つ矢野は仲間をかたらって潜水艦を奪取し、近くの村を襲っては女達を船に連れ込んでやりたい放題。かまやつひろしのように村の子供達の面倒を見る者あり、婚約者に会いたくて脱走する者あり、夜這いありと、むしろ日頃の欲望が剥き出しになってゆく。もしかしてこれがテーマなのだろうか？


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